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編集無頼帖

真のダンディズムとは

2010.04.19

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 軽薄さに憧れる。この際、"ケーハク"と書いたほうが雰囲気は出るかもしれない。僕は無粋の極みを行くような男で、眉間に皺を寄せて、したり顔でマイナスなことばかりをうっかり口にしてしまうケツの小さな男だ。思うに、ユーモアこそが知性なんである。土俵際にいる時こそ洒落っ気を出すこと。それすなわち人間の幅であると、高田文夫先生のお父様も仰っていた。徒手空拳でがむしゃらに生きつつも、疲弊した横顔はこれっぽちも見せずに笑顔を絶やさない。むしろ、佇まいは常にケーハク。そんなオトナにこそ、シビれる。彼らの一挙手一投足は一見豪放磊落に映るかもしれないが、その実、常に他者に対して気遣いを欠かさない客観性と度量の広さがあるのだ。俺が、俺が、ではない。ガツガツしていないんである。他者のいい部分を引き出す才に長けていて、その場の雰囲気を引っ張りながらも、控えめ。そんな押し引きのバランスに憧れるし、それを体現している御仁にこそ"男らしさ"なり"オトナ"なりを僕は感じる。土曜日に野音で行なわれた怒髪天のライヴを見て感じたのは、そういうことである。これだけ身近にちゃんといるのだ、男がシビれるオトナが4人も。岡田真澄的なリッチなオトナ加減は皆無だけど、ドッコイ四半世紀を駆け抜けてきたバンドならではのオトナの余裕を肌寒い野音で感じた。余裕があるからこそ、洒脱でいられる。そして、普段は粋で洒脱な増子さんが感極まるからこそ、泣ける。その佇まいは野暮に映るかもしれないが、無粋を突き詰めれば粋になることを怒髪天は体現している。その馬車馬の如き破壊力も僕には痛快なのだ。以下、備忘録的セットリスト。  怒髪天:リズム&ダンディー"Dメン 2010 日比谷より愛をこめて"/2010年4月17日(土)日比谷野外大音楽堂  01.勝手にしやがれ(沢田研二カバー)/02.ヤケっぱち数え歌/03.労働CALLING/04.明日をブン殴れ!/05.GREAT NUMBER/06.蒼き旅烏/07.はじまりのブーツ/08.オレとオマエ/09.サムライブルー/10.ド真ん中節/11.アフター5ジャングル/12.ドンマイ・ビート/13.NO MUSIC NO LIFE/14.オトナノススメ  EN1:15.YOU DON'T KNOW(with 箭内道彦)/16.ぐでんぐでん(萩原健一カバー)/17.酒燃料爆進曲/18.セバ・ナ・セバーナ  EN2:19.サスパズレ
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PROFILEプロフィール

椎名宗之(しいな むねゆき):音楽系出版社勤務を経て2002年1月に有限会社ルーフトップへ入社、『Rooftop』編集部に配属。現在は同誌編集局長/LOFT BOOKS編集。本業以外にトークライブの司会や売文稼業もこなす、前田吟似の水瓶座・AB型。

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