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編集無頼帖

トーキョー"HAYARI-UTA"

2010.10.14

SN3F1207.jpg時節柄、ネタが重複するのをお許し下さい。
昨夜は怒髪天の“Neo-JAPANESE STANDARD”と銘打たれた東京3公演の2戦目、『トーキョー“HAYARI-UTA”』に参戦すべく九段会館まで。
前日のロフト公演と打って変わって、この日は70〜80年代の歌謡曲的視点から“昭和”を浮かび上がらせる趣向。今から80年近く前に竣工された帝冠様式の建物からして昭和中の昭和という佇まいでしたが、開場後のSEも岸田敏志の『きみの朝』やら水谷豊の『カリフォルニア・コネクション』やらゴダイゴの『銀河鉄道999』やらさだまさしの『関白宣言』やらどっぷり昭和風情。昔の歌謡曲はホントにイイ曲が多いなぁ…と和んでいたら古式ゆかしいブザーが鳴り、開演。激安の殿堂で買ったというヒラヒラの羽根(あれは何と言うんでしょうか?)を首にかけた世良ズミ則&ツイス怒(勝手に命名)がいきなり『あんたのバラード』を熱唱、早々から我々の体温をグッと高める“銃爪(ひきがね)”が引かれる。こんな芸当が大真面目にできるのは、昭和のメロディを道連れに平成の風を肩で斬る怒髪天くらいなもの。
「怒髪天は歌詞もええねんな」と最近怒髪天の歌詞の奥深さを知ったらしい奥野さん(ソウルフラワーユニオン/a.k.a. 奥ピン)をゲストに迎え、セットリストは昭和の歌謡曲的要素の色濃い自身のレパートリーが続々と。個人的に大好きな『俺ときどき…』を聴けて良かった。「大好きな『夕焼け町3丁目』と『泣いてばっかのオマエに…』が唄えて良かった」という増子さんのMCが聞けたのも良かった。ラウンジ仕様とも言うべきスウィング調の『ドンマイ・ビート』も良かった。新曲の『Merry X'mas Mr. Lonelyman』をオリジナルに近い形で聴けたのも良かった。増子さんとシミさんのエア卓球も良かった。西城秀樹の『YOUNG MAN』で奥野さんが“Y.M.C.A.”を無理矢理“O・K・U・NO”にするのも良かった。“O・K・U・NO”以上に無理矢理に増子さんが“ト・モ・ヤ・ス”のポーズをとるのも良かった(笑)。そして何より、バンドもお客さんも無邪気に音楽を楽しんでいるのが良かった。
ハイライトは、メンバー紹介を交えたセッション的な『ヤケっぱち数え歌』ではなかったかと。奥野さんと友康さんの壮絶かつ抱腹絶倒の楽器バトル(と、その傍らでメタル的キメポーズを並んでとる増子さん&シミさん)は普段のライブでは決して見られない貴重な場面だったと思います。『酒燃料爆進曲』での坂さんの一言通り、「カ・イ・カ・ン」(会館だけに)でした。
明日はいよいよ最終日の『キャバレー“SHO-WA”』。勝手にしやがれのホーン・セクションとゲスト・ボーカルの梶芽衣子さんとの絡み、これまた凄いことになりそう。野良猫ロックじゃないヤツぁロクでナシ!と言わんばかりのワイルド・ジャンボな魅せる昭和三部作最終章、また美味い酒が呑めそうだなぁ。お会いできる方、会場で!

怒髪天 Neo-JAPANESE STANDARD『トーキョー“HAYARI-UTA”』
2010年10月13日(水)九段会館
SET LIST
01. あんたのバラード(ツイスト)
02. 男は胸に…
03. はじまりのブーツ
04. 俺ときどき…
05. 82.2
06. トーキョー・ロンリー・サムライマン
07. 夕焼け町3丁目
08. 泣いてばっかのオマエに…
09. よりみち
10. ドンマイ・ビート
11. ヤケっぱち数え歌
12. 酒燃料爆進曲
〜アンコール〜
13. Merry X'mas Mr. Lonelyman
14. オレとオマエ
15. オトナノススメ
16. YOUNG MAN (Y.M.C.A.)(西城秀樹)
〜ダブル・アンコール〜
17. 時の過ぎゆくままに(沢田研二)

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PROFILEプロフィール

椎名宗之(しいな むねゆき):音楽系出版社勤務を経て2002年1月に有限会社ルーフトップへ入社、『Rooftop』編集部に配属。現在は同誌編集局長/LOFT BOOKS編集。本業以外にトークライブの司会や売文稼業もこなす、前田吟似の水瓶座・AB型。

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