フォトグラファー・三吉ツカサによる『One Band, One Photographer, 20 years. BRAHMAN and Tsukasa Miyoshi Photo Exhibition』と題されたBRAHMANの写真展が10月1日から10月13日まで、PARCO GALLERY Xにて開催された。
その写真展の最終日には、写真展開催を記念し、箭内道彦初監督作品の映画『ブラフマン』の復活上映会が開催された。
上映前に行なわれた、三吉さんと、2015年に結成20周年を迎えたBRAHMANのメンバー全員が揃った(映画『ブラフマン』の関連イベントで4人が揃うのは初です!)トークショーの模様をお伝えします。
まずは、ブラフマンのテーマ曲「其限」に合わせてMCの阿刀“DA”大志さんが登場。そして阿刀さんの呼び込みに合わせ、三吉さん、BRAHMANの4人が登場(みんな片方にビールを持って登場です!)。
三吉さんは東京で写真展を開催するのが初で、BRAHMANの写真展を開催するのは10年ぶりくらいとのこと。
自分の撮ってきた中の写真が強くなったなと自信がついて、大きな壁に貼ってもしっくりくるように思え、自分の写真に舞台を作ってあげれたといいます。
4人それぞれのからの三吉さんの最初の印象は──。
RONZIさん「僕が言うのもなんですけど、チビだなーと思いました(笑)。子どもだから小ちゃいのかなーって思っていましたが、そのままでしたね(笑)」
MAKOTOさん「『A MAN OF THE WORLD』のツアーに一緒に同行してくれて、レーベルの社長の車に乗ってずっと寝ていて、よく寝る子だなと(笑)」
KOHKIさん「僕も『A MAN OF THE WORLD』のツアーで知り合って、本当に車で九割方寝ているんですよね。起きているほうがレアで。そしてヘビースモーカーだなって、僕もなんですけど(笑)。けっこう酒も飲むし。チーム部屋飲みの仲間です」
TOSHI-LOWさん「昔の印象うんぬんではなくて、20周年の写真展の物販なんですが、Tシャツは分かりますよ。なんですか、あれ。入れ物が売ってたじゃないですか。ただの、台所で見かける入れ物が。しかも1000円で売ってるじゃないですか(笑)。けっこうするなと。さっき現物を見まして、ひっくり返りました。実は俺、実際に使って飲んでいるところを見たことがなくて。さっき、部屋飲みってワードが出たじゃないですか。でも、いつも部屋飲みの時は次の日歌わなきゃいけないという状況の時が多くて、そこまで深酒したら歌えなくなるから行かないんですよね。だから実際に見たことがないんですよね」
そこに通称“バスタブ”と言われる、入れ物にいっぱいのウイスキーの水割りが注がれたものが全員分運ばれてくる。
「ホテルには湯のみと、歯ブラシ用のコップしかないので、水割りを作っていると百杯くらい作るハメになるんで、面倒くさいからデカいコップにするってところからきています(笑)」と三吉さん。
乾杯の挨拶の後、TOSHI-LOWさんは一気に飲み干してみせた。
その後、写真の話になり。最初は三吉さんはオフショットを撮っておらず、「ライブ以外は興味がありませんから」と宣言し、写真を撮っていたという。「カッコイイものだけ撮っていたかったんですよ。最初オフショットに色気とかは感じていなくて、やっと楽しくなったんですよ、昼とか撮る写真も。旅日記みたいな。“撮らなきゃ”って思うと絶対つまらない写真になるんで」とのこと。
それに対し、TOSHI-LOWさんはこう語る。
「ツカサの言う通り、“撮らなきゃ”って思った写真はつまらないんだよね。でも、当たり前だけどこっちは被写体で、ツカサはそれを撮ってるわけ。撮られるって分かっているけど、いつ撮られるか分かっていないというか。共同作業で生み出しているわけじゃなくて。別個なの。
だからといって繋がってないかというと、そうではなくて。一個の瞬間を切り出すためにもっと心のあくどい部分。例えば、『お前が悪いことしたの知ってるけど言わないよ』みたいな共犯作業をしているわけ。どっかでは撮られるって知っているから気を張って動いている自分がいるし、どっかでは切り取られた時にアホみたいな顔していたくないからビッとしているわけ。一瞬を切りだすために、俺の言葉で言えば“共犯”みたいな。
