新宿LOFTで長年開催されてきている『三つ巴ライブ』。この"三つ巴"=スリーマンでのライブ出演後、音楽シーンへと更なる飛躍を遂げているアーティストもいるし、今もLOFTの壁に貼られている過去の同イベントのフライヤーを目にすると、新宿LOFTにおいて一つの歴史を築きつつあるイベントのように感じる。
ということで新宿LOFTがこの場所に移転してから25周年を迎えた今年は"新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念"という冠がついた公演が多数開催されているのだが、この『三つ巴ライブ』に関しては初となる。"新宿LOFTでこれまで自主企画も開催してきているバンドと、新宿LOFTが初めましてという3バンドが交わることで、新しい空気が生まれたら良いなと思って"とは、このスリーマンを組んだ新宿LOFTのブッキング担当・樋口氏。
9月30日(月)に開催される『三つ巴ライブ』に出演するのは、"憧れのライブハウスから、一番好きな場所に変わった"というBentham、"(メメタァから)memetoourになって、初めてのLOFTでのライブ"であり、LOFTで自らのイベントも毎年必ず開催しているmemetoour。そして今回初めて新宿LOFTのステージに立つのが、3人組のガールズバンド・ヤユヨ。果たしてこの3組の混ざり合いは...とてつもなく熱いことになりそう! というのも今回、ヤユヨのボーカル&ギター・リコが応えてくれたインタビューを通して、抱いていた彼女たちへのイメージが良い意味で覆され、それこそリコ本人が語る言葉を借りればとても"パッショナブル"なバンドだと知ったから。平日の開催ではあるが、この日は見に来て絶対に損はない! と思っています!(Interview:高橋ちえ)
“聴いてないなら聴かせにいく”気持ちでライブをする
──新宿LOFTでライブをされているイメージが勝手にありましたけど、今回が初ライブでしたか。
リコ:そうなんです。完全に、初めましてです。大阪出身のバンドで、そもそも新宿でライブをしたことがなくて。新宿は人もたくさんいるし怖いイメージがあったんですけど(笑)、東京に出て新宿に遊びに行ってみたら思っていたより楽しい場所で。新宿にあるライブハウスでライブをするということがすごく楽しみだし、新宿LOFTがどういうライブハウスかというのも見させていただいて、私たちも楽しめたら良いなと思ってます。あと、新宿の良さだったり新宿の音楽シーンを知ることもできると思うので、私たちの音楽も魅せつつ、新宿の魅力を探しに行けたら嬉しいなと思ってます。
──プロフィールには“大阪のガールズバンド”という記載がありますが、今は上京して活動をされている?
リコ:そうです。上京して1年経つので暮らしにもだいぶ慣れてきました。住んでみたら意外と地元と変わらない、親しみやすい街も多くて。都会の人は冷たい、みたいなことを聞いていてちょっと怖がりながら上京してきたんですけど、全然そんなことはなくて。優しさとか温かさを皆さん持ってますし、言葉も違いますけど今は“上京して良かったな”って思うことのほうが多くて。東京はすごく好きになりました。
──“言葉が違う”と仰いましたけども、とても綺麗な標準語ですよね。
リコ:私、標準語がめっちゃ得意なんですよ(笑)。小学生ぐらいの時から空想の中の世界に浸ることが癖で、(対面して)リアルに人と話す時は関西弁なんですけど、頭の中の自分はずっと標準語で。何でなのか分からないんですけど(笑)、頭の中での自分はいつも標準語でしたね。なので、上京してからも標準語を話すのが得意なのかなと思いますね。周りの人の言葉に影響されやすいので、周りが標準語だと標準語だし、関西弁なら関西弁で話す使い分けをしています。
──意識した上で“空想の中の世界に浸る”感じですか?
リコ:気がついたら自然と、頭の中で実際とは別のシチュエーションを思い浮かべていて。ドラマを作る感覚で、物語が出てくるんです(笑)。考えることが好きみたいで、(頭の中の物語に)気を取られちゃって、授業中とかも人の話が全然聞けなくて困ってました。
──今はその世界が曲作りに繋がっている…とか?
リコ:いや~、繋がっているようで繋がっている感じはしてないですね。もしかすると、自分が意識してないけど繋がっていることはあるのかもしれない…んですけど、空想と(音楽)活動を繋げようと思ったことはないですね。
──そもそもですが、リコさんは幼い頃から音楽をやっていきたいといった夢があったのでしょうか?
