Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー仲野茂 - 鉄壁の布陣による新生・仲野茂バンドを始動させた意図、敬愛するPANTAから託された"宝物"とは

鉄壁の布陣による新生・仲野茂バンドを始動させた意図、敬愛するPANTAから託された“宝物”とは

2024.11.06

PANTAが茂に託した6篇の歌詞

──こうして役者が揃い踏みした新生・仲野茂バンドは2023年7月に始動。同年12月10日にはPANTAさんの地元である所沢MOJOで初ワンマンも行ない、現在までコンスタントにライブ活動を展開していますが、SDRやLTD EXHAUSTのようにあえてバンド名は命名しないのですか。

茂:下山が入った時点でバンド名を考えようという計画があったんだよ。ファンクラブを作って公募してみるか? とか考えたりして。だけどバンド名って考えるのが大変じゃない? 歳を食うと余計大変。で、茂バンドのマネジメントをやってもらうことになった、頭脳警察のマネージャーの田原(章雄)に「バンド名はどうしたらいいですかね?」と訊いたら「仲野茂バンドでいいんじゃないですか?」って言われて。もう今さらナントカファイヤーズって歳でもねぇだろ、ってことで(笑)。

──かれこれ10年以上続いているLTD EXHAUSTIIとはどういった棲み分けをしているんですか。

茂:LTDは最初、バッタもんの亜無亜危異だった。そのうち本家の亜無亜危異が動き出したもんだから「俺たちはどうする?」ってことになって、そこでよーかいがめっちゃ動いた。あいつが頑張って曲を作るようになって、それが凄くLTDらしいんだよね。だから今のLTDはほぼほぼよーかいのバンドになってる。今やアルバム(『天然記念物』、2024年1月発表)まで出しちゃって面白い。茂バンドはLTDと比べて俺のパーソナルな部分を出せるバンドだね。

──新生・茂バンド始動にあたり、『遠くで火事をみていた』(1993年11月発表)、『大東亜のいびき』(1994年6月発表)、『窮鼠』(1995年5月発表)の三作をメンバーに聴き込んでもらったんですよね。

茂:うん。その三作から選んでライブで唄ってる。あとはルースターズの「Fool For You」やアンジーの「天井裏から愛を込めて」とかをカバーしてる。それとPANTAが遺してくれた歌詞があるから、それを骨組みにして新曲も作る。

20240713_133.jpg

──PANTAさんが生前、茂さんのために書き残した歌詞が存在することは田原さんから伺っていたのですが、その話を詳しく聞かせてください。そもそも茂さんがPANTAさんに歌詞を依頼したということですか。

茂:いや、歌詞というよりもアルバムを一緒に作りたかった。プロデュースっていうよりは共同制作者みたいな感じで参加してほしくて、それでPANTAに曲を書いてくれないかと頼んだわけ。

田原:時系列で話すと、2023年6月4日にPANTAさんと茂さんが双方のマネジメント同席で食事をしたんです。その時に茂さんから自分の新しいアルバムを作りたいからPANTAさんに曲を頼めないかな? という話が出て、PANTAさんが快諾したんです。その後、さっき話に出たYouTubeラジオの収録があって、その場でPANTAさん所有のGPAのヘルメットを茂さんに形見で渡したのが6月6日。その8日後の6月14日にPANTAさんの最期のライブとなった『夕刊フジ・ロック 5th Anniversary “Thanks”』が行なわれて、それを経た6月23日に「これを茂に渡してくれ」とPANTAさんから託されたのが6篇の詞だったんです。

──PANTAさんが旅立つ2週間前ですね。

茂:俺はPANTAの書くメロディが好きだったからできれば曲も作ってほしかったし、身体が元気だったらレコーディングにも参加してほしかった。そこは残念だったけど、6篇も歌詞を書いてくれたわけだから。

20240713_032.jpg

──それらの歌詞は茂さんを当て書きしたものなんですよね?

