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トップレポート田原俊彦、還暦記念ライブで見せた現役トップエンターテイナーのプライド!

田原俊彦、還暦記念ライブで見せた現役トップエンターテイナーのプライド!

2021.11.11

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2021年2月に60歳を迎えた田原俊彦にとって、大きなマイルストーンとなった公演「60th Birth Anniversary TOSHIHIKO TAHARA Double T Wonderland 2021」が、11月10日に東京国際フォーラムにて華やかに開催された。
 
この還暦記念ライブ、当初は同会場で4月に開催予定だったが、緊急事態宣言が打ち出されたため直前に延期が決まった経緯がある。約7ヶ月後に仕切り直しとなったことで客席数の制限がなくなり、結果的により多くの人が、“トシちゃんの還暦”を祝う形になった。なお、事前に「ドレスコードは赤」だと告知されていたため、ファッションに赤を取り入れたファンが多く集まり、そこに赤いペンライトの光がプラスされ、客席は真紅に彩られた。
 
ライブの内容について触れる前に、田原の現在地について確認しておきたい。80年代のトップアイドルだった田原だが、90年代の終わり頃から苦しい時代がしばらく続いた。テレビ出演の機会は激減し、地方の小さなホールに閑古鳥が鳴いたこともあった。メジャーレーベルとの契約が途切れた期間も短くない。しかし、そんな時代も、毎年のツアー開催と、インディーズであってもシングルのリリースだけは続けた。そして、ステージでのパフォーマンスの質を落とすことをしなかった。それは田原の意地であり、矜持だった。風向きを変えるための唯一の手段だと信じていた。
 
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信念は間違いではなかった。時は流れ、風向きが明らかに変わった。近年は、“今も昔と変わらないパフォーマンスを見せるトシちゃん”を知ったかつてのファン”が続々とコンサート会場に戻ってきたのだ。また、男性や若年層も含む新規ファンも確実に増加。だからこそ、久々の大会場となる東京国際フォーラム・Aホールでの還暦ライブが実現したのである。
 
新旧ファンが待ちに待ったスペシャルなステージは、誕生日をテーマにした『月のイヤリング』でスタート。もちろん、田原自身も真っ赤な衣装を身にまとっている。続いて『騎士道』、『グッドラックLOVE』と80年代のヒット曲で盛り上げる。最初のMCではこの日を迎えられた喜びを観客に伝えつつ、来たくても来られなかったファンに対する気遣いをみせた。
 
圧巻だったのが、続く『チャールストンにはまだ早い』のパフォーマンスだ。ジャズのテイストがある同曲は、田原のエンターテイナーぶりを強く感じさせる曲としてファンに人気が高い。特に間奏の激しいダンス……からの、何事もなかったような2コーラス目の歌い出しは大きな見どころとなっている。この日の『チャールストン~』も、60歳という年齢をまったく感じさせないものだった。
 
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会場の熱気が最高潮に達すると『君に決定!』、『原宿キッス』、『ハッとしてgood』とヒット曲のメドレーが続く。また、ステージ上で学生服に着替え、自身が出演した学園ドラマ『ただいま放課後』(フジテレビ系)の主題歌『青春ひとりじめ』を歌う茶目っ気を見せた。
 
中盤パートは、シングルのカップリング曲やアルバム曲などレアな楽曲と、お馴染みの曲を織り交ぜたセットリストとなった。『ジャングルjungle』は、ハードに踊り続けることが求められる29歳の頃のヒット曲。見方を変えれば、田原が今も現役バリバリであることを証明できるリトマス試験紙だともいえる。客席のファンは、ペンライトの色を緑色に変えてジャングルを表現した。中盤のラストは、2014年にリリースされた、スペインを意識した曲調の『Bonita』という曲だ。タンゴ風の振り付けに田原のダンススキルが凝縮されている。
 
主役が舞台から姿を消すと、会場には研ナオコ、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、爆笑問題、黒柳徹子、五木ひろし、三浦知良ら親しい著名人からのお祝い音声メッセージが流された。五木や三浦は客席にも姿を見せていた。
 
シルバーの衣装で再登場した田原は、ファンへの感謝を歌詞に込めたバラード『Cordially』を熱唱。そこから畳み込むように『哀愁でいと』、『悲しみ2ヤング』、『抱きしめてTONIGHT』とキラーチューンを3連発でカマす。すべてダンスのキレは、“あの頃”と変わりナシだ。続く『Dynamite Survival』は、自身の生き様を歌ったファンの心に刺さる曲。ここで田原はジャケットを脱ぎ捨て、トレーニングの賜物である細マッチョな上腕二頭筋を露出させた。
 
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最後のMCでは、これまでの歩みを振り返りつつ、「人生100年時代と言われます。それを考えると、60歳なんてまだまだだと思います」と、この日が通過点であることを明言。そして、「あの世でもよろしく」という、田原にしか歌えない歌詞がある今年の最新シングル『HA-HA-HAPPY』を笑顔で歌い上げたのだった。
 
声援NGのコロナ禍では、アンコールは手拍子で表現される。ステージに戻ってきた田原は、主演映画の主題歌『ラブ・シュプール』をセグウェイに乗りながら、さらにダブルアンコールでは、定番の盛り上げ曲『センチメンタル・ハイウェイ』を躍動しながら披露。還暦記念ライブを派手に締めくくった。
 
約2時間ノンストップで歌いっぱなし&踊りっぱなし。基本的に衣装はド派手。トークはお約束のギャグ率高し。脚を上げる高さは20代の頃と同じ。ターンの回数は増し増し。そしてヒット曲は特盛り。今回のセットリストは一夜限りだったが、同じボリューム感とクオリティのステージは田原が全国各地で日常的に提供しているものだ。
 
会場で何人かのファンに話を聞いた。「動画サイトで成熟した魅力的なスター・田原俊彦を知り、そこから若い頃のかわいい、カッコいいトシちゃんをさかのぼって知っていくことで、ますます惹かれていきました」と語るのは、2019年からの新規ファンだという女性だ。「昔から好きだったけど、ライブを観るのは初めて。昔より今のトシちゃんの方が凄い」という男性ファンもいた。ファン歴42年だという女性は心からの思いを伝えてくれた。「田原俊彦は、過去に活躍したアイドルではなく、現在進行形のエンターテイナーです。今の彼の凄さをもっとたくさんの人に知って欲しいと切に願っています」。
 
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さて、このレポートを読んで今の田原俊彦に興味を持った方に朗報だ。今回のライブが2022年1月にWOWOWで独占放送・配信されることが決まったのだ。詳細は後日発表。こちらのサイトでチェックしよう。
 
文/ミゾロギ・ダイスケ 写真/西村彩子
 

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