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SPOOL・宇宙ネコ子・downt、共鳴する惑星たちがテレパシーを交わした尊い時間

2024.11.16

 オルタナティブ・ロックバンドSPOOL企画『telepathy from mars vol.1』が、11月9日(土)下北沢SHELTER・昼の部にて開催された。メンバー脱退などバンドの危機を乗り越えて今年新曲を連続リリースするなど、再始動した新体制SPOOL初のSHELTER出演。先日のインタビューで親和性があると話していた宇宙ネコ子downtをゲストに迎え、チケットは早々にソールドアウトするなど、3組の親和性を敏感に感じとった人たちの期待値の高さが窺えた。

宇宙ネコ子

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 一番手は宇宙ネコ子。ライブごとに違った形態での出演も見どころのひとつとなっている彼女たちのステージ、この日はkanoがギター&ボーカルを務め、サポートベース、ドラムを迎えての編成。ステージに座り込んでギターを弾くねむこ(Gt.)の姿は、満員のSHELTER後方からは残念ながら確認出来なかったが、1曲目「Virgin Suicide」からノイジーなギターの音と、柔らかいボーカルが生み出す浮遊感に会場が包み込まれる。
 
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「お昼のライブは初めてです。終わってからも空が青いのは気分がいいんだろうなと思います」とか細い声でkanoが語り、「Like A Raspberry」などお昼の時間帯にちょうどいい心地良い曲が続く。後半、ダイナミックなドラムが印象的な新曲「Yawn」、「(I'm) Waiting For The Sun」と、さっきまでの青空がかげっていくようなざらついた轟音を鳴らすステージにぐっと引き込まれる。内側に押し込めた痛みが解放されて広がっていくような、彼女たちの繊細な感情の揺らぎを静かに共有する観客の優しい空気感。ラスト「君のように生きれたら」まで、まさに‟共鳴”という言葉がぴったりな温かい空間だった。
 

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【セットリスト】
1. Virgin Suicide
2. 部屋
3. on Blue
4. Like A Raspberry
5. Yawn
6.(I'm) Waiting For The Sun
7. 日々のあわ
8. 君のように生きれたら

downt

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 二番手はdownt。「おはようございます。みなさんまだ眠そうですね」と河合(Ba.)のあいさつから「紆余」でスタート。内側からじんわりと沸きあがるエモーショナルなサウンドで徐々に体を温め、ライブではすでに披露されている新曲、「煉獄ex」、「underdrive」と、メンバー同士競り合うようなプレイで熱量の上昇がどんどん加速していくスリリングなステージにくぎ付けになる。序盤ではマイクスタンドに対して少し体をななめに向けたラフな立ち姿で歌っていた富樫(Gt&Vo.)が、殺気立った視線を河合、ロバート(Dr.)と交わしながらギターを弾くあの気迫。それぞれがただの仲良しで集まっているバンドではないことを示すかのような緊張感に、だからこそ生まれる熱量の高いバンドアンサンブルなのであり、いつどんな場所、どんな環境であっても自分達のペースに観客を引き込んでしまう力があるのだと納得。こんな関係性のバンドは中々いないのではないか。ステージ上の緊張感がフロアにも伝染してきて、音が途切れると手が汗ばんでいた。クリーンなギターが爽やかな新曲、「111511」と、緩急の効いた圧巻のステージを見せた。
 
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【セットリスト】
1. 紆余
2. Yda027
3. 新曲①
4. 煉獄ex
5. underdrive
6. AM4:50
7. Whale
8. 新曲②
9. 111511

SPOOL

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 そして、ラストはSPOOL。新体制初のシングル「Heavenor」のフォーキーでまったりとしたムードから、フィードバックギターで空気を一変させる「Be My Valentin」への見事な切り返しで、美しい色彩の映像世界へ引き込んでいく。中盤の「スーサイド・ガール」、「ghost」では、深海のように青く冷たい空間を作り上げた。MCでは、こばやし(Gt&Vo.)が『telepathy from mars』という企画タイトルと趣旨について「前回のワンマンのタイトルが『SAIL TO THE NEVV MOON』で、宇宙つながりでまたタイトルを考えてみようっていう話になって。自分達が月だとしたら、対バンの方が火星みたいな感じで。違う惑星とも共鳴し合って交信するみたいなイメージ」と説明。「月がすごく好きで、歌詞にもよく出てるんですけど。よく月に想いを馳せています」毎回、クールな演奏スタイルとギャップのあるシャイなMCをこの日は頑張って話す姿に、エールを送るように大きく相槌を打つメンバーや、「Space Rock」で見せた笑顔など、バンド内の和やかな雰囲気が伝わってくる。
 
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美しい轟音の「秋桜」で本編が終了。熱狂的なアンコールの声で再び登場すると、来年3月にSHELTERでワンマンライブを開催することを発表。この日サポートでパワフルなドラムプレイを見せたcimaco(白い朝に咲く、SHIZUKU)と、「秋桜」のレコーディングに参加した金子タカアキ(スズメーズ、sheeplore、色々な十字架)を迎えて2部制での開催となる。大きな歓声が上がる中、ラスト「(image for) drawing on canvas」の温かい余韻を残してライブが終了。やっと思うように活動出来るようになった今のSPOOLの勢いと、実力をしっかり見せつけたステージだった。
 
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【セットリスト】
1. Heavenor
2. Be My Valentine
3. Let me down
4. Space Rock
5. light of the sun
6. スーサイド・ガール
7. ghost
8. 秋桜
en. (image for) drawing on canvas
 
 宇宙ネコ子は繊細な感情世界、downtは沸きあがる熱量、SPOOLは多彩な映像風景と、それぞれが内に秘めた美しさや痛み、激しい感情などを出演者同士だけでなく、この日会場に集まった同じアンテナを持つすべての人達と共有し、言葉を交わさずともただそこにいるだけで通じあっているような、非常に心地のいい尊い時間となった。(Text:小野妙子 / Photo:YUSUKE MASUDA

Live Info.

sail to the nevv moon vol.2

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日程:2025年3月15日(土) 
時間:open 17:30 start 18:00 
チケット:adv ¥3,500+1drink / door ¥4,000+drink
Livepocketにて発売中

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