茂:当て書きもあるし、茂がこんな感じの歌を唄ったらいいんじゃない? って思いで書かれた詞もあった。

──そもそもPANTAさんと柴山俊之さんに出演してもらうために『THE COVER』という企画を1987年5月から新宿LOFTで始めた茂さんにしてみれば、中学生の頃から憧れていたボーカリストに歌詞を6篇も提供してもらえるとは大事件ですよね。

茂:まさにね。この歳になって改めて感じるけど、PANTAと柴山さんは俺にとって別格なんだよ。だから『THE COVER』も最初はROCK BANDがバックバンドをやるからPANTAと柴山さんに頭脳警察とサンハウスを唄ってくださいとお願いした企画だったんだけど、「今はやりたくない」ってきっぱりと断られて(笑)。でも打ち合わせの席でPANTAと柴山さんがそれぞれ十代の頃に好きだったシャンソンやブルースの話で盛り上がって、そういう曲をカバーする趣旨になったことで『THE COVER』が広がりを見せたのは面白かった。渋公でやれるようになって(忌野)清志郎やムッシュ(かまやつひろし)、ジョニー・サンダースが出てくれたりしてさ。

──『THE COVER』が頭脳警察とサンハウスの楽曲を蘇生させるだけのイベントだったら、20年以上続く一大企画にはならなかったでしょうね。

茂:だろうね。ボーカリストとして憧れるのはダントツで柴山さんなんだけど、ミュージシャンとして最高に憧れるのはやっぱりPANTAなんだよね。柴山さんのフロントマンとしての資質はずば抜けてるからライブのパフォーマンスが凄い上に存在そのものが圧倒的なんだけど、PANTAはいち音楽家としてリスペクトしかない。

このアーティストの関連記事

仲野茂バンド『粋』

発売日:2024年12月22日(日)
価格:¥2,750(税込)
特典:仲野茂バンドステッカー

【収録曲】
① 遠くで火事を見ている
② 右向け右
③ プライド
④ 日本
⑤ とびきりグラッチェ
⑥ 月よお前が悪いから
⑦ グッド・バイ(ソニー)

①〜④:2024年9月19日(木)小岩オルフェススタジオにて収録
⑤〜⑦:2024年9月22日(日)福岡CBにて収録

2023年よりメンバーを一新、新たな道を歩み始めた仲野茂バンド。
そのメンバーは仲野茂(Vo|亜無亜危異)、下山淳(Gt|ザ・ルースターズ)、岡本雅彦(Ba|アンジー)、梶浦雅弘(Dr|ザ・モッズ)、竹内理恵(Sax, Fl|頭腦警察)という日本のレジェンドバンドから集結した最強バンドだ。
本格的な活動を開始した今、新メンバーによるそのサウンドをいち早く届けるためにセルフカバーによるスタジオライブ新録。そして2024年9月22日に福岡CBで行なわれたライブより実況音源を収録。ソリッドで骨太、心を揺るがす仲野茂バンドのROCKをお届けする。緻密だが猛々しいその演奏はまさに仲野茂バンドの原点と言える。

LIVE INFOライブ情報

335215-95e7eedb.jpg

LAST UNTI X'mas PANTA is Reborn
【出演】仲野茂BAND(仲野茂 / 下山淳 / 岡本雅彦 / 梶浦雅弘 / 竹内理恵)|黒い鷲 - ZUNOMONO(澤竜次 / おおくぼけい / 宮田岳 / 樋口素之助 / 竹内理恵)
【ゲスト】アキマツネオ
【日程】2024年12月22日(日)
【時間】開場18:30 / 開演19:00
【会場チケット】前売¥5,000(ドリンク代別)
*チケットはローソンチケット(Lコード:75279)とメール予約で受付中
【配信チケット】ツイキャスプレミア配信¥2,000
【会場・問い合わせ】渋谷 La mama 03-3464-0801
 

1228-3-3-2.jpg

TOKOROZAWA MOJO ROCK SHOW
【出演】アコギなSS(仲野茂 / 下山淳)|うじきつよし|毛糸のチョッキーズ(keme&岡本雅彦)|澄田健|宙也†幸也 with 小関純匡
【日程】2024年12月28日(土)
【時間】開場16:00 / 開演16:30
【会場チケット】予約¥5,500 / 当日¥6,000(共にドリンク代別¥500)
*ご予約はメール受付のみ
【会場・問い合わせ】音楽喫茶MOJO 04-2923-3323
 
1.2n_nakanoshigeru-548x365.jpg
毎年恒例!1月2日に新宿ロフトでやってやる! 仲野茂 生誕65周年!!
【出演】ニューロティカ / 仲野茂バンド(仲野茂+佐々木亮介+越川和磨+岡本雅彦+坂詰克彦)/ 佐々木亮介(a flood of circle)/ LTD EXHAUSTⅡ / ピーズ ほか
【日程】2025年1月2日(木)
【時間】開場15:00 / 開演15:30
【チケット】前売¥5,000 / 当日¥5,500(共にドリンク代別¥600)
*チケットはイープラスにて発売中
*先着で北千住「加賀屋」名物・煮込み付き
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 
▷その他、最新のスケジュールはこちら
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