リコ:両親からのプレゼントでスタンドマイクのおもちゃをもらってからずっと、歌うことが好きだったみたいで。小さい頃は特にミニモニ。が好きで、アイドルとかキラキラしたものになりたいなと思って歌ったり踊ったりしていて、本格的に歌手になりたいって思ったのは小学校の高学年ぐらいの頃です。aikoさんのベストアルバムを近所の人に貸してもらってずっと聴いていて、aikoさんが作る世界観や歌っているメロディの気持ち良さだったりにすごく惹かれて、“私もこういうふうになりたいな”っていう憧れを持つようになりました。それで最初はシンガーソングライターになりたいと思ったんですけど、高校で軽音楽部に入部してバンドの良さに気づいたところがあるし、ライブハウスに足を運んでいろんなバンドを知って。バンドのカッコ良さを思い知ったところもありましたし、aikoさんはシンガーソングライターですけどライブでの形態はバックにバンドがいるわけで、(バンドの)一人一人が鳴らす音があって一つの楽曲になる。そういう一つ一つの繋がりが素晴らしいと思ったし、一人じゃ音楽はできないということに気がついて。誰かと一緒に何かを作る、っていうのがすごく良いなとシンプルに思いまして。
──なるほどなるほど。
リコ:私、それまではグループで何かをやるということがなかったんです。中学も陸上部で個人競技だったし、軽音楽部で初めて、グループで何かをする・誰かと何かをするということに触れて。すごく楽しいなと思ったので、バンドでやりたいなと思うようになりました。ライブを見るようになって、誰かと一緒にやっていることでの楽しさと信頼関係が、お客さんの目にも伝わる。お互いに身を任せ合ってる感じも、誰かが欠けたら音楽になれないんだろうな…っていうところも魅力的に感じて。すごくカッコ良いな、バンドっていいな、って思いました。
──どんなバンドを目の当たりにしてそんなふうに感じていったのでしょう?
リコ:いろんなバンドを見てきたんですけど、たとえばback numberとか、yonigeとかSIX LOUNGE、ハルカミライとかをけっこう見てて。初めてハルカミライを見た時はお目当てのバンドが別に出ていて完全に初見だったし、ハルカミライを目当てに来たお客さんも多分少なかったと思うんですね、盛り上がっているお客さんもそんなにいなくて(お客さんが皆)ポカンとしてる感じで。それを逆手に取って“俺を見てくれ”じゃないですけど、ボーカルの(橋本)学さんがステージから降りてフロアで歌い出して。それって勇気が要ることだと思ったけど、“自分のバンドは良いんだ”っていう気持ちなのか、前のめりにフロアまで降りて自分の音楽を伝えに来て。そこにすごく心を打たれたし、フロアに降りた瞬間の学さんに対してバンドのメンバーたちも多分信用があるから、音を一生懸命鳴らしにいってる。ステージにボーカルがいなくてもちゃんと音を鳴らす感じにもすごく惹かれて。パッショナブルなボーカルというものに対して、ものすごく憧れを抱きました。
──個人的ですが、わたしと好みがかなり近いですね(笑)。
リコ:やっぱり、バッションがあるボーカルが好きです。あのライブを見てから、軽音楽部での私のライブも変わりました。学さんに憧れて、(ステージの)前に出るようになったりして。“聴いてないんだったら、聴かせに行けばいいんだ!”って(笑)。自分からアピールすることも大切で、振り向かせてやる! っていうその心がめちゃくちゃカッコ良いなって思って。私も(今は)そういう感じなのかな、と思います。
──ヤユヨでリコさんはボーカル&ギター担当ですけど、ではギターも高校の軽音部から始められて?
リコ:軽音部ではずっとボーカルで、ギターを持ったのはヤユヨを始めてからです。私たちのやりたい音楽性として、いろんな楽器を鳴らしてるほうが良いなっていうのがあって。ぺっぺ(G&Cho)がギター一本でコードを鳴らしてるだけだとちょっともったいないと言うか、aikoさんの影響もあってやっぱり、ポップス味のある感じが好きなのもあって。私もギターを持って私がギターのコードを鳴らしている上にぺっぺがギターのリフを弾いてるほうが、やりたい音楽を実現できるんじゃないかということで。ギターを持つことになりました。