音楽をやり続けるモチベーション
MC.sirafu:TA-1君は? リディムでまあまあ儲かったでしょ?
TA-1:いや、でもそれだけで生活できたことは一度もありません。音楽だけでは難しいと思っているし、僕は音楽とそれ以外のことでバランスをとりながらじゃないと、続けられないんだと思います。相変わらず音楽をつくっているときは辛いです。なんだったらパーティー企画するのも辛いですよね(笑)。
MC.sirafu:なんでやってるんですか?(笑)楽しそうだけど。
TA-1:やっぱり、納得できる曲ができたときの達成感や、素晴らしいパーティーをメイクしたときの感じ、それにつきます。常に自分との戦いです。年に1曲ぐらいしかできないし、年に1本、2本ぐらいしか企画打てないんですけど、出来た時の嬉しさは何事にも変えられないというか。
藤井:俺もしょっちゅう辞めたいと思うけど、運良くたまにできるじゃん、1年に1回ぐらい、いいのが。そのためのものだとは思う。
TA-1:コロナ前後で失われたものを取り戻したいけど、物語をつくる難しさは常にあるし。自分のテンションをどこに向けてやっていくかって、本当に大変で。だから、それを仕事にするのは無理なんです。ポンポンポンポン、出てこないんですよ。
藤井:いちばん作家性があるのはsirafuだと思うな。よくあのザ・なつやすみバンドの詞とか歌とか、女の子が歌ってもキュンときちゃうようなのをこんな汚いオジサンが書いてるなって(笑)。
MC.sirafu:いや、それは他人とか異性に歌わせるからできるんですよ。俺はね、アーティストじゃないんですよ。自分で表現することは恥ずかしいんで、弾き語りとかはもう飽きちゃうからやんない。中川(理沙)さんが歌うとか、シンさん、オラリーが歌うっていうことを考えて作ってる。
藤井:大人な感じがするね。俺もう、ただ自分がわーってやりたい部分もあるから。
MC.sirafu:いや、そういうバカたちに憧れてるんですよ(一同笑)。そういうことができないから、すごいジレンマがある。
藤井:そっちの方がカッコイイな~。自分のライブとか毎回、動画見せてもらうんだけどマジで恥ずかしいよ。自分が理想とするステージがまたできなかったって。だから、続けたくて続けてるっていうより、毎回達成してないから(笑)。
MC.sirafu:俺もそうですよ。こういう曲作りたいっていろいろオマージュしたりするんだけど、そうならないんですよ。音楽能力が低すぎて。そのならない部分に対してお客さんがいいと思ってくれてることに救われてます。本当はもっともっとすごいことをやりたいんだけど、もう20年できない(笑)。音楽辞めたら楽だなと思うんですよ。別に普通に働いてお金を稼いで、毎日2000円払って飲める立ち飲み行ければいいし。だけど、やっぱ音楽がね、離してくれないんですよ。発想が生まれちゃう。
ステージに立ったら負けられない
藤井:でも、TA-1君とsirafuが音楽で食えてないっていうのは、結構ショッキングというか。それって米農家が食えてないのと似た構造だなと思う。やっぱり個人店とか食堂とか、そこに豊かさがあると思うから。SHELTERもそうじゃん。それは音楽の誰かが悪いとかじゃなくて、やっぱり国が悪いなと思った。人が楽しむものだとかそういうのに余裕がないっていうか。こだわるというより、とりあえずこれだけ聴いときゃいいだろうみたいな感じになっちゃうとつまんない。だから、俺あんまりワンマンってやりたくなくて。ワンマンがいちばん儲かるし、お客さんもそっちが好きじゃん。だけど、刺激的な対バンとか、今でも普通にブッキングに出たいから。この間なんて高校生とやったからね(笑)。ライブハウスってそういうのがいいんだよね。負けられないみたいなのが絶対あるじゃん。俺はKONCOSとか片想いみたいに、お客さんも巻き込んでみたいなのに憧れてるんだよね。普通にポップスをやってるつもりだから(笑)。
MC.sirafu:そんなことない(笑)。藤井君は狂気すぎますよ。TA-1君も頭おかしいから。
TA-1:いやいやいや(笑)。
藤井:でも、本当に2人のことは尊敬してる。俺40代になってからだもん、人のこと考えるようになったり、ちゃんとセットリスト考えるようになったの。俺はそこに辿り着けていなかったっていうのを今日すごい反省した(笑)。
MC.sirafu:そんなことないと思うけど(笑)。
──話は尽きませんが(笑)、最後にイベントに向けてのお気持ちを聞かせてください。
MC.sirafu:片想いはそんなにライブの本数打てなくて。8人バンドで家族もいてすごく大変なんですよ。本当は毎日ライブやりたいし。昔はできてたけど、今はできないってあるじゃん。だから、そういう気持ちを思い出すような、しかもSHELTERという聖地で純粋なツーマンをやれることがすごく珍しいんですよ。片想いはライブを遊園地でやったり、もうあんまりライブハウスでやってないから。だから本気の片想いを見てほしいです。マーズをぶっ潰す気持ちでやって、もう見事に負けて(一同笑)。
藤井:僕らも基本的にはよくプログレとか言われるけど、やっぱロックンロールしたいっていう気持ちは変わらないので、負けたくないんで、全力で演奏しますね。めっちゃスベりまくるかもしんないけど、ライブハウスでスベってもカッコイイもんね。それよりも、もっと違う熱量を求めてきてる人がいるから。
MC.sirafu:そういう空回ってる感じを見に行くのがライブハウス。
TA-1:僕はステージも含め、対面でいい音楽をかけながら楽しませてもらいます。