みんなでほのぼのと作り出していくのではなく、もっと切り合いみたいなのをずっとツカサには感じている。年々それは強くなっている。20年近く撮られているってそういうことじゃん。撮られていることを意識してポーズをとったら、そんなのカッコわりいに決まっている。だけど、意識しながらも意識していない。どっかで動いた瞬間、ただ手が、中指が、浮いている。汗まみれになっている。それが人の心を打つ。一瞬。何万分の一の秒数を写し出す写真って凄さがあるなって思う」
そんなBRAHMANとの長い関係の中で、三吉さんがBRAHMANのライブに対してつまらないと感じた時期もあったそうです。
「何か新しいことが生まれる雰囲気が感じれなくなって、ドキドキしなくなった時期があった。それを直接言える関係なのであれば絶対言ったほうがいいと思うし、それを言って何かが変わるわけではないかもしれないけど、俺がずっと撮りに行きたいバンドでは“今は”ないことは伝えたほうがいいと思った。大事なバンドなんですよ。そこを凄く大事にしているバンドだし、好きなところだった。でもそれはバンドというよりはTOSHI-LOWくんにウエイトがあって。迷っているとか、プライベートに何かあると、少し撮っていると分かってしまうんですよ」と言う三吉さん。
TOSHI-LOWさんは「つまんないっす、撮れないっす」って言われた時はショックだったが、正直で逆に凄く信頼できたという。
毎回ライブの後、HP用に写真を1枚選んでアップしているお話では、前は三吉さんが写真を4枚出して、メンバーとみんなでどれが良いか決めていたのですが、今は例えばそれがイベントだとしたら、まずイベントの趣旨がある。そして意味なく出るバンドではないので、イベントに出た意味を考え、その日何をやったかを考え三吉さんが選んでいるとのこと。
その写真で唯一メンバーが写ってない写真が東北JAM。
あの日の意味は、この写真の中に全部写っていると強い言葉を聞けた。
最後に三吉さんに映画『ブラフマン』の感想を聞かれると、「今のトークショーで話したことがネタバレのような映画ですね(笑)。僕が見ても何の驚きもない、違和感もない。僕も一緒に過ごしてきた時間を切り取った映画だなって思う。一緒に旅を回って見えたものがたくさん映っている映画だと思いました」と答えてくれた。
初見の方だけではなく、リピーターが多かった今回の復活上映会。BRAHMANの20年、そしてそれを一緒に写し続けた男、三吉ツカサさんの魅力が伝わるお話を伺えた貴重な時間でした。(取材・文◎日野弘美)
商品情報
映画『ブラフマン』
監督・撮影:箭内道彦
出演:BRAHMAN(TOSHI-LOW、KOHKI、MAKOTO、RONZI)
語り:Ken Yokoyama、りょう、井浦新ほか
配給・宣伝:プレデシオ
2015年/カラー/DPC/日本/118分
映画『ブラフマン』今後のスケジュール
【上映中の劇場】
●イオンシネマ天童/10月16日(金)まで
●長野グランドシネマズ/10月23日(金)まで
※10月14日(水)TOSHI-LOW舞台挨拶決定!!
【今後の上映会場】
●イオンシネマ岡山/10月17日(土)〜10月23日(金)
●フォーラム盛岡/10月31日(土)〜11月13日(金)
※11月4日(水)TOSHI-LOW舞台挨拶決定!!
Live Info.
BRAHMAN 20th Anniversary Live
「尽未来際 〜尽未来祭〜」
日程:11月14日(土)
場所:幕張メッセ国際展示場
OPEN 10:30 / START 12:00
<出演>
w/ BACK DROP BOMB / COCOBAT / COKEHEAD HIPSTERS / HUSKING BEE / MONGOL800 / SCAFULL KING / SLANG and more
日程:11月15日(日)
場所委:幕張メッセ国際展示場
OPEN 10:30 / START 12:00
<出演>
w/ ACIDMAN / THE BACK HORN / エレファントカシマシ / HEY-SMITH / the HIATUS / MAN WITH A MISSION / SiM / ストレイテナー / 10-FEET
<チケット>
2日通し券:15,000円(税込)
11月14日、15日券 8,500円(税込)
<問合せ>
スマッシュ 03-3444-6751
ホットスタッフ 03-5720-9999