1月7日(木)発売の文芸誌「新潮」2月号に、 筒井康隆氏の最新掌篇小説「川のほとり」が掲載される。 昨年、 最愛の息子を喪った筒井氏の体験が濃厚に反映された、 涙なくして読めない傑作小説だ。
映像化された「時をかける少女」「私のグランパ」「パプリカ」などでも知られ、 幅広い読者を持つ国民的作家・筒井康隆氏。 そのひとり息子にして気鋭画家だった筒井伸輔氏が昨2020年、 わずか51歳の若さで亡くなられた。物語は夢のなかの川のほとり。 そこで主人公の小説家は亡くなって間もない「伸輔」と再会します。 主人公は、 この再会が自分の夢にすぎないことを知っている。 それでも、 息子と語り続けずにはおれません。 喋り終えたら、 夢が覚めてしまうから。
「父さん」
「おう」
「母さんは元気」
「元気だよ」
そのとき、 息子が発した思わぬ一言とは……。
原稿用紙にしてわずか十枚の掌篇ですが、 筒井氏が生涯で一度しか書けない感動の物語が誕生。
著者からのコメント
(新潮社の)中瀬ゆかり出版部長からは、 涙のあとをたくさん原稿用紙に残してしまったという有り難いメール、 「波」の楠瀬啓之編集長からも、 言葉もなく、 問答無用に打たれたというお褒め、 矢野氏からも、 とてつもない、 異常な感動を与える作品という過分のメールを頂いた」(筒井康隆ウェブ日記「偽文士日碌」より)