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トップレポートいつものライブハウスの延長線上で見た衝撃の連続-SHELTER & ERA presents.『EMOTIONAL RIOT』6年ぶりに開催

いつものライブハウスの延長線上で見た衝撃の連続-SHELTER & ERA presents.『EMOTIONAL RIOT』6年ぶりに開催

2025.07.01

 下北沢SHELTER&ERAによる共催イベント『EMOTIONAL RIOT』が6月1日(日)恵比寿LIQUIDROOM(KATA & TimeOut Café & LIQUID LOFT)で開催された。2019年に開催の第一回からコロナ禍を経て6年ぶりとなる第二回は、前回使用されなかったTimeOut Caféステージが増え、SHELTERとERAに所縁のある28組のアーティストが出演。前日、SNSに掲載された主催者であるSHELTERの川本副店長、ERAの久保寺店長による挨拶文に「このイベントはフェスでもサーキットでもなく、小さなライブハウスがトランスフォームして一日だけ大っきくなる感じ。いつものライブハウスの延長線上」と書かれていたように、一夜限りの派手なお祭りというより、下北沢のある一夜を見て回っているような感覚だった。とはいえ、ライブハウスで少しでも人生を変えるような衝撃を体験してほしいという主催者の強い想いの下集まった豪華出演者達が並ぶタイムテーブルに頭を悩ませながら、可能な限りステージを目撃しようと会場を回った。
 

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▲ひとひら

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▲yubiori

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▲uri gagarn

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▲CARD

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▲ルサンチマン

 正午に開演し、すでに多くの観客が会場を埋める中、LIQUIDROOMのステージで内側から感情を揺さぶる美しい轟音を鳴らすひとひら、早くも入場規制のかかったパンパンのTimeOut Caféで観客の大合唱が響き渡る熱い盛り上がりを見せたyubioriと、タイプの違うエモーショナルな二組からスタート。TimeOut Caféはガラス張りなうえ外に音が丸聞こえなので、入場規制で中に入れなくても演奏を楽しむことが出来る。さらに、TimeOut Café、LIQUID LOFT、KATAは同じフロアに隣接しているため、移動や待ち時間のロスがなく、かなりの組数を見て回ることが出来た。
 

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▲ヤスエでんじゃらすおじさん
 

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▲大武茜一郎(ノーボアダムズ)
 

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▲DNAAK
 

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▲FeLid
 
 仕切りのないLIQUID LOFTのステージでは、SHELTER、新宿LOFTと多くの共同企画を開催しているヤスエでんじゃらすおじさんが奏でるサイケデリックなサウンドが心地よく響く。個人的にこの日楽しみにしていた弾き語りシンガーソングライターEtrangerが体調不良により残念ながらキャンセルとなり、大武茜一郎(ノーボアダムズ / ex.突然少年)が急遽出演。海外のお客さんも多く、ピュアでひりついたグランジロックを鳴らすSAGOSAIDや、クールでキレのある演奏ながら熱量の高いMASS OF THE FERMENTING DREGSのステージに沸き上がるフロアは、コロナ以降の下北沢のライブハウスで毎晩見かけるような多様な光景だった。
 

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▲MASS OF THE FERMENTING DREGS
 

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▲SAGOSAID
 

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▲VINCE;NT
 

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▲さよならポエジー
 

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▲ANORAK!
 

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▲bed
 
 そして、出演者発表時に話題となっていたのが、今年13年ぶりに復活したポストロックバンド3cmtourの出演。前日にERAで、同じくこの日出演したMIRRORと復活ライブを行い、「13年ぶりに灯りをつけました」と、ドラムセットの後ろに立てた一本のライトのみを照明に演奏。曲のイントロが始まるたびに大きな歓声が沸き上がった。MCでは、3月にドラムの中澤慎吾が急逝したmynameisに触れた。この3カ月の間活動を止めることなく、この日もTimeOut Caféに出演したmynameisは、パンパンの場内で「解放しろ! 親より先に死ぬんじゃねぇぞ!」とギターボーカルの宮島大地が大合唱する観客の上をサーフし、「もう大丈夫だから」と決して湿っぽくないエモーショナルな盛り上がりを見せた。
 

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▲3cmtour
 

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▲MIRROR
 
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▲mynameis
 
 流麗で上質な音色を奏でる水中スピカ、3月にSHELTERで開催した『EMOTIONAL RIOT』前夜祭、『EMOTIONAL HORIZON』にも出演したtoddle、ベランダの内側からこみ上げるキラキラとした熱量の高さ、魂を震わせるように歌い叫ぶ鈴木実貴子ズ、幻想的でカオティックな轟音を掻き鳴らすSACOYANSなど、それぞれ表現形式は違えど『EMOTIONAL RIOT』というタイトル名の通り、感情を刺激する、揺さぶるという点で共通したバンドばかりで、それを求めて集まってきた人たちと同じ空間でその感覚を共有していることが非常に心地いい。また、サポートなどで複数ステージ出演するメンバーも多く、それぞれのルーツなどをネットの情報ではなく、リアルの現場の音で知れ、ライブハウス主体イベントならではのブッキングの親和性を感じることが出来た。
 

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▲水中スピカ
 

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▲toddle
 

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▲ベランダ
 

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▲鈴木実貴子ズ
 

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▲SACOYANS
 

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▲said
 
 LIQUIDROOMのトリを務めたbachoのギターボーカル北畑欽也が「こういう楽しいイベントには言いだしっぺっていう人がいて。自分もなにかひとついいことの言い出しっぺになりたい」と言っていたように、カッコイイバンド、カッコイイ音楽と素敵な出会いをしてほしい、人生が変わるような衝撃を体験してほしいという、ライブハウススタッフの純粋でシンプルな趣旨や想いがこの日集まった出演者、観客に浸透していて、自然と気持ちのいい空気を作り上げているように感じた。また、一番広いLIQUIDROOMの会場ではなく、KATAの小さな空間で大トリを飾ったでぶコーネリアスEXのハイテンションなライブにスタッフ、出演者、観客が入り混じって盛り上がる、まさにライブハウスなフィナーレがとても良かった。
 

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▲SEMENTOS
 

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▲LOSTAGE
 

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▲bacho
 
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▲でぶコーネリアスEX
 
 世代を越えた様々なアーティストが出演し、今を切り取ったような話題性だけでなく、それぞれのライブハウスの歴史や、過去から未来へつなげていこうという純粋な想いを一貫して感じた。それは、チケット代5,800円という破格の値段にも表れている。主現場はもちろんSHELTERでありERAではあるが、衝撃的な音楽との出会いや人生が変わるキッカケがあちこちで待ち受けている素敵なイベントを今後もぜひ定期開催してほしい。(Text:小野妙子)
 
 Photo:
町田千秋XInstagram
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タカギタツヒトXInstagram
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※画像をタップすると大きいサイズでご覧いただけます。
※『EMOTIONAL RIOT』オフィシャルXInstagramにも写真が多数掲載されています。

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