1973年にオレンジ・ペコのメンバーとしてプロ・デビューを果たし、1978年、日本のロックに"WORK SONG"=労働歌を重要なモチーフの一部として取り入れた至高のバンド、ARBの一員として世に出たKEITHが来たる2月6日(金)に74歳の誕生日を迎え、その祝祭ライブ『KEITH BIRTHDAY NIGHT 2026 ~The beginning of a new legend~』が誕生日当日にホームグラウンドである新宿LOFTで行なわれる。初開催となった昨年に続き二度目となる今回の生誕祭も、デビューから48年、実質的な活動休止から20年を経ても決して色褪せることなく、むしろ深みと説得力を持って響きわたる珠玉のARBナンバーを次世代へ継承することを第一義とし、その趣旨に賛同した精鋭揃いのバンドマンが一堂に集結。KEITHを慕ってやまない彼らもLOFTに集うオーディエンスも至高の"WORK SONG"に魅せられた同じ"ARB KIDS"であり、この日のLOFTはARBの歌に魂をこがし続けてきた者同士の約束の地に他ならない。半世紀以上にわたり現役ドラマーとして活躍し続け、今なおドラムに対する探究心を忘れず日々の鍛錬を怠らないKEITHと、今回もまたライブ制作を一身に担う傍らベーシストとして出演を果たす柳沼宏孝(4-STiCKS)に、今年の出演者の顔ぶれや選曲の意図などを聞いた。(Interview:椎名宗之)
特別な場所である新宿LOFTで生誕祭ができる喜び
──昨年開催されたプレミアム生誕祭は大変な盛り上がりでしたが、再演を求める声が止まないので今年もまた開催していただけるとのことで。
KEITH:もうこの際、元気なうちに毎年やっておこうと思って(笑)。新宿LOFTは俺にとって特別な場所だし、そこで自分の誕生日を祝ってもらうライブをやれるのは純粋に嬉しいし、去年、ARBの曲をやることでお客さんに喜んでもらえたのは自分でも感激したよね。
──去年はKEITHさんより下の世代のバンドマンが大挙出演しましたが、今年は人数を絞った少数精鋭といった趣きですね。
KEITH:そうだね。以前から自分と接点のある人が今回は多い。
──今回、第4期ARBのメンバーだった内藤幸也さんが参加されるのが大きなトピックの一つだと思いますが。
KEITH:ARBのメンバーには今後、徐々に出てもらおうと考えてる。去年もARBのメンバーに出てもらう案があったんだけど、次回に取っておこうと思って。
──去年の生誕祭を終えて、すぐに柳沼さんに相談してまたやろうと?
KEITH:うん。ヤギちゃんからすると年上ばかりだから調整がいろいろ大変だと思うけど(笑)。
柳沼:そこは他らなぬ御大からのお願いですから(笑)。
KEITH:だってほら、「あの人が出るのになぜあの人は出さないんだ?」みたいな声もあるでしょ? その辺りの調整も含めてヤギちゃんは頼りになる。
柳沼:「○○ちゃんが出てくれるみたいだよ」とKEITHさんに言われてお声がけするんですけど、僕はただARBを観ていた側なので恐縮する部分はあります。
KEITH:俺も出たい、出してくれという声をありがたいことによくもらうんだけど、ライブに向けた自分なりの構想もあるし、誰でもいいってわけじゃないからね。
柳沼:その辺りの折衷役を僕が担うわけです。みなさんARBに対する思い入れや愛情が深いがゆえの贅沢な悩みと言うか、自分も出たいと挙手していただけるのは制作サイドとしてとてもありがたいことなんですけど、やっぱりバランスを見定めないといけないんです。もちろんKEITHさんの意向を第一に考えるのが大前提なんですけど。
KEITH:自分としては、今後段階を踏んで生誕祭を続けていけたらいいなと思っているし、今年はまず仲の良い人を優先して人選を考えた。
──残念ながら今回はスケジュールが噛み合わなかった人もいるそうですし、そうした方々にも来年以降、お声がけしていこうと。
KEITH:うん。自分がまだ元気なうちはね(笑)。
柳沼:去年はKEITHさんを頂点とするLOFTファミリーが集結したお祭りみたいな感じだったので、それとの差別化を図りたいとも思ったんです。さっき言ってもらった少数精鋭と言うべき面子で転換も少なく、各セクションの持ち味をじっくり聴かせたいという。
独特なドラムと独特なベースの掛け合わせで回っていくARBの面白さ
