コロナ禍での制限を経てできることがどんどん増えている
──楽しいも怒りも、意味あるも意味ないも、全部が一緒になってるのがリミエキのライブですね。
YUKARI:今回で…今回でっていうか、このところ、考えることや怒りや失望することもいっぱいあって。ちょっとしんどいなって思ったりもするけど、リミエキ、ニーハオ!!!!、DEATHROではベースを弾かせてもらって、バンドと音楽があるからピッとしてられるんだなって。
──あ、そういえばニーハオ!!!!で10歳の女の子と一緒にライブやったそうで(詳細はこちら)。
YUKARI:そうなんですよ。音香ちゃんていう高松の子なんだけど、ご両親も音楽がとても好きで企画とかやってたり。きっかけが、音香ちゃんがニーハオ!!!!をDJでかけましたって連絡をいただいて。
──凄い。10歳でDJ!
YUKARI:そうそう。そういう子がいるんだ! ってびっくりして。そしたら今度はダンスを習い始めてニーハオ!!!!の曲で振付も考えて踊ったんですって動画送ってくださって。そしたら今度はドラムを始めましたって。
──凄い!
YUKARI:それでニーハオ!!!!が高松でライブやるから一緒にやろうって。ドラムをただ鳴らすだけでもいいよ、やりたいって気持ちが大事だからって思って。音香ちゃんのライブやりたいって気持ち、音楽が好きだっていう気持ちが、音香ちゃんの中でずっと続いてほしいな、楽しいってことを教えたいなって。最初はそう思ってたんだけど、音香ちゃんメチャメチャ練習してくれて。やるぞ! って気持ちや新鮮さや情熱みたいなのを、逆にこっちがメッチャ教えられた。
──いいね~。ニーハオ!!!!なら絶対にお楽しみ会っぽくはならないよね。そもそもYUKARIちゃんは変に子ども扱いしないと思うし、ガチのライブだったんでしょうね。
YUKARI:うん、そうですね。特別って感じでもないし、子ども扱いもしてないと思う。音香ちゃんも本気だし。ちょっと難しいところを、「ここ簡単にしてもいいよ、どうする?」って聞いたら、「絶対やる」って。そういうガッツある子で。なんかね、チーターズマニア【※2】のメンバーもそうやって共鳴と接してくれたんだなって。ちょっと追体験できた。私が見てる共鳴とチーターズマニアのメンバーが見てる共鳴と違うと思うしね。そう考えたら、お父さんとお母さんが知らない音香ちゃんを見せてもらえたんだなって。ライブはガチだったけど、やっぱり可愛くて可愛くて。
撮影:菊池茂夫
──10歳と一緒でもガチでカッコ良くなるのはニーハオ!!!!ならではでしょうね。
YUKARI:ニーハオ!!!!にしかできないでしょって胸張って言えるライブだったと思います。演奏が失敗したとしてもライブとしてすごいところへは持って行ける自信があった。全然コケなかったんですけどね。バッチリで。ガチじゃないと楽しくないし。音香ちゃんもきっとそうだと思う。楽しむための努力は惜しまない。ニーハオ!!!!は、言ってしまえば失敗もないし完成もないんですよ、変幻自在にやれるので。もうね、バンドやりたい、楽器やってみたい、ライブやってみたいって子がいたら、超ウェルカム! 声かけてください。
──ホント、ニーハオ!!!!ならではで。リミエキとの違いはそのへんですね。
YUKARI:そうですね。ニーハオ!!!!は4人がそれぞれのポジションを回しながらいけるんです。ディフェンスになったりオフェンスになったりをみんなでできる。リミエキでは私はオフェンスでしかないと思ってるから。
──それでどんどんアップデートしていくリミエキ。声もさらにどんどん出てきてるよね。
YUKARI:そうなんですよ。ライブが続いても声が出なくなることがないんですよね。前よりも出る。
──しかも新しい面も出てきて。「R.I.P, friends」のボーカルは戸川純っぼい。
YUKARI:ホントですか? 嬉しいな。今まであんまりやったことないこともやってみようって。
──アップデートは続くね。
YUKARI:今作ってる曲なんかもう今まで以上にメッチャ怒ってるし(笑)。これから状況がどうなるか、前のような自由なライヴの景色になるのか、まだちょっとわからないけど、もちろん自由にやれるライブが早く戻ってほしいけど、でも今ならなんでもできるなって気にはなってます。見せ方、伝え方でなんでもできる。フロアーに降りてお客さんと一緒になることができなくても、ステージの上だけでも、熱とかうねりとかぐわーって届けることができるって。コロナ禍での制限とかを経て、できることがどんどん増えてます。とにかくかっこよくなりたい!
【※1】女パンクの逆襲──フェミニスト音楽史:ヴィヴィエン・ゴールドマン・著、野中モモ・訳。ele-king Booksより2021年12月刊行。イギリスで最初の女性音楽ジャーナリストとしてパンクをレポートし、現在はNY大学で「パンク」と「レゲエ」の講義を持つ通称「パンク教授」による、女性パンクについての目を見張る調査によるレポート。ロックの男性中心の物語に対しての気迫のこもった反論、それぞれの自由を追い求めた女パンクの信念と実践を報告する、フェミニスト音