2012年3月29日(木)下北沢SHELTER
ROOFTOP RESOUND 2012 #1
真空メロウ / 真空ホロウ
このイベントを開催する1ヶ月ほど前に、真空メロウと真空ホロウの対談を行なっていた。これが初対面。お互い探り探りの対談だった。それもそのはず。1999年に結成した真空メロウは2005年に解散、そして2011年Vo.&Gt.忌井がTwitterで再結成を発表し、今に至る。その真空メロウが解散後、真空ホロウが結成されたのだ。なので、お互いそういうバンドがいるということは知っていたものの、ライブを見る機会も面識もないまま、このツーマンイベントが組まれたのだ。対談の最後、「3月29日はどんなライブにしたいですか?」という質問に対し、真空ホロウのDr.大貫朋也が「(真空メロウと)仲良くなりたいです」と言うと、すかさず忌井が「対バンと仲良くならなくてもいいんだよ」と言ってホロウメンバーを震え上がらせ(笑)、本番がどうなることか実は心配だった。まさかあんなことになるとは…。
お客さんがひしめくフロアに、1番目に登場したのは真空ホロウ。1曲目は『ナサム・コニロム』。Gt.&Vo.松本明人の目がいつも以上に鋭く感じたのは気のせいかもしれないが、赤いライトがステージを照らす中、フロアを挑発するように歌う姿から狂気的なものを感じたのは事実だった。その後新曲を挟んでBa.村田智史によるMC。「真空ホロウです。よろしくどうぞ」と言葉少なめではあったが、かなり緊張しているようにも見えた。
その後、静と動を見事に操った『終幕のパレード』や、『誰も知らない』の演奏があり、再び村田のMC。どうやら、この日MCに15分も取っていたそう。「真空メロウさんが気になっていたんですけど、さっきリハを見て、ツーマンやって良かった。名前の縁があって良かった。ひさびさにすごいと思った」と、真空メロウを初めて見てかなり興奮気味に一気に喋った村田。最後にしっかり「俺ら前座じゃないからね」と付け加えていた(笑)。彼らの代表曲となりつつある『闇に踊れ』ではフロアに手拍子を促し、よりダイナミックにグルーヴ感のあるサウンドを聴かせる。さらに後半になるにつれて、テンポの良い曲が演奏され、最後は『サイレン』。目をひん剥いて歌う松本、そしてリズム隊の迫力が圧倒された。今の音楽シーンを震え上がらせる彼らの勢いを充分に感じるライブだった。
そして2番目は真空メロウ。2011年11月に復活し、その後いくつかライブをやったが、1時間セットというのは復活後初めてだそう。その真空メロウ、2002年にリリースされた『魔9』で幕を開け、2曲目は『流行歌』、Ba.栗原賢一が鉄琴を鳴らすスロウテンポの『錆』へと続く。「名前が似てるというだけで何の縁もない2バンドだけど、こうして一緒にライブをやれたことに感謝しています」という忌井のMCから、バスケットボールの話はあまり理解できなかったので割愛。そこから『レオナル堂』へ。実は真
空メロウは、解散前には何度かライブを見ており、2003年11月に『ぞうの王様』をリリースした際にインタビューをしていたが、そうだそうだ、この曲を聴きながら展開が多いバンドだということを思い出した。今でこそ展開が多いバンドは多くなってきているが、当時は「ひねくれているバンド」と言われることが多く、私も小難しいことをやっているという印象だった。しかし、この展開今聴くとゾクゾクする。
『ポピパペポ島』や『天国注射の夜』など、疾走感のある曲が続き、MCでは、先ほどの真空ホロウのライブの感想から、「村田くん(真空ホロウ)がライブ後に楽屋に戻ってきて、MCの反省をしていたから、出番前に“演奏が良かったから大丈夫だよ”と励ましたんだよね」という、微笑ましい話も(笑)。そして、「もう充分やった」という忌井の言葉から『銀色の筒』、最後は真空メロウというとなぜかこの曲を思い出す『心ナイフ』を。そしてステージを降りたが、鳴り止まないアンコールに応えて再び登場。「飲んでばっかりで、人の悪口言って、嫌な気分にさせるバンドだけど、アンコールありがとう。年上なんで、責任持ってしめます」と、相変わらずのひねくれ感のある忌井ではあったが、最後は『プールサイド』で浮遊感と透明感のある歌声を聴かせ、イベントの幕を閉じた。
そして打ち上げへ。あの対談の時は、本当にこのイベント自体がどうなることかと心配と不安が交錯したが、ライブを見て、お互いイベントタイトルの“RESOUND”のように共鳴したのか、ある意味ライブ以上のグルーヴ感を出していたのが打ち上げだった。対談の時から忌井は、「もっと松本くんからいろいろと引き出したい。話を聞きたい」と言っていたが、気付けば松本は忌井の横に座って離れない。忌井がちょっと席を移動したら一緒に付いて行くという、どのタイミングでこんなにもハモったのかよくわからないが、気付けばそんな状態。リズム隊も瓶ビールを注ぎ交わし、あのお互いを探り続けた対談が嘘のよう(笑)。リズム隊は丑三つ時に帰宅したが、両バンドともボーカルを残して行った。その後も忌井&松本コンビは何の話をしていたのかもわからないが、ホロウのリズム隊が帰ろうとしていた時に、忌井が「今日は一緒に出来て本当に良かった」と言ってなかなか帰らせてくれなかったところを見ると、きっと同じような話を松本にもループして話していたのだろうと想像している。
真空メロウと真空ホロウという全然接点がなかった2つのバンドが、“名前が近い”というかなり強引な理由でイベントを行なったが、結果とても良いグルーヴが生まれ、どうやら次のライブの約束をしたとかしないとか…。このイベントをやって、良かったと本当に思えた一日だった。
まさかあんなにハモるとは…(笑)。(Rooftop:やまだともこ)
PHOTO by:柴田恵理
※写真はクリックで拡大して見る事が出来ます。
真空ホロウSET LIST
1、ナサム・コニロム
2、新曲
3、終幕のパレード
4、誰も知らない
5、闇に踊れ
6、被害妄想と自己暗示による不快感
7、クレイマン・クレイマー
8、グライダー
9、新曲
10、サイレン
真空メロウSET LIST
1、魔9
2、流行歌
3、トータス
4、ずわいがに
5、錆
6、レオナル堂
7、ポピパペポ島
8、宇宙音
9、天国注射の夜
10、銀色の筒
11、空っぽワンダー
12、心ナイフ
EN、プールサイド