のんが、さる3月19日(金)に都内のスタジオで『おうちで観るライブvol.7』を開催。公演は無観客で行なわれ、動画視聴サイトを通じてライブ配信された。
『おうちで観るライブ』は、視聴者のお部屋がライブハウスになる! というコンセプトの元、のんとギタリストのひぐちけいがふたりで昨年5月よりスタートさせた無観客/配信ライブ企画。Vol.3(7月開催)以降は大友良英&Sachiko M、ユウ(チリヌルヲワカ)、柴田隆浩(忘れらんねえよ)らがゲストで参加。12月と2月は「のんとも。M」で出演。通算9回目となった今回は久しぶりにひぐちけいとのふたりだけで開催。約2時間にわたって、まったりとしたトークを交えながら、7曲を演奏した。
『おうちで観るライブ』シリーズの魅力はライブ&トークの面白さに加え、毎回披露される衣装にも注目が集まる。この日ののんは、ライト・ブラウンのカットソーに、ビーガン・レザーのリボンで作られたアート・ピースのようなトップス、頭には同素材のリボン製のヘッドピース。この日、発表されたのんが脚本・監督・主演を務める映画『Ribbon』にちなみ、“リボン”をモチーフにデザインされたコスチューム。下はスモーキー・ピンクのプリーツパンツに、足元はサトウキビなどを原料として作られているSDGsを意識したファーサンダル。食いしん坊のひぐちけいは「それ、食べたら甘いの?」とツッコミを入れる。
一方、ひぐちけいは、弾力感があるふわっとしたライトベージュ・パーカー。袖にはラメが入ったベルベット製のブラウン・リボンをデコレートと、こちらも映画タイトルに合わせた。パンツはベージュのワーク・スタイル・オーバーオールにコーデュロイ製の茶色のスニーカー。それぞれがリボンを配し、ブラウンをベースにコーディネートしたシックでエキセントリックな衣装だ。
ライブは「わたしは部屋充」でスタート。のんからの開会宣言に続いて演奏されたのはTHE BLUE HEARTSのカバー「キスしてほしい」。昨年末、WEBで流されたマルコメ恋愛発酵学会CM曲だ。原曲と違ってスロウ・テンポにアレンジされ、しっとりとウィスパー・ボイスで歌う。イントロやサビでは、ひぐちけいとがコーラスに入り美しいハーモニーを聴かせる。視聴画面のコメント欄には、「柔らかい声に泣きそうになる」「ハーモニー、キレイ!」と寄せられる。
この日のテーマ「どっちが知ってるでショー」。お互いの得意分野をフィーチャーした5つのバトル・マッチが用意される。ひとつめは、DIYが趣味のひぐちけいに絡めた「ノコギリ対決」。2つめの勝負は、いかに早くかつキレイに結べるかを競う「リボン結び対決」。3つめのバトルは「ガン・タッカー布貼り対決」。画布を木枠にガン・タッカーを貼り付けてキャンバスを作っていく。4つめはできたてのキャンバスにお互いの肖像を描き合う「似顔絵対決」。ジャッジは画面の向こうの視聴者の投票に委ねる。
このバトルは『おうちで観るライブ』シリーズの恒例企画だが、これまで、のんはひぐちけいに対し惜敗を舐め続けている。ところがこの日は4戦全勝。最終戦を前に「勝ち」を確信したのんのドヤ顔に、視聴画面には初勝利をお祝いするするコメントが並んでいた。
一方、ライブでは、久しぶりのふたりだけの演奏となったが、その息はピッタリ。「のんとも。M」の最新アルバム収録の「いつでも君は」では、のんがアコースティックを弾き、ひぐちけいはテレキャスターでサーフ風のスライド・ギターを披露。さらに、のんのスキャットに合わせて、ギターでユニゾン。ゾクゾクするほどのカッコよさ。「へーんなのっ」では、のんが愛機の赤・テレキャスターに持ち替え、激しくかき鳴らす。演奏が終わると、思わず顔を見合わせ「これ楽しい!!!」と大満足。
圧巻はキリンジのカバー「エイリアンズ」。2017年6月に「LINEモバイル」のCM曲として一夜限り(のんアカペラver.)で放送された曲だ(現在は配信で入手可)。ハンドマイクを持って、透き通った声でじっくりと丁寧に歌い込む。鳥肌が立つほどの素晴らしさ。「優しい夜に溶け込んでいきそう!」「生エイリアンズようやく聴けた!」「スロウでメロウな感じが素敵!」とコメント欄も大絶賛。できるなら、静謐な教会の中で聴いてみたい。そんなことを思わせるようなパフォーマンスであった。ライブ・パートのラストは『おうちで観るライブ』を始めるに際して、ふたりで作った想い出深い曲「僕は君の太陽」で締める。
さて、5つのバトル、最終戦はクイズ対決。「私が最初にカバーした曲は?」「のんが普段よく使う絵文字は?」といった本人しか答えられないような難問を5問ずつ出し合う。勝者にはボーナス・ポイントが加算され、大逆転も可能なシステム。結果、のんの勝利。しかし、ひぐちけいの最後の問題「私のいいところを5つ挙げよ!」に、のんが5つ上げた「褒め」ワードに本人は「勝負に敗けたけど、いい気分!」と大満足。のんは「勝ったのに負けたような気がする…」と複雑な様子。
ここで画面は、冒頭にも触れたのんの映画『Ribbon』の応援スペシャル映像(樋口真嗣・監督が演出)「映画と生きる 映画に生きる」に切り替わる。上映が終わると、「(5番勝負の)うぃなー!!!」と書かれたタスキをかけたのんから、重大発表。ひぐちけいが映画『Ribbon』の劇伴音楽を担当したことを明かす。ひぐちけいは「いっぱい曲作ったよね、ボツになった曲も多いけど…」とこぼすと、「使い所がなかっただけです」とのん監督は弁解。その身も蓋もない弁明に、コメント欄も大爆笑。編集画面を見たひぐちは「のんちゃんが描いている世界に、音楽が嵌っていくのを見て、映像との混ざり具合に感動した」と感無量。そして最後は今月7日に誕生日を迎えたひぐちへ、バースデーケーキのサプライズ。ただし、このサプライズ計画、迂闊にも、ひぐちも含めたLINEグループでやり取りが交わされ、すっかり当人にお見通しだった。まさかの落ちに、配信画面も大笑いで大団円。
のんおうちで観るライブvol.7は、3月28日(日)23時59分まで見逃し視聴ができる。また、4月1日から過去の『おうちで観るライブ』のアーカイブ配信がスタート(まずはVol.2から)する。(PHOTO:Kentaro MINAMI)
のんおうちで観るライブvol.7
2021年3月19日(金)20:00
【セットリスト】
01. わたしは部屋充
02. キスしてほしい
03. ナマイキにスカート
04. いつでも君は
05. へーんなのっ
06. エイリアンズ
07. 僕は君の太陽
【出演】のん / ひぐちけい
【のん衣装協力】MiyukiKitahara 、UGG
視聴チケット価格(税込):2,200円
チケット販売期間:2021年3月26日(金)23:59まで
アーカイブ視聴期間:2021年3月28日(日)23:59まで
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