ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』が6月26日に新潮文庫より刊行。文庫化発表から大きな注目を集めてきた本作だが、このたび解説者や装幀・造本の詳細が発表された。
筒井康隆による書き下ろし解説を収録
本書巻末には小説家、筒井康隆が解説を寄稿。
筒井はSF同人誌『NULL』を創刊し、江戸川乱歩に認められて小説家として出発。中央公論社が発行していた伝説の文芸誌『海』の編集長・塙嘉彦と出会い、「もっと前衛的なものを書いてくれ」と求められた。同誌の海外文学特集に触発されながら、『虚人たち』『虚航船団』『残像に口紅を』『モナドの領域』といった傑作を次々と発表。60年以上の作家人生でフィクションの限界を突破し続けている。
筒井にとってガルシア=マルケスは特別な存在で、本書解説では〈「ラテン・アメリカの土俗性が喜ばれるのは日本の後進性を示している」などと嘯いていた〉文壇の老大家に〈まず鳩尾(みぞおち)に十七回突きを入れ、六十九回両ビンタを食わしてやりたいね〉と書いている。
そのほか、本書の翻訳者の故・鼓直による訳者あとがきも収録。
世界的イラストレーター三宅瑠人が装画を担当
装画はイラストレーターの三宅瑠人が担当。
三宅はAppleやGucci、Birkenstock、Bottega VenetaやTOYOTAなどに作品を提供し、世界的な注目を集めるイラストレーター。NHKの朝ドラ『虎に翼』のロゴ&メインビジュアルを制作したことでも話題になった。
本作では「ブエンディア一族の年代記」をテーマとした作品を提供している。
ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮文庫版)書影
初回出荷分限定の特別仕様も
さらに、新潮文庫の大きな特徴であるスピン(紐しおり)も本作だけの特別仕様に。通常こげ茶色であるスピンだが、『百年の孤独』文庫版では煌びやかな金色の特別なものを採用。こちらは初回出荷分限定仕様となっている。
『百年の孤独』(新潮文庫版)は鮮やかな金色のスピンを採用した特別仕様
『百年の孤独』とは
1967年にアルゼンチンのスダメリカナ社から刊行され、現在まで46言語に翻訳されて5,000万部を売り上げている世界的ベストセラー。NETFLIXが映像化の権利獲得を発表、大きな話題を呼んでいる。世界の名だたる作家たちが賛辞を惜しまず、その影響下にあることを公言している世界文学屈指の名著。
ガブリエル・ガルシア=マルケスについて
1927年コロンビア生まれ。ボゴタ大学法学部中退。新聞記者として欧州各地を転々としたのち、55年に処女作『落葉』でデビュー。67年に『百年の孤独』を刊行すると、一躍世界的な注目を集める作家となる。『族長の秋』『予告された殺人の記録』『コレラの時代の愛』『迷宮の将軍』など次々と歴史的傑作を発表し、82年にはノーベル文学賞を受賞した。
商品情報
百年の孤独(新潮文庫刊)
【著者】ガブリエル・ガルシア=マルケス
【訳者】鼓直
【発売日】2024年6月26日
【定価】1375円(税込)
【ISBN】978-4-10- 205212-5
【発行】株式会社新潮社