インスト・アコースティックギターデュオのDEPAPEPE(デパペペ)が3月20日(日)に東京・TOKYO DOME CITY HALLにて、ワンマンライブ『DEPAPEPE メジャーデビュー15周年! これからもよろしく 大感謝祭!!!』を開催し、生配信も行なわれた。
2002年11月に徳岡慶也と三浦拓也で結成されたDEPAPEPEは、“インストミュージックをポピュラーに!”を目標に掲げ、2005年5月に1stアルバム『Let’s Go!!!』でメジャーデビュー。日本国内はもちろん、インドネシア、中国、タイ、台湾、韓国、などアジア各国各地域でも精力的にライブ活動を行ない、2020年6月には9枚目のオリジナルアルバム『Seek』を発表。同年5月にメジャーデビュー15周年を記念したライブの開催を予定していたが、コロナ禍により残念ながら延期を決断。本公演は2度の延期を経て、ついに実現した2年越しの15周年記念ライブとなっていた。
冒頭には懐かしいミュージックビデオやライブ映像とともに、15年間の活動を思い返すかのような表情で公園を歩く二人の姿を追ったオープニングムービーが流された。
やがて、映像内の2人がギターケースを開いて演奏を始めると、紗幕に2人のシルエットが映し出され、映像とライブがシンクロする形でライブはスタート。ツインキーボード、ベース、パーカッションからなるバンドを従え、インディーズ時代のストリートライブで最も演奏していた「FLOW」で勢いをつけると、三浦はスピード感を緩めずに「はい、どーも。DEPAPEPEです。皆さん、楽しんでいきましょう」と笑顔であいさつ。
観客から自然とクラップが沸き起こる中で、徳岡が目指す「歌はないけど、歌えるメロディライン」を体現した「Life is Journey」では、思わず口ずさみたくなるような歌メロを三浦から徳岡へと歌い継ぎ、温もりのある言葉のないラブレターを想起せる「Love Letter」では、原曲のバンドネオンに変わって、ピアニカとのアンサンブルを展開して観客を喜ばせた。
最初のMCでは、まず、徳岡が「お待たせしましたね」と観客に向けて語りかけ、三浦が「15周年の記念の公演なんですけど、なんと2年も延びまして、17年目に突入する僕たちが15周年をお祝いしたいと思います!」と続けると、フロアは温かく大きな拍手で包まれた。そして、アニメ『ハチミツとクローバー』の挿入曲「Night & Day」やインディーズ時代からのライブの鉄板曲「DUNK」といったファンキーなロックナンバーを続けて会場の熱気を引き上げると、三浦は、この新旧を織り交ぜた構成に関して、「いろんな時代のものを織り交ぜてやっております。今日の15周年の感謝祭は、皆さんにお祝いしていただきたいなと思って開催しました。来ていただけるだけで嬉しい気持ちは高まっているんですけど、僕たちはそのお返しに、15年の歴史を音楽で届けたいと思っております」と解説。
そして、三浦の好きな色だという「キミドリ」や徳岡が「15周年ライブでやりたいと言っていた」という「Color」では、過去と現在の曲を並べながら音楽で色彩を表現し、「2年前にはセットリストに入ってなかった。3月だからこそ選んだ」という卒業ソング「桜風」ではDEPAPEPEの二人とバンドメンバーによるコーラスが、新たな一歩を踏み出す人たちの門出を祝うような彩りをつけた。
ここでバンドメンバーがステージをおり、二人だけの時間が設けられた。二人の故郷である神戸で見かける風見鶏をモチーフにした切ないバラードで、アジアでの人気が高い「風見鶏」と、タイの通訳兼イラストレーターのカティの美人画とコラボレーションした「Diary」をプレイ。インスト・アコースティック・ギターデュオの原点である二人だけで、二人ならではの演奏から、再びバンドメンバーを呼び込み、「War Cry」ではビブラスラップ、シェイカー、クラベス、コンガというパーカッションで楽しませ、「延期している間にできた」という最新曲「琥珀星」や最新アルバム『Seek』の収録曲で客前でやるのは初めてだという「in your eyes」を披露し、過去、現在、未来を鮮やかにつないでみせた。
後半戦はアップテンポのナンバーを中心に一気に駆け抜けた。夏の眩しい日差しが煌めく「Reflection」やハワイ語で“灼熱の太陽”という意味のサマーシング「ラハイナ」では観客の体を揺らすと、「心の中に秘めた鋭く尖った刀」をテーマにしたというスパニッシュテイストの「KATANA」では三浦がステージ前方まで進んで熱いソロを弾いてピックを観客に投げる。「ONE」では「みんなで1つになりたいと思います。心の中で一緒に歌ってください」と呼びかけ、配信も含めた観客とのつながりを実現した。
本編最後の曲を前に、三浦が「僕たちは2人組ではなく、バンドメンバー、スタッフ、お客さん、みんながDEPAPPEPEだと思います」と語ったあと、目に涙を溜めながら「2年は長かった! 本当にできてよかった」と感慨深げにこぼした。徳岡は「名言が出たな」と微笑んだが、ライブアーティストとしての苦悩と歓喜が滲み出た場面だった。
そして、最後に「等身大の自分たちとこれから先の気持ち」を込めたという「Guilty」が演奏されると、スクリーンには、二人の出会いから現在までを綴った文章が一言ずつタイプされていき、ファンやスタッフ、音楽への感謝を伝え、「これまでの足掻きの数が、この道の面影を掘っている」と言葉とともに大団円を迎えた。
アンコールでは、初期の代表曲で原点でもある「さざなみ」と「Sky! Sky! Sky!」をメドレーで繋げ、デビューアルバムのリード曲「START」で17年目の一歩を晴れやかな表情で踏み出して、大感謝祭は賑やかなムードの中で締め括られた。