新宿LOFT・Barステージを舞台に、山岡トモタケが月に1回開催してきた弾き語りイベント『One Loom - Premium -』。今春から月に1回ペースの5回シリーズで、出演順に渡邊忍(ASPARAGUS)/稲村太佑(アルカラ)/藤井敬之(音速ライン)を招き開催してきた。前回は山田将司(THE BACK HORN)が登場、山岡のTHE BACK HORN愛ほとばしるツーマンを見たのがつい最近のように思い出されるが、次回も山さんのファンぶりが爆発する予感。次回にしてファイナルとなる7月9日(水)にお迎えするのは、the band apart・荒井岳史である。
開催を前にこれまで全ての出演者と対談を行なってきたが、今回ほど"ツーマン当日に対談の答え合わせができそう"な話ばかりの対談はなかった。山岡がセッションしたいと申し出た曲に対する、荒井の想いとは? 本文で記載はしなかったが、山岡がWHITE ASHのギタリスト時代に聞いたという"the band apartの伝説"って? それに対し「それはバンドとしてではなく、原昌和(the band apart/Ba)の伝説ですね」と返していた荒井の真意は? さらには、対談の最初に登場する初めての出会いとなった"ある打ち上げでの話"。この話には爆笑したので記載せず、当日にお集まりの皆さんと改めて共有したいなと、ここにリクエストとして記しておこう(ただし、もしそのお話になっても口外はNGで)。ということで、2人が奏でる音は言わずもがな、トークも絶対に楽しめる自信あり! 新宿LOFTの"L"を掛けつつ、"酔いどれ"というスラングの意味合いを持つという単語 "Loom"を冠した『One Loom - Premium -』。皆でお酒を飲みながら、この日限りのひとときを過ごしましょう!(Interview:高橋ちえ)
新宿LOFTでのthe band apartが“音で戦ってるサムライ”だった(山岡)
荒井:山岡さんとお会いしたことって、ない……ですよね?
山岡:僕、もともとWHITE ASHのギタリストのときに、『MONSTER baSH』(香川県/以下、モンバス)の打ち上げで荒井さんとはご一緒してまして。川崎(亘一/Gt)さんには、「大学時代にthe band apart(以下、バンアパ)のコピーバンドをしてました」とお話もさせていただきました。
荒井:あぁー! あの打ち上げにいましたか? やっぱりなぁ、そういうことってあるからなぁ(笑)。今回、ただ呼んでもらってるのかなと考えたりしたけど、それはそれは失礼しました。
山岡:いえいえ! 今年の春から『One Loom – Premium –』というタイトルで、僕が憧れている先輩とツーマンで対バンをさせていただいてきまして。荒井さんが5人目で最終回になりますけど、ご一緒していただけて嬉しいです。1回目にASPARAGUSの(渡邊)忍さんに出ていただいたんですけど、打ち上げで乾杯したときに「荒井さんは忍さんの一番弟子」みたいな話をされてまして(一同笑)。
荒井:忍さんは先輩で、もう20年以上のお付き合いになるので。よく言っているのは、忍さんが力道山で俺がアントニオ猪木みたいな関係性ですね(一同笑)、って言えばあまりプロレスを知らない人でも分かりやすいかなと。俺も忍さんが好きで、リスペクトしてて尊敬してるからこその悪ノリで“一番弟子”と言ってる感じですよね。それこそここに書けないような、飲み会の数々も……(笑)。悪ノリとは言いましたけども、もちろん音楽的にも尊敬してますので、ね。
山岡:僕は大学生からギターを始めまして、誘われるがままにいろんなバンドでコピバンもしていたんですけど、バンアパがすごく好きな後輩がいて「川崎さんのギターを弾かない?」って誘ってもらって。家でもう泣きながら練習して、ギターを抱えたまま寝て起きて(笑)、みたいな。だから『モンバス』でお会いしたときに思わずそのことを川崎さんには伝えましたし、前に新宿LOFTでのバンアパのライブを観たときの衝撃みたいなものが、今も残ってまして。演奏がもう、“音で戦ってるサムライ”みたいな感じだったんですよね。
荒井:あはははは! そうですか。
山岡:その衝撃が強すぎて、(荒井への出演オファーで)長文のメッセージをマネージャーさんに送っちゃいました。自分が唄い始めて、ソロでご一緒したいなと思っていたのは荒井さんだったので。
荒井:相当、良い解釈をしてもらって(笑)観てもらえてたんだなと思いますね。ありがたい。
山岡:WHITE ASHのときは基本的に、のび太(Vo&Gt)がパワーコードを弾くボーカリストだったんですけど、僕が自由に弾くギターフレーズってどこかバンアパのようなオシャレなコード・セブンスであったりナインスが好きで。山岡トモタケとして唄い始めて曲を作り始めたらコード感であったり曲の作り方はやっぱり、僕の中ではですけど、バンアパのコード感に影響を受けているなと思ったりしまして。その感覚を、荒井さんとの弾き語りでご一緒して、味わって受け止めたいなという思いがありまして。
荒井:山岡さんにいろいろと言っていただけて嬉しい反面、ちょっと戸惑っちゃうと言うか。そんなふうに思ってくれている人の前でちゃんとできるのかなという緊張感が俺の中にはありますね。俺からしたら音楽をやっている期間がざっくり30年、人様に影響を与えてたなんてのは大それた話だと思いますし、反面、自分が何十年もやってきて、昔から変わった気がしないというか。非常にこじらせてるのか……自分でも分からないですけど、俺の中では、自分より歳下のミュージシャンよりも先にスタートしてた、ぐらいの感覚しかないんで。いろいろと言ってもらえるのは本当に嬉しいですけど、“すみませんね”っていう気持ちになっちゃうんですよね(笑)。でもそんなに言ってもらったから、これは頑張らないとなぁ、って。いつも頑張ってはいるんですけどまた一つ、気合いが入る要素をいただいちゃった感じですかね。弾き語りではそんなにバンドの曲を唄わないときもあるんだけど、この日はバンドの曲もね。でもまぁ……ウチのバンドの曲って、弾き語りしづらくて(笑)。