デビュー20周年を迎えた堂島孝平が2/22(日)、東京・中野サンプラザホールで「堂島孝平 活動20周年記念公演 オールスター大感謝祭!」を開催した。堂島の39歳の誕生日に行われたこのイベントにはYO-KING、桜井秀俊、東京スカパラダイスオーケストラ、NONA REEVES、和田唱(トライセラトップス)、レキシなど豪華なゲストが出演。堂島孝平というアーティストの幅広い才能と誰からも愛される人柄、そして、20年の活動の軌跡がまっすぐに伝わるステージが繰り広げられた。
17時ジャストに赤いジャケットを着た堂島が登場。両手を上げて挨拶した後、エレキギターの弾き語りによる「いとしの第三惑星」からイベントの第一部がスタート。曲の途中でA.C.E.(奥田健介/G 鹿島達也/Ba 小松シゲル/Dr 渡辺シュンスケ/Key)が登場、‘95年2月21日にリリースされたデビュー曲「俺はどこへ行く」を披露し、イベントのオープニングを鮮やかに飾った。この日の最初のゲストはヒックスヴィル。「自分の音楽活動に大きなきっかけをくれた曲で景気をつけたいと思います」というMCとともに「葛飾ラプソディー」(‘97年/アニメ「こちら葛飾区亀有公演前派出所」オープニングテーマ)を演奏し、ノスタルジックな雰囲気を演出。ジャズのエッセンスと抒情的なポップスを融合させたアレンジも素晴らしい。
さらにNONA REEVES、和田唱など、堂島と交流のあるアーティストが次々と登場。「6AM(feat.西寺郷太)」「Raspberry」(トライセラトップス)など堂島自身がリクエストした楽曲によるスペシャルなコラボレーションが実現し、“オールスター大感謝祭”というタイトルにふさわしいステージにつながっていく。第一部ラストではGO-GO KING RECORDERS(tatsu/Ba 沖祐市/key 大森はじめ/Per 茂木欣一/Dr)とともに「夜間飛行」「メロディアス」「25才」「ルーザー」をパフォーマンス。個性的なミュージシャンによる緊張感に満ちたバンドサウンドのなかで堂島のストイックなボーカルが響き渡り、イベントは最初のピークを迎えた。
第二部は西寺郷太(NONA REEVES)、藤井隆とともに結成したアイドルユニット(?)“Small Boys”のステージ。「西部警察」のパロディによるオープニング映像、EDMテイストのトラックとカラフルなメロディ、キュートな振付によって、サイリウムを持ったオーディエンスを盛り上げる。このハジけたエンターテインメント性もまた、堂島の魅力だ。
イベントは第三部へ。堂島が楽曲プロデュースを担当した住岡梨奈、現在の堂島のライブを支えるHi-Tension Please!、デビュー前から交流があるというUNISON SQUARE GARDENなど、年齢とジャンルを超えたゲスト陣とセッションを繰り広げる。そして、この日の最初のハイライトとも言えるのが東京スカパラダイスオーケストラとのコラボ。茂木がボーカルを取る「銀河と迷路」の途中で白いスーツと黒のハットで決めた堂島がステージに現れ、大きな歓声が巻き起こる。さらにスカパラがこのイベントのためにアレンジした「So She,So I」、「ジャングル・ブギー」(笠置シズ子)を放ち、会場をダンスホールへと変貌させていった。
続くゲストはレキシ。「20周年のお祝いなんだけど、レキシ・ネームで呼んでいい?」(レキシ)ということで、堂島は“マウス小僧JIROKICHI”として「妹子なぅ」を披露。「狩りから稲作へ」(レキシ)では「出来るかな…」と言いつつ堂島が切れ味のいいラップを聴かせる。いつも通りの小ネタとダジャレ・トークで長引きそうになりつつも、会場を極上&爆笑のファンク・ミュージックで包み込んだ。
スタートから3時間半が過ぎ、イベントはついにクライマックスへと向かう。ヒックスヴィル、6人編成の女性ホーンセクション、さらに桜井秀俊(真心ブラザーズ)などによるビッグバンド「堂島孝平楽団」で「セピア」「センチメンタル・シティ・ロマンス」といったシングル曲をゴージャズに演奏した後、「僕の本当に大好きな人をお迎えするので、ここ一番の拍手をもらいたいです」という紹介でYO-KINGがステージに姿を見せる。まずは「キンプリのテーマ」(“キンプリ”とはYO-KINGと堂島によるユニット“KING&PRINCE”)披露。続いて「95年の2月21日にデビューでしょ? 本当は昨日(2月21日)このイベントやりたかったよね。俺、昨日ここで(真心ブラザーズのライブ)やってたんだよ。ごめんね」「いえいえ。来てくれてありがとうございます」というやりとりを挟み「Hey!みんな元気かい」、「YO-KINGさんと2マンライブしたときに初めて歌って、“あれは絶対、ずっと歌い続けたほうがいい”と言ってくれた曲」(堂島)という「旅人のうた」(YO-KINGのブルースハープが絶品!)。アコースティックギターと歌による、最高に贅沢なセッションだった。
