自分のことを歌っていいんだという気持ちの芽生え
──『perfect ME』は社会に目を向けてた感じがしたけど、連続配信シングルから今作は、私的というか個人的というか。もうね、感情に溢れてると感じました。
YUKARI:うん、そうですね。なんかね、自分のことを歌っていいんだっていう気持ちになったんですよ。以前は自分を露出するようなことはあんまりしたくなかった。
──昔は歌詞の言葉数も少なかったしね。
YUKARI:そうですね。以前は、もうね、歌わなくてもいい、歌いたくないっていう気持ちでしたからね。歌詞を歌いたくなかったんですよ。
──ああ、衝動的であっていいって?
YUKARI:衝動的でいいし、音楽において伝えることに意味を感じてなかったっていうか。以前はそう思ってたんですけど、だんだんと、「フォーメーション」、「Live or die,make your choice」を経て、今回はより私的な部分を出していて。世の中を見てはいるけどわたしの目を通した世の中。一個一個、わたしの中ではけっこう具体的なことがあって。それがベースにあります。
──かつては音楽にそんなこと持ち込むのは…。
YUKARI:野暮ったいなって思ってたんですよね。
──それが今作では、全部を含めて音楽になればっていう。
YUKARI:そう。「フォーメーション」の頃から少しずつ世の中とか周りとかを見たり、そこから感じることや考えることがあったり。なんていうか…、レベルミュージック的なことに対しての、興味なのかな。興味が沸いたし、自分もできるかなって思い始めて。音楽って楽しむためだけのツールじゃなく、何かを伝えるためのツールであってもいいかなって。それが両A面ってことで。そうやってできたのが最近の曲の流れで。そういうとこから作った曲が多いです。
──そう考えるとアルバムタイトルがより一層グッとくる。“私の話をしたから、あなたも話して”っていうことですよね?
YUKARI:そうですね。12曲あって一曲ごとジャケットのようにイラストがあって。12個のわたしの物語を紡いで、13個目に、誰でも自分の物語を入れてくれたらって、白いジャケットも入れて。
──いいですね~。
谷ぐち:去年、配信でリリースしたときに、ネットでもジャケット的なものがあるほうがいいし、3曲連続リリースするんだから1曲ごとにバナーを作ろうと。そのイラストはYUKARIが好きな人に頼みたいと。今回CDでリリースだから、1曲ごとにジャケットとしてイラストつけて。ブックレットにはしないで1枚ずつジャケットみたいに作って。7インチのシングルが12曲あるってイメージで。
──いいですね~。
谷ぐち:アルバムのタイトルと全体のコンセプトをYUKARIが出してきて。
──『Tell Your Story』、“あなたの話を聞かせて”ってことは、YUKARIちゃんが前から言ってることだもんね。ライブのMCで“帰れなくなったらうちにおいで”って言ってたし、「WELCOME TO MY HOUSE」[『The Sound of Silence』(2020年)]もそういう曲だと思うし、そして「INVITATION」に繋がっていったと思うし。
YUKARI:ホントそうなんですよ。自分が私的なことを歌うようになって、余計に、こう、人の話、みんなの話も聞きたいって。
谷ぐち:意外とYUKARIは聞き上手なんですよ。俺は人の話を聞いてなくていつも怒られるんですけど(笑)。
──YUKARIちゃんの変化によって、バンドにも変化が。
谷ぐち:そうですね。自然な空気感でそういうふうになったんでしょうね。バンドとしてどういった在り方がいいんだろうってメンバーがそれぞれで考える中で、YUKARIのキャラクターが確立されて立ってきたから、バンドはYUKARIの存在感や歌を伝えるような立ち位置にしようと。
──信頼し合ってる感じが凄く出てきてると思います。YUKARIちゃんがフロアに降りてもどこで歌っても全然OK、任せろって感じで。
谷ぐち:そういう感じにちょっとはなってると思います。
──メンバー個々の音はもちろん、動きもいい感じにアグレッシブになってるし。YUKARIちゃんも一層自由になってる。
YUKARI:でもね、歌いたいことや伝えたいことが出てきて、それを歌に乗せて歌うときに、曲に対する思いとかも凄くあるけど、でもライブじゃそうじゃないときもある。歌詞なんか気にしてないで歌ってるときもある。