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トップレポートピアノ連弾ユニットKitri、デビュー・ライブ・ツアー「キトリの音楽会 ♯1」で「今日、一番言いたかったこと」。

ピアノ連弾ユニットKitri、デビュー・ライブ・ツアー「キトリの音楽会 ♯1」で「今日、一番言いたかったこと」。

2019.02.04

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今年1月、大橋トリオのプロデュースによる1st EP『Primo』でメジャー・デビューを果たした、モナ&ヒナの姉妹によるピアノ連弾ユニットKitriが2月3日、東京・渋谷の「JZ Brat Sound of Tokyo」にてライブを行った。
 
本公演は、彼女たちが「キトリの音楽会 ♯1」と銘打ち、全国4カ所で開催してきたデビュー・ライブ・ツアーの一つである。会場に到着すると、ステージ中央にはフルサイズのグランドピアノが置かれ、その周りにアコースティック・ギターやクラシック・ギター、そしてカホンなどのパーカッションが配置されている。客席から手を伸ばせば届きそうな距離で、これから行われる「音楽会」に、集まったオーディエンスたちの期待は自ずと高まっていた。
 
定刻となり、モナとヒナがステージに姿を現すと驚きの声が小さく上がる。小さな白いボタンの付いた赤いブラウスに、赤いサスペンダースカート、そして赤いヴェルヴェットのパンプスという揃いの服に身を包んだ2人が並ぶと、まるで双子のよう。ピアノの前に置かれた長椅子に並んで座り、まずは連弾によるクラシック曲「スペイン風の踊り」を披露した。
 
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まず驚いたのは、2人の連弾が音源で聴いているよりも、ずっとパワフルでダイナミックだったことだ。まるでハンマーを打ち鳴らすようなモナの左手と、蝶の羽のように軽やかに舞うヒナの右手。もう片方の手は時々鍵盤の上で交差しながら、複雑だが奥行きと広がりを感じさせるハーモニーを奏でている。息を合わせ、一方が表拍を、もう一方が裏拍をものすごいスピードで交互に打鍵する様は、まるでバリ島のガムランを見ているようだ。
 
『Primo』からの「細胞のダンス」では、スリリングかつリズミカルなピアノのリフの上で、モナの少しハスキー気味のウィスパー・ヴォイスがたゆたう。そこに、透明感あふれるヒナのハーモニーが重なると、期待と不安が入り混じったような、えもいわれぬ高揚感が体の内側から湧き上がってくる。とりわけヒナの、凝ったコーラスワークは聴きどころの一つ。高校入学のタイミングで一旦はピアノを辞め、合唱部で本格的に声楽を学んだ彼女ならではといえよう。
 
●ヒナソロ1D2_4653.jpg●モナソロ1D2_4669.jpg
 
「今日は是非、覚えて帰っていただきたいことがあって。私たちは(容姿が)似ているのでよく『双子ですか?』と聞かれるんですけど、『姉妹です』ということをお伝えしたいと思います」とヒナがトスし、「それが今日、一番言いたかったことかな、と思っています」とモナがレシーブするなど、演奏だけでなくMCでも息の合ったところを見せて会場を和やかに。ライブ中盤は「カヴァー・コーナー」と称し、大正時代の童謡「ペチカ」と昭和の歌謡曲「林檎殺人事件」、そして平成の歌謡曲「硝子の少年」をKitri流に料理してみせた。
 
「次の曲は、Kitriのチャレンジを込めた1曲です」そうモナが紹介したのは、前回の大阪公演(1月25日)から演奏している新曲「矛盾律」。まるで暴走するメリーゴーランドに飛び乗り夜空を駆け巡っているような、カラフルでサイケデリックなコード展開とハーモニーに軽い目眩を覚える。曲の途中、さっきまでピアノを弾いていたモナがおもむろに立ち上がり、ステージ中央のマイクへ。ヒナと一緒に、カスタネットやハンドベル、ギロなどのパーカッションを1フレーズずつ交互に鳴らし、それをループ・マシンで次々と重ねていく。再びピアノに戻ったモナと、アコギを抱えたヒナが、そのループ・マシンのリズムに合わせて摩訶不思議なコードを響かせエンディングを迎えると、会場からはひときわ大きな拍手と歓声が巻き起こった。
 
彼女たちの代表曲であり「決意表明の曲」であるという「羅針鳥」は、神谷洵平(赤い靴)によるダンサンブルなアレンジが印象的だったが、ピアノの連弾のみで聴くと、モナとヒナの声質の違いや、モナの書くメロディの美しさ、そして合計20本の指で演奏されるピアノの、まるでオーケストラのような迫力が、より際立ち圧巻だった。
 
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「こうやって聴きに来てくださっている方のおかげで私たちはライブが出来るので、本当にありがたいなと思います。これからもっともっと成長していけるように頑張りますので、応援よろしくお願いします」とモナ。「本当に温かく見守っていただいて、本当に楽しいライブが出来ました。ありがとうございます。また皆さんにお会いできるように頑張ります」とヒナが挨拶すると、会場から大きな拍手が。最後に未発表曲の「名残」を演奏し、大盛況のうちに幕を下ろした。(text:黒田隆憲  photo:藤井拓)
 
 
 

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