4-STiCKSの新曲を聴いて南野はどう感じる?
──こうして28年ぶりの音源を作れたことで、いずれは『STICK IT OUT!』以来のフルアルバムを作ろうという思いは?
中尾:まだ早いんじゃないですか?(笑)
高田:フルアルバムを作るにはまだちょっとしんどいかな(笑)。
中尾:もちろん4-STiCKSにとってはこの『果てなき旅の途中』ができたことはとても大きなことだと思いますけど。
高田:凄く大きなことですね。人生の最後に良いものができたなって(笑)。
中尾:勝手に終わらせないでくださいよ。果てなき旅の“途中”なんだから(笑)。
── 一般リリースも控えているので、今後はライブの本数を今以上に増やしたいところですね。毎年6月10日だけというのも寂しいですし。
中尾:6月10日だけにしないように、なんやかんやと柳沼さんがそれ以外にも組んでくれてるんです。僕はIn The Soupやソロ以外にもOne Night Standとかいろいろやっていて、この4-STiCKSでも大いに刺激をもらえて面白いです。
──ボーカリストとして見た、ハチさん(In the Soupの八谷健太郎)とも藤沼さん(One Night Stand、ex.亜無亜危異の藤沼伸一)とも違う高田さんのギタリストとしての魅力とはどんなところですか。
中尾:やっぱり普通じゃないですね。
高田:頼りないギタリストではなく?(笑)
中尾:頼りないことはないですよ(笑)。でも変わってるなとは思う。
──具体的に聞かせてください。
中尾:普通はここでドーッ! と行くところをそうは行かずに、単音で攻めていく感じがあるって言うか。今回のレコーディングでまた印象が変わりましたね。高田さんのアレンジのセンス、コーラスのセンスにグッときたし、無駄なことはしないで即時に判断したことがすべて的中するんです。それを見ているのが面白かったですね。
──高田さんも南野さんに負けず劣らず作風がポップだし、南野さんと中学の同級生だった頃からそのセンスが培われてきたのかなと感じたのですが。
高田:まあ、ポップなのは身に付いたものと言うか。南野とはお互いチェッカーズが大好きだったり、キャッチーな歌ものが好きという共通項はありました。僕自身、小学生の頃に親が聴いていたサイモン&ガーファンクルとかメロディとハーモニーがある音楽を好きだったのも大きいと思います。
──中尾さんの歌声は親しみやすい大衆性の高さが魅力の一つだし、高田さんのギターとの相性も良いと思うんです。だからこの先もっと共作が増えると面白いんじゃないかと。
中尾:そうですか? 非常に勉強はさせてもらってますけどね。
高田:学べたことなんてないでしょ?
中尾:ありますよ。たとえば4-STiCKSの持つキャッチーさとか。
──In the Soupもキャッチーさにかけては引けを取らないんじゃないかと思いますが。
中尾:どうかなあ……。
高田:このあいだ、3人編成のIn the Soupを新宿ロフトで観て、こんなにキャッチーだったっけ? と思ったけど。
中尾:ドラムの吉田君(吉田慎一郎)はメロディ・センスもあってキャッチーなんですよ。僕とKはそういうタイプじゃないし、曲はAメロさえできれば大丈夫、唄いたいことが唄えたらOKみたいな感じなので(笑)。
高田:それは独特だなあ(笑)。
──高田さんは、シゲさんから「いまIn the Soupっていうバンドをやってるんだよ」とか話を聞いてなかったんですか。
中尾:ああ、それ聞いてみたい。
高田:いやあ…特に聞いてなかったですね。いろんな媒体を通じてIn the Soupというバンドの存在を知りました。
中尾:シゲさんがマネジメントしているバンドだとは知らなかったんですか?
高田:全然知らなかった。
中尾:へぇ! そうだったのか。
高田:南野はもちろんIn the Soupのことをよく知っていたと思うけどね。4-STiCKSが解散した後も、シゲさんを通じてロフトの仕事もしていたから。僕は当時、ライブハウスの世界から一旦離れていたので。
中尾:だけど南野さんもそう素直に僕らのことを見れてなかったと思いますよ。僕が後進のa flood of circleを見るようにね(笑)。まあそれは冗談だけどジェラシーみたいなのはあったし、南野さんもIn the Soupに対して似たような思いはあったんじゃないかと思う。
──今回のレコーディング中に南野さんの存在をやはり意識していましたか。「ここは信吾ならどうジャッジするだろう?」とか。
高田:僕に関しては、ほとんどなかったです。
中尾:僕も特になかったけど、「LOVERS DREAM」を唄ってるときはどうしても意識せざるを得ないって言うか。
──この3曲を南野さんが聴いたら、何と言われると思いますか。
中尾:やっぱり素直に認めないんじゃないですか? 中尾が唄ってるのはつまらないと感じるんじゃないかな。
高田:「まあまあやな」とか、そんな言い方をするかもしれないね。ロフトでいろんなバンドを観ても「華がないな」と手厳しかったし(笑)。
中尾:でもそれでいいと思いますね。南野さんにはいつまでも悔しがらせるくらいの存在でいてほしいので。
──いつの日か新宿ロフトで最新形4-STiCKSのワンマンを観られる日を楽しみにしております。
高田:どうでしょう。それこそ“果てなき旅”ですね(笑)。