10月27日(日)の『YOWLL FES』は、"YOWLLというバンドが出会ってきた濃すぎる人たちを集めて"開催されるフェスだ。初開催に向けた思いは「YOWLL FESに寄せて」(新宿LOFTのスケジュールページを参照)もお読みいただきつつ、10代半ばで初めて新宿LOFTのステージに立ってからバンドや形態の変化はあれど、森良太というアーティストが鳴らす音を見届け続けている新宿LOFTとの長くて深い繋がりがあるからこそできる日であろう。
出演アーティスト第二弾も発表され、この日に向けた思いであったり、新宿LOFTという"箱"のことであったり。2023年始動のYOWLLを率いる森良太と、新宿LOFTで長年ブッキングを担当している樋口寛子の両名で、ざっくばらんに語り合った模様をお届けする。客観的に話を耳にしながら、このフェスには"他にはない"が確実に詰まっていると感じた。さぁ、皆で時代の目撃者になろうぞ!(Interview:高橋ちえ)
“しっかり自分の音楽をやりたい”出演者ばかりが集まるフェス
樋口:今回の出演者は、森くん選りすぐりの方々を全国から集めてくださって。全16組、素晴らしい皆さんにご出演いただくことになりましたけど、Brian the Sun(以下、ブライアン)から現在進行形で音楽を続けてて、今回はYOWLLとしてフェスをやってくれる。どんな思いです?
森良太(YOWLL|G&Vo):思いが多岐に渡るんですけど、一番はやっぱり、新宿LOFTっていう伝統があるステージに立てるだけで嬉しい、そんな箱で自分が去年、全国を回って“いいなぁ”って思うバンドと一緒にお祭りをする。自分の目で観てカッコいいと思ったバンドを重視して、声をかけさせてもらいましたね。
樋口:そもそも新宿LOFTが今年4月から年内いっぱいかけて、歌舞伎町移転25周年のアニバーサリーをやるという話が出てきた時に、いろんな時代を網羅した出演者の方に出てもらえたら良いなと思っていて。その中で、森くんとの出会いは印象に残っているし、何かやってもらえないかな…と思ったところでご相談をさせてもらったら、二つ返事だったので嬉しかったです。
森:メッチャ嬉しかったしありがたいです。ちょうどいろんなバンドとツアーを回ったりし始めて、全国にいっぱいいる良いバンドが集結できる日があったら良いな…って思っていた時で、良いタイミングだなぁって。
樋口:なるほどね。私も初めて知るバンドさんが大分いるので、良い音楽・バンドとの出会いを持ってきてくださって、ありがたいイベントだなって。
森:THYPALMを去年LOFTに連れて行ったら、また別の日にライブを入れてくれたりして。新宿LOFTに行ったらそれが生きて次に繋がっていく、っていうことを樋口さんは実現してくれるので。連れて行って“こんなバンドいますよ”って紹介したい気持ちもあるし。
樋口:こちらもすごく嬉しいんです、チセツナガラも(以前に)ご紹介いただいて。人柄も良いし話しやすくて、新宿LOFTに出てもらいましたからね。
森:東京のライブハウスも細分化してきてるし、日本のライブハウスシーンの空気もBrian the Sun時代とはちょっと違うのを感じてて。その中で、ちゃんと足を運んで現地にいくのはメッチャ大事やと思ってるんで。それを活かせる場を提供いただけて良かったなと思ってます。
樋口:第一弾で出演が発表されている方の中で、一番付き合いが古いバンドって?
森:LONEが一番古いのか、もう15年ぐらいの付き合いなので。あとEnfantsかな。バンドとしてはYOWLLと同じぐらいの活動期間なんですけど、付き合い自体は長いですね。
樋口:じゃあ長い付き合いもいればここ最近知り合ったバンドもいるし、世代にしても幅広そうだね。
森:メッチャ広いですね。人形人間とmukはそれこそメチャクチャ若くて二十歳前後なのかな。樋口さんも長い間ライブハウスシーンを観てるから分かると思うんですけど、その時々で旬なバンドがいて、旬なバンドの前と後ろには、旬だったバンドとこれから旬を迎えるバンドがいる。皆、活動としては一生懸命やってるわけだし、皆でシーンを作ってかき混ぜたい、みたいな気持ちが、今の自分はメッチャ強いんですよね。
樋口:(この企画を)ご提案させてもらって良かったな、って今の時点でメッチャ思う(一同笑)。私は今はもう全国あちこち行くような仕事ではなくなっちゃったから、各地の方々や音楽、においだったり、そういうものをYOWLLを通して教えてもらえる機会であり、LOFTにとってもありがたいことだと思います。
森:良かったです。出るバンドは皆、メチャクチャ良いものを持ってる、でも、そのポテンシャルを発揮する場所が日本の土壌には少なくない? っていうのがあると思うんで。それが発揮できる場になれば良いなぁって思ってるんですね。
樋口:今回、出演者を決めるのは大変でした?
森:メッチャ悩みました。あのバンドもこのバンドも呼びたい、っていうのはあったんですけど、新宿LOFTが歌舞伎町に移転して25年(企画でもあるの)と、LOFTに似合うかどうかっていうのを勝手に自分の中で考えて。ここから(LOFTと)繋がっていってもらえるバンドかどうか、とかも考えながらお声をかけさせてもらいました。樋口さんの好みも自分は分かってると思うんで(笑)、ちゃんとミュージシャンシップと言うか、音楽を軸にこれからもやっていく・しっかりと自分の音楽をやりたい、っていう人たちが集ってる感じで。自分も全バンド、観たいっすね(笑)。
樋口:森くんにとって、新宿LOFTってどんなライブハウスなのかな?
森:ライブをショーとして作っていくのに、スタッフの方のレベルがメチャクチャ高いと思ってて。ライブをやるにしてもストレスが少ないんですよ。これだけサポートしてくれるからには良いライブをしないと! っていう空気が、箱からちゃんと出てるんですよね。新宿LOFTの規模感だったり歴史もそうやし、いろんな意味で、カジュアルに出られる気持ちで出られる場所ではなくて、やっぱり気合も入るライブハウスやと思いますね。