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今だから鳴らせる音、今しか出せない熱量。VELTPUNCHとルサンチマンがSHELTERに刻んだ新たな伝説

2026.08.25

 今年10月1日にオープン35周年を迎える下北沢SHELTER。周年月である10月は1カ月間毎日ワンマン公演を開催し、11月にZepp DiverCity 2daysでフィナーレを迎えるという盛大な周年イベントを控える中、秋に向けての起爆剤となるような熱い2マンライブ、「SHELTER 35th Anniversary IGNITION GIGS『地下室ノ正義』」が8月16日下北沢SHELTERで開催された。出演はVELTPUNCH、ルサンチマン。6月に渋谷で行われたcinema staffがキュレーターを務めるサーキットイベント、『All Our Tomorrows』でも同じステージに出演した2組。日本のオルタナティブロックシーンを築いた世代と、当時のシーンに影響を受けた若手を共鳴させ、次代のシーンを創造するというイベントコンセプトをさらに濃密にしたようなこの2マン。91年のオープン以来、オルタナシーンの中心であり続けるSHELTERならではの空気感や、近い距離感が高めた両者の熱を肌で感じた、貴重な2マンとなった。
 
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 先攻はVELTPUNCH。「killer smile」のイントロのギターリフが鳴ると、瞬時に沸き上がる高揚感。起爆力のある演奏と楽曲のキャッチーさ、「運命なんて関係ねーよ!」と叫ぶ長沼秀典(Vo/Gt)と綺麗に抜けるナカジマアイコ(Vo/Ba)のツインボーカルに、20年前にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。「killer smile」が収録された3rdアルバム『a huge mistake』の再現ライブを今年1月にSHELTERで行い、その前には活動初期、中期、後期の作品ごとに区切った限定選曲ワンマンを同じくSHELTERで行った彼ら。もちろん現在進行形のバンドではあるが、SHELTERだからこそ感じられる当時の空気感を味わっているような気がして、非常に嬉しい。とはいえ「Modern Psycho Dance」や、昨年リリースした「嘘つき」など、比較的最近の曲もしっかりキメる。
 
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 「‟35周年”っていう数字に引っかかるのは僕だけですか?(笑)VELTPUNCHは結成して2年目ぐらいからSHELTERに出演してるんですよね。40年、50年と続いていってほしいので、みんなライブハウスに行ってください」(長沼)。補足すると、SHELTERの系列店である新宿LOFTが今年同日に50周年を迎えるため、一緒に盛り上げようという意味合いもある。多分。「ルサンチマン、カッコイイですよね。下の世代のバンドとも関わっていきたいなと思っています」(長沼)。VELTPUNCHは来年30周年を迎えるにあたり、ニューアルバムやワンマン、イベント開催に向けての製作期間に入るとのことで、新曲を2曲披露。美しいアルペジオに儚さを感じる「ASH」、エモーショナルな演奏とナカジマの淡々としたボーカルが切なさを煽る「複雑な世界」。バンドの今を更新しつつも時系列を感じさせないサウンドにどこか安心する。激情的な「MOUSE OF THE PAIN」、多展開かつキャッチーな「CRASH CRASH CRASH」と、圧巻の2曲でステージを締め括った。

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 転換時の登場、音出しからすでにオーラを放っていた後攻ルサンチマンは、「yeah yeah yeah yeah (Prelude)」、「いやいやいやいや」と、ステージから放たれる熱量や音の圧がすごい。VELTPUNCHが個々の経験値を感じさせる音のアンサンブルだったのに対して、ルサンチマンはそれぞれがテクニカルでありながら、バンドという一つの塊として音が飛んでくる。エモやマスロックだけでなく、ハードロック、ジャズ、フュージョンなど多彩な要素が目いっぱい詰め込まれ、目まぐるしく展開していく「IAI」など、まさにドーパミン中毒のような状態になり、永遠に演奏が終わるなと思った。
 

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 「VELTPUNCHが29年、SHELTERが35年、僕らが生まれる前からどっちもあるってすごいですね。好きなバンドのよく見てたYouTubeのライブ会場がSHELTERだったんだって後から気付いたりして。たくさん伝説の夜が作られてきた場所で、僕らも伝説の昼にしたいと思います」(北 Vo/Gt)。当然ながら時の経過と共に、かつて新宿LOFTの立ち退き問題が持ち上がった際に‟避難所(SHELTER)”としてSHELTERが作られたという経緯や、厳正なオーディションに受からないと出演出来なかったということを知らない、噂でしか聞いたことがない世代が多くなってきている。歴史を刻んできた者にしか鳴らせない音、知らないからこそ出せる熱量。MCでは両者互いにリスペクトの言葉を述べていたが、ステージに立った瞬間、一音目を出した瞬間に、「負けられない」という気迫のようなものを2組ともはっきりと感じた。流麗で緩急の効いた「約束は午後四時に赤い屋根の公園で」、鬼のようなドラミングからの「荻窪」など、北のエモーショナルなボーカルが胸を打つ。ミクスチャーテイストな「BUT STRAIGHT」、「光」、そしてアンコールの「fossil」と、ちょっとした脳疲労を感じるほどフルボリュームの圧倒的なステージを見せた。
 
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 10年前の長沼のインタビュー記事を読むと、仕事をしながら音楽を続けるという活動スタイルのロールモデルや、カルチャーを継承しつつ上と下の世代のバンドをつなぐ架け橋になりたいという、まさにその発言通りの現状になっていることに驚く。世代を越えたこの日のライブは、出演者同士だけでなく、目の前でライブを目撃したそれぞれのファンも互いに多くのものを吸収したはず。老舗のライブハウスだからこそ得られる貴重な瞬間を秋から始まる怒涛の周年月間に向けて、しっかり目撃していきたい。
 
Text:小野妙子 / Photo:町田千秋(XInstagram
 
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SHELTER 35th Anniversary IGNITION GIGS『地下室ノ正義』
2026年8月16日(日)下北沢SHELTER
 
【VELTPUNCH SET LIST】
1. killer smile
2. New cinema paradox
3. Modern Psycho Dance
4. ASH
5. The sweetest
6. 嘘つき
7. 複雑な世界
8. クライマーズ ハイ
9. MOUSE OF THE PAIN
10. CRASH CRASH CRASH
 
【ルサンチマン SET LIST】
1. yeah yeah yeah yeah (Prelude)
2. いやいやいやいや
3. きっとそう
4. 俗生活の行方
5. IAI
6. ルックバックインサッドネス
7. ずっと、メロディ
8. 約束は午後四時に赤い屋根の公園で
9. EL
10. ikki
11. 十九
12. 荻窪
13. BUT STRAIGHT
14. 光
en. fossil

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