ライブ後の打ち上げが関係値の高さに繋がる
──第2弾出演者の面々もロフト愛に溢れた顔ぶれですね。樋口さんはWHITE ASH、FLAMYNGS、YOWLLの3バンドをブッキングされて。
樋口:WHITE ASHはもともとロフト所属でしたし、そんな彼らが復活するというのであればぜひサーキットイベントに出演してほしいとダメ元で打診したところ、メンバー3人一致で「ぜひ出たいです」と快諾していただきまして。
──8月9日に新宿ロフトで行なわれるWHITE ASHの再始動ワンマン『GO BACK TO WHITE』はチケットが即完だったそうですね。
樋口:キャパ以上のエントリーをいただいたんですけど、本当に心苦しいのですが半分以上の方が落選という形になってしまいまして。それ以降の彼らの東京でのライブは今のところこのサーキットフェスだけなので、ぜひご覧になっていただきたいです。私はWHITE ASHのロフト在籍時にそれほど密な繋がりがあったわけじゃないんですけど、ギターの山さん(山岡トモタケ)がバンド解散直後から私が手伝っていた音速ラインと共演したり、いろいろと交流を持つことで距離が縮んで、何か大事なことがあると報告してくれたり相談されるようになったんです。山さんが始めたFLAMYNGSもロフトで『FLAMYNGS FES』をやってくれたりして。今回のWHITE ASH再結成もそんな関係性の中で山さんから聞いて、自然とロフトで再始動する形になりました。YOWLLはBrian the Sunの森良太くんが始めたオルタナバンドで、Brian the Sunもまた付き合いが長くて思い入れのあるバンドで。Brian the Sunの出演が難しくても、そのメンバーがやっているバンドにはぜひこのサーキットフェスに出演してほしくて即打診しました。『YOWLL FES』をロフトでやっていただいたご縁もありますしね。
──柳沢さんがPanorama Panama Townと接点があったのが少し意外な気もしたのですが。
柳沢:彼らはもともとメジャーで活躍していたんですけど、3年ほど前から独立してフリーで活動しているんです。最初は彼らがシェルターでライブをやるときの窓口が僕で、自分がジムでダイエットに励んでいるときに彼らのアルバムを聴いて凄くいいなと思って(笑)。メンバーの人柄も良いのでいろんな人たちから可愛がられていて、独立後も変わらずに応援する関係者が多いのも納得なんです。彼らはバンドの節目に必ずロフトでライブをやってきてくれたし、事あるごとにロフトを好きだと言ってくれるのも有り難いし、これからもずっと応援し続けていきたいです。
柳沢英則
──大江さんはumbrellaと色々な十字架という、従来のヴィジュアル系とは少し毛並みの違うバンドをブッキングしていますね。
大江:はい。色々な十字架は私と同世代で、ヴィジュアル系の中では若手の部類なのですが、メンバーの皆さんがとにかくロフトを好きでいてくれてまして。上京して初めて見たライブがロフトのあぶらだこだったり。umbrellaは大阪のバンドで以前からお世話になっていて、ロフトでもワンマンをやったことがありますし、黒夢が好きなメンバーもいらっしゃるんです。黒夢といえばロフトのライブ盤(『1997.10.31 LIVE AT 新宿LOFT』)が有名だし、umbrellaにとってロフトはライブハウスの聖地という感じなんです。
──いま挙げていただいた面々でもかなりの濃さですが、渾身のブッキングがまだまだ控えているんですよね?
