今月89歳の誕生日を迎える筒井康隆が、「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」と宣言する掌篇小説『カーテンコール』が11月1日(水)に刊行される。
『カーテンコール』というタイトルが示すように〈巨匠、最後の挨拶〉のような本書は、この3年ほど書き継いできた25篇もの珠玉の掌篇小説(ショートショート)集。
前作の短篇集『ジャックポット』が、「現代絵画や現代音楽に張合う小説を」という試みの実験作が多かったのに比べて、今回の『カーテンコール』は読者を愉しませることに主眼を置いた、エンターテインメント色の強い作品ばかり。
『時をかける少女』や『文学部唯野教授』や『パプリカ』などかつての自作の主人公たちが病床の作者を訪れる「プレイバック」、深夜に総理大臣をインタビューする「官邸前」、古代の人類を拉致して美食させるタイムマシン物SF「美食禍」、大蛇に育てられた美少女を描く「白蛇姫」、小さな人魚とのキュートな恋愛譚「横恋慕」等々、デビュー以来60年を超す作家生活で得た技倆の粋を尽くしきった名品揃い。
ひとり息子の画家、筒井伸輔の死の直後に書かれた感涙の掌篇『川のほとり』も特別再録される。
【筒井康隆(つつい・やすたか)プロフィール】
1934年大阪市生れ。60年、SF同人誌『NULL』を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が『宝石』に転載される。65年、第1作品集『東海道戦争』を刊行。81年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、87年『夢の木坂分岐点』で谷崎賞、89年『ヨッパ谷への降下』で川端賞、92年『朝のガスパール』で日本SF大賞、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、17年『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。他の著作に『時をかける少女』、『パプリカ』、『残像に口紅を』、『虚航船団』、『七瀬ふたたび』、『富豪刑事』、『文学部唯野教授』、『聖痕』などがある。
商品情報
カーテンコール
発売日:2023年11月1日(水)発売予定
定価:1870円(税込)
判型:四六判
ISBN :978-4103145363
巨匠、最後の挨拶(カーテンコール)は、25篇もの怒濤的傑作掌篇小説集!
著者曰く「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」(編集者「信じていません!」)。筒井文学の主要登場人物が打ち揃う『プレイバック』をはじめ、巨匠がこれまで蓄積した技倆と思索の全てを注いだ、痙攣的笑い、恐怖とドタバタ、胸えぐる感涙、いつかの夢のごとき抒情などが横溢する圧倒的傑作掌篇小説集爆誕!