ライブハウスで怒られた時代
──今、初ライブがSHELTERという若手のバンドがいたり、だんだん昔のSHELTERを知らない世代になってきていると思うんですが、昔のSHELTERや、初めて出演された時のことなどお聞きしたいです。
藤井:Hoochie'sっていう渋谷で有名なギターショップがあって、試奏動画でバズってる地元の先輩がいるんだけど、その人(村田善行)がSHELTERにいたんですよね。あと、俺が20000Vに出始めた時にWRENCHとHOliDAYSと、DMBQとかKIRIHITOとか、20000Vのスターみたいな人たちがレコ発の時にSHELTERでやるってなって。下北って高円寺より開けた場所っていうイメージがあって、いっぱいお客さん来る感じがあったよね。ユアソン(YOUR SONG IS GOOD)がまだあんなラテンじゃない、エモっぽい初期の時代にSHELTERで観たりとか。でも、やっぱSHELTERの10代の時の思い出はDMBQかな。
TA-1:いやあ、なかなか出てこないバンドの話ですよ。
藤井:誰が聞いて喜ぶか知らないけど(笑)。
MC.sirafu:SHELTERに初めて出たのはいつなんですか?
藤井:全然覚えてないけど…当時、FEVERの西村(仁志)さんがSHELTERの店長だった時によくfresh! を呼んでくれて、54-71と対バンしたり。だからSHELTERに出ると面白かった。仲良い人たちとパーティーみたいなブッキングがあって、それによく出てたっていう感じはするけど。
TA-1:僕は、リディムの時に2003年ぐらいに自分でデモテープ持って行ってオーディション受けた覚えがあります。昔はどのライブハウスもオーディションあったと思うけど、SHELTERはやっぱりハードルが高かったですね。
MC.sirafu:俺、今、片想いでSHELTERの昼の部とか出たくて、変名で。けちょんけちょんに言われたくない(笑)。
MC.sirafu(片想い)
TA-1:今はライブハウスで怒られるとかないかもしれないですね(笑)。
藤井:俺らの時代までだよね、ライブハウス出て怒られるとか。
TA-1:それぞれの箱に、厳しかったり個性的な店長がいましたからね。今、SHELTERはカッコイイ昼の部が増えてるんですよ。
MC.sirafu:オーディションやってほしい(一同笑)。
藤井:それをなくすために俺らはさ(笑)、それにムカついてたわけじゃん。20000Vは、当時店長だったKIRIHITOの早川(俊介)さんが絶対そういうこと言わなかったの。もうそれがすごい好きで。HEAVEN'S DOORもそう。絶対褒めるし、絶対けなしたりしなかったから俺らは出れたの。けなされた瞬間に俺、心折れちゃうから。
TA-1:SHELTERも西村さんは昔から対等に接してくれてる感じがしましたね。
藤井:怒ってる人と今話したいよね。
MC.sirafu:まあでも、やっぱ酷かったですよ。それで成り立った文化があるからなんとも言えないけど。
藤井:いや、でも本当にあの頃の話になっちゃったね。
大人になってからの生活と音楽との付き合い方
MC.sirafu:今日俺が話したかったのは、長くやってる3人じゃないですか。3人ともいる層は違うけど生き残ってるというか。お2人ともお子さんがいらっしゃるし、バンドを続けていくことと生活って関係があるのかなって思って。大人になってからの生活と音楽との付き合い方みたいな。
TA-1:20代の時って、今より音楽と生活ってかけ離れたものでしたよね。
MC.sirafu:俺より下の若い人ってさ、平気でライブに親とか呼ぶじゃん。結構衝撃で。やっぱ親に隠れてやるもんだから。自分がわーって表現してんのとか絶対俺は親に見られたくない。恥ずかしい(笑)。
TA-1:親に見られるのはいまだに恥ずかしいですよね。震災以降、自分の音楽ときちんと向き合ったときに、生活と音楽の等身大の表現みたいなものを目指して今に至るんですけど。子供もできたりして、生活に対する向き合い方が変わったとも思っています。
TA-1(KONCOS)
藤井:TA-1君のその経緯を聞いてると、「あ、なるほどな」って思う。TA-1君はリディムで売れてる人たちっていうイメージだったから距離があるのかなって思ってたんだけど、それぞれの人生があって頑張ってきた人たちなんだなって思うと、親しみを覚えるようになって仲良くなってくっていうのは、40代ミュージシャンのあるあるだと思う。
MC.sirafu:藤井さんは今どういうスタンスで音楽をやってるんですか? 音楽を続けることが幸せなのか、更新したいって気持ちはあります?
藤井:続けることにあんまり興味はないかもしんない。俺、家で曲作るのがめっちゃ好きでさ。これ誰も作ったことないだろうみたいなリフとか考えるのは延々とできるから、もうコロナの時超楽しくて(笑)。ライブでうまく演奏したいというよりは、発明品をとにかく作りたいっていうのがモチベーションだから、それを自然とずっと続けてるって感じかな。子供いても。
MC.sirafu:でも、活動の仕方は限られるじゃないですか、肉体的に。
藤井:でもね、バンドで食べてる人っていなかったわけよ。CDの売り上げってこんなもんなんだって思って、大学卒業して3ヶ月ぐらいで音楽だけで食うのは諦めた。そんな特出した才能があったと自分でも思わないし。バイトだと10時間ぐらいやんないと家賃とか払えないじゃん。だったら普通に会社員やって6時に帰ったら練習時間あんなと思って就職したの。有休消化率ナンバーワンだったけど。速攻ツアー行っちゃうし(笑)。だからずっと会社員で音楽をやってるっていう感じだから、子供がいようがいまいがあんまり変わらない。でも、2年前に初めて会社辞めてみたのよ。かといって練習量変わんないんだよね(一同笑)。時間あると人ってやんない。
TA-1:何なんですかね、あれ(笑)。
藤井:だから俺、子供がいてくれて良かったなと思う。to doがある方が、筋肉が温まってる状態だからやりたいことが出来るっていうか。子供も何もいなくて会社辞めてたら多分、廃人になってたな(一同笑)。