樋口:まだどんどん出てくるので、ぜひ期待してください。最終的にはおそらく60組くらいになるんじゃないですかね。いずれにせよ、バンドの節目に必ずロフトでワンマンをやってくださったり、定期的にロフトへ出演してくださるようなロフトとの関係値が高い人たちしか出演しないことだけは確かです。いまこうして話を振られただけでもエピソードが次々と出てくる方々というか、ブッキングする私たちと関係性の近い人たちが大挙出演してくださります。
──そうした演者との関係性の深さがロフトの特色に思えるんです。ブッキングする人の顔が見えるライブハウスと言うのか、ビジネス一辺倒の貸しバコにはない血の通ったコミュニケーションが見て取れると言いますか。
樋口:やっぱりライブ後の打ち上げが大事なんだと思います。演者さんなりスタッフさんなりが軽く飲んで帰ろうかと話をする時間が実はとても重要なんです。その会話が次のブッキングに繋がることがあるし、そうしたコミュニケーションの積み重ねが関係値の高さにも繋がりますし。
ブッキングする側の顔やカラーが見える“LOFT 50th CIRCUIT”の雑多性
──ブッキングは今まさに大詰めといった感じですか。
樋口:8割、9割方はすでに決まっていて、あとはタイムテーブルをどうするかという段階ですね。ロフトプラスワンでやる内容もほぼ確定しているので。
──ロフトプラスワンはトークが主体なんですか。
樋口:トークとアコースティック・ライブですね。ライブは3組程度で、あとは公開インタビューをやってみたりとか。それとロフトプラスワンといえば怪談イベントが名物なので、そうしたテーマのトークライブを絡めた、他のサーキットイベントとは異なる趣向を打ち出せるんじゃないかと思っています。音楽とトークのハイブリッドはロフトならではの武器なので。あと、新宿ロフトのバーでは柳沢さんのライフワークである『ろふとのせんべろ居酒屋』が夕方から開かれるので、飲兵衛の皆さんにも優しいです(笑)。
柳沢:サーキットフェスも最鋭輝さんがナイスムードにしてくれます(笑)。
樋口:それと、通常のサーキットイベントに比べてお客さんは少し上の世代が多いと想定しているので、お子様と一緒に楽しめるように趣向を凝らしています。たとえば中学生以下の方は親御さんの同伴につき1名様入場無料、ドリンク代だけで家族と一緒にライブを楽しめるというのも一つのポイントかなと。新宿ロフトにはこの深海というラウンジスペースもありますし、今回はロックカフェロフトもゆったりとくつろげる場所として解放して、アーティストとのコラボフードやコラボドリンクを楽しめる空間にする予定です。ロックカフェロフトはZepp Shinjukuの隣という好立地で、休憩の場所として最適なので。
──いわゆるダイバーシティというのか、音楽的ジャンルもそこに集う人たちの世代も様々で文化の多様性を大事にするという意味で、新宿ロフト独自のブッキングやコミュニケーション・スペースとしての在り方、そして今回のサーキットイベントの開催は歌舞伎町という混沌とした街にぴったりですよね。
樋口:良い意味で雑多な感じというか、いろんなものがひしめき合う街だからこそ生まれるものがあると思います。もちろんライブハウス本来の存在意義として若い世代へ門戸を開くことも忘れず、今回のサーキットフェスのコラボステージは若いバンドを中心にブッキングしていくつもりです。
柳沢:早割先着6,700円でこれだけの顔ぶれを見れるのは本当にお得だと思うし、普段はまず見ないようなジャンルやバンドにも触れてほしいという思いから価格設定を抑えたところもあるんです。そこは樋口さんの言う雑多な感じ、いろんな音楽を通じていろんな人たちが混ざり合うのがこのサーキットの醍醐味だと思うので。
樋口:音楽的ジャンルにはいろんなカテゴライズがありますけど、音楽という表現を通じて演者と観客が共鳴し合うことに違いはありませんからね。せっかくだからいろんな音楽に触れてもらって、そこで気になったものはサブスクで検索してさらに掘り下げるとより豊かな音楽生活を送れると思います。
──では最後に、お三方からご来場くださる皆さんへメッセージをお願いします。
大江:ヴィジュアル系は音楽的ジャンルというよりもカルチャーの在り方だと思うし、その音楽性はテクノやメタル、ニューウェイヴと多種多様なんです。樋口さんがブッキングされる歌もの好きなお客さん、柳沢さんがブッキングされるラウドロックやミクスチャー好きなお客さんでも楽しめる部分があるはずだし、逆にヴィジュアル系のお客さんは耳の肥えた方が多いからジャンル問わず気に入るものが多々あると思うんです。いろんなジャンルを知れる良い機会なので、ぜひ先入観を持たずに楽しんでほしいです。
柳沢:僕が10年近く実行委員として携わった『CONNECT歌舞伎町』もいろんなジャンルを網羅したフェスでしたけど、今回のサーキットフェスの雑多性はそれ以上だと思うんです。50年の歴史を持つ新宿ロフトに対して出る側も見る側もいろんな思いがあるのを踏まえた上でのブッキングだし、僕らがこのサーキットフェスに懸ける思いを少しでもお客さんが感じてくれたら嬉しいですね。知名度や集客力のあるアーティストが乱雑に並ぶフェスが多い昨今だけど、人と人の繋がりや思いを何よりも大切にしたこういうフェスもあるんだよっていうのを知ってもらえたら嬉しいです。
樋口:今回は私たち主催者、ブッキングする側の顔やカラーが見える公演だと思うので、アーティストやそのスタッフが「このジャンルならこの人たちに相談してみたい」と感じてもらえるような内容にしたいですし、お客さんには純粋に音楽を楽しんでいただきつつ、ライブハウスならではの密なコミュニケーションを味わえる1日を過ごしてほしいですね。今後もこのサーキットフェスに焦点を当てたインタビューやニュースを随時発信していくので、ぜひ楽しみにしてほしいです。私たちブッキング担当だけじゃなく、舞台やPA、料理や接客が得意なロフトのスタッフ全員の個性やカラーが結集して初めて完成するサーキットフェスなので、完成するまでの経緯を含めて楽しんでもらえたらと思います。















