沈みかけてたものが息を吹き返して逆らうように登っていった
Text:逸見亮太(myeahnsボーカル)/Photo:長棟航平
令和元年9月4日。我々myeahns、初のファーストフルアルバム『Masterpiece』が店頭に並ぶ日、"双六騒動スペシャル"というmyeahns主催のイベントを、自身のレーベルのライブハウスである新宿LOFTにて開催した。
アルバムを出すことが決まり、ロフトプロジェクトの大塚さんを含めたレーベルスタッフと何度も打ち合わせをしたあの場所で、発売日に。大塚さんが発売日に合わせてLOFTの一日をmyeahnsにくれた。
総勢8組、この大事な日に一緒にやりたいと思ったバンドに出演してもらった。正直、どこかしらには断られてしまうと思ったが、見事全部決まった。Layne、THE BOHEMIANS、岩崎優也(SUNNY CAR WASH)、爆弾ジョニー、東京少年倶楽部、hotspring、倉内太(ウエル)。本当に感謝しきれない。ありがとう。一戦交えてしまったから、俺たちもうただの友だちじゃないよな。こうなったら俺たちズブズブの関係だよな。大袈裟に言って、人生の特別な日に共演してくれたこと忘れない。
サイコーの8組が出揃い、あとはそれぞれが思い思いにやるだけ。さぁ、ついにこの日が来たんだよ。イベント当日、この日の新宿LOFTは開場前から何かが起きそうな空気が漂ってた。まず、イベントのトップで出演するはずの倉内くんがリハーサル時間16:30になっても現れない。基本的に各バンドリハーサルの30分前が入り時間なのだが、本人と連絡もつかない状況が続く。会場前にはお客さんが集まりだし、ついに開場の時間。一向に連絡もない。いよいよ俺のところに心配するメンバーやスタッフがやってくる。「来るはずだ」と信じていたんだけど、流石に開演20分前には倉内くんが来なかったときの案として、各出演者の弾き語りが出来る人で30分間をまわすということで決定。LOFTのアコギを借りてサウンドチェックまで完了。
しかし、そのタイミングで現れたのは上下真っ白の服を着て、さらに白い帽子を被った白一色の装いの倉内くんだった。
そう、サイコーの8組が揃ったのは、実は開演時間の5分前。
ドタバタしてるときに楽屋は騒ついて、あちこちで、「なんかこういうのワクワクしますね」という声が聞こえてきた。本音はそれどころじゃなかったけど、今考えると一筋縄でいかない感じが、いかにもエキサイティングで胸踊る音楽ライブにふさわしい幕開けだったんだ。
各バンド、時間の許す限りライブを見た。
倉内くんの、セットリストを決めないで歌いたい歌を迷いなく歌う姿。hotspringの、対バンには負けたくねぇっていう闘争心。東京少年倶楽部の、LOFTという憧れの場所への情感。爆弾ジョニーの、お客さんを巻き込んで最終的に笑顔にさせるパワー。岩崎優也の、記念すべき復活初日の緊張感。THE BOHEMIANSの、先輩として情熱のある身のこなし。Layneの、揺るがないロックへの愛のある敬愛。
本当にみんないいライブをしてくれて、それぞれやり方は違うけど、こんな日も珍しいと思うくらいこっちをアツくさせてくれた。この8組で本当によかった。
myeahnsの出番直前に舞台袖にやってきたのはLOFTプロジェクト、レーベルプロデューサーの大塚さん。
「ロックの歴史、変えようぜ」と一言。
なんか、もうこの時点で色々あったし泣きそうで、メンバーと大塚さんと握手したら、出囃子のエルビス・プレスリーの声が聴こえてきて。
ライブは、ただただ夢中だった。本当にあの日、沈みかけてたものが息を吹き返して逆らうように登っていくカケラが見えた気がした。それがなんなのか俺にはわかった。
終演したのは手元の時計で22:37。平日ど真ん中だというのに遅くまで皆さんありがとう。
そして、本当にいいアルバムが完成したんだよ。
現在はツアー真っ只中。ツアーファイナルは11/1(金)下北沢SHELTER。ファーストアルバムの、バンドにとって最初で最後のツアーファイナル。本当に目撃して欲しい。