──せっかくなので各セクションの見所を伺いたいのですが、まず、KEITHさん(ds)、30%LESSFATの修豚さん(vo)、LINDAのLINAさん(gt)、柳沼さん(ba)という布陣。修豚さんとLINAさんは初参加ですね。
柳沼:KEITHさんから「修ちゃんは?」と言われて修豚さんに連絡したら、「大変光栄なことです。ぜひよろしくお願いいたします」とすぐに返事をいただきました。今までオファーした方々の中で一番早かったですね(笑)。
──今まであっちゃんの影に隠れていましたけど、修豚さんもあっちゃんもARBに憧れてバンドを始めたわけですからね。
KEITH:そうそう。一時期、LAUGHIN' NOSEでも弾いてたLINAちゃんとはARBの曲を一緒にやったことがあるんだよ。ヤギちゃんには今年もぜひベースを弾いてほしくて。
柳沼:畏れ多いことだし、一度は丁重にお断りしたんですけどね(笑)。このセクションは未知数と言うか、どんな化学反応が起こるのか楽しみですね。修豚さんにはまずギターを持たせるのを禁止させないと(笑)。
KEITH:修ちゃんと同じステージに立つことはこれまでもあったけど、こういう形で一緒にやるのは初めてだからどうなるか楽しみだね。
──しかも、現時点では言えませんが「×××××」【註:伏せ字の文字数は実際の楽曲タイトルの文字数とは関係ありません。以下同】で始まるなんて最高ですね。
KEITH:いいでしょう? 今回はぜひこの曲から始めたくてね。
柳沼:一番最初の曲と、アンコールの最初の曲はKEITHさんの希望なんです。あとの選曲は演者のみなさんで決めることにして。
──修豚さんが「×××××」を唄うというのが機知に富んでいると言いますか(笑)。
KEITH:それは全部、修ちゃんたちの選曲だから。
柳沼:去年と同じく、ボーカリストのみなさんには多めに曲を出してもらったんです。必ず曲が被ることになるだろうから。でも修豚さんの選曲は他のセクションと被りがほぼなかったんです。被ったのは「×××××」くらいだったかな。
──「×××××」が被らなかったとは意外ですね。
柳沼:「×××××」は意外と被らなかったけど、ベースを弾くのが大変なんですよ。去年の1月もそうでしたが、今年も年明けからARBしか聴いていません(笑)。
──ARBのベース・プレイを習得するのはやはり難儀ですか。
柳沼:サンジさん(野中‘サンジ’良浩)がどんなふうに弾いてるのかよくわからないんです。
KEITH:普通のベーシストじゃないけど、とてもメロディアスだったりするしね。
柳沼:そう、それも玄人的なメロディアスなんですよ。自分で言うのも何ですけど、僕は浅田さん(浅田孟)タイプのベーシストなんです。ポップなタイプで、フレーズも音もはっきりしてると言うのかな。その違いなんです。
──サンジさんのプレイはどれだけ耳コピしてもよくわからないと。
柳沼:永遠にわからないでしょうね。当時のライブ映像をYouTubeで見ても、だいたい一郎さん(田中一郎)と凌さん(石橋凌)しかアップで映らないので。
KEITH:逆に言えば、だからこそサンちゃんと俺の絡みは面白いんだよね。二人とも普通じゃないから(笑)。
柳沼:普通じゃないリズム・セクションだからこその妙味と言うか、独特と独特の掛け合わせで回っていくのがARBの面白さなんです。音がどうこうではなくリズムがあまりに独特だから体得するのが難しい。それはKEITHさんとサンジさんにしか出せない味だから。しかもサンジさんのベースはライブごとに毎回違うんですよ。気分屋なのか、レコード通りには絶対弾かないし。でもそれがバンドの面白いところで、KEITHさんがそういうプレイを拒んでいたらああはなってなかった。ベーシストとしてもバンドとしても理想ですよね。プレイが毎回違って何を弾いているのかわからない、でもバンドとしてはちゃんと成立しているっていう。自分としては「BOYS & GIRLS」みたいなポップな曲を弾くのが得意だけど、それよりもサンジさんの普通じゃないプレイに挑むことが勉強になってますね。
──そう言えば「BOYS & GIRLS」は今回のセットリストにありませんね。
柳沼:それはKEITHさんの意向なんです。
KEITH:「BOYS & GIRLS」や「ラ・ラの女」は人気も高いし、盛り上がるのはわかるんだけど、今の時代の感覚だとちょっと幼すぎると言うかさ。やるならもっと訴えかける何かがある曲がいい。観に来てくれるお客さんたちの年齢層も上がっているからね。