この後、信じられないようなサプライズが。「シンガーソングライターとしての大先輩。いま自分が持っているプライドも、この方から教わったうえで築き上げてきたと思っています」(堂島)というコメントで姿を見せたのは、佐野元春! ステージ上でガッチリと握手を交わし、名曲「SOMEDAY」が奏でられる。佐野の横でコーラスする堂島も当然、感極まった表情。「堂島孝平くん、デビュー20周年おめでとう」「今日は素晴らしい、新しい世代のミュージシャンがたくさん集まっています。彼らの音楽とともに育ってきたみなさんにも、僕からおめでとうと言いたいです」という佐野のコメントも強く心に残った。
「もう一度だけ、みなさんに大きな声をもらいたい! イケる?!」という煽りとともに「き、ぜ、つ、し、ちゃ、う」を放ったあと、堂島は改めて20周年を迎えられたことに対する感謝を述べ、こんなふうに語った。
「20周年を振り返って、何か言えることがあるかなって考えたんですけど。正直言って、今日のことで精一杯で。でも、“そういうことだな”って思いました。目の前のことに精一杯、取り組んできて、今日に至る。自分が作った音楽を受け止めてくれた人たち、いっしょに走ってくれた人たちの気持ちを受け止めながら、これからも目の前のことを精一杯やろうと思います」
「39歳になった記念に!」と演奏された「サンキューミュージック」で本編は終了。アンコールではゲスト陣が勢ぞろいし「LUCKY SAD」、さらに堂島の弾き語りによる「俺は、ゆく」(最新アルバム「フィクション」収録)が歌われ、約5時間に及んだイベントは幕を閉じた。
この日の堂島は「このイベントは20周年の幕開け」と宣言。5/5(祝・火)からソロツアー「【DJKH 20th】堂島孝平×SOLO TOUR『俺が、ゆく』~旅行2015~」を開催、秋にニューアルバム「DJKH」をリリースすることを告知した。さらに2016年にはバンドツアー「【DJKH 20th】DJKH×A.C.E. TOUR 2016『君が、来る』」も決定。このイベントをきっかけにして堂島孝平は、稀代のポップス・クリエイターとしての存在感をさらに強めていくことになりそうだ。
(文:森朋之 写真:大出 丈仁)
■セットリスト
1.いとしの第三惑星
2.俺はどこへ行く
3.あのコ猫かいな
4.涙をとめろ
5.葛飾ラプソディー
6.バイバイ・ブルース
7.6AM
8.I LOVE YOUR SOUL
9.Raspberry
10.Remember
11.夜間飛行
12.メロディアス
13.25才
14.ルーザー
15.Selfish Girl
16.兄弟湾
17.NO GOODBYE
18.25の瞳
19.New Freedom
20.スマイリー、月へ行く
21.MR.アンディ
22.SHORT CUTTER
23.オリオンをなぞる
24.銀河と迷路
25.So She,So I
26.ジャングルブギ
27.妹子なぅ
28.狩りから稲作へ
29.セピア
30.センチメンタル・シティ・ロマンス
31.スマイリンブギ
32.キンプリのテーマ
33.Hey!みんな元気かい
34.旅人のうた
35.SOMEDAY
36.き、ぜ、つ、し、ちゃ、う
37.サンキューミュージック
EN
38.LUCKY SAD
39.俺は、ゆく
Live Info.
堂島孝平ソロツアー決定!
【DJKH 20th】堂島孝平×SOLO TOUR 「俺が、ゆく」~旅行2015~
5月5日(火・祝)福岡LIV LABO
5月6日(水・祝)熊本TSUTAYA Music Cafe Morricone
5月9日(土)岡山城下公会堂
5月15日(金)京都SOLE CAFE
5月16日(土)京都SOLE CAFE
5月31日(日)東京風知空知
7月10日(金)神戸フィッシュ
7月11日(土)広島ヲルガン座
7月18日(土)大阪JANUS DINING
7月19日(日)名古屋KDハポン
7月20日(月・祝)取手Dandelion Cafe
9月5日(土)金沢もっきりや
9月6日(日)横浜パラダイスカフェ
9月12日(土)大阪JANUS DINING
9月20日(日)仙台Shop&WineBarファシュタ
9月22日(火・祝)札幌MUSICA hall cafe
9月24日(木)東京PLEASURE PLEASURE
【DJKH 20th】 DJKH×A.C.E. TOUR 2016 「君が、来る」
※ツアー詳細は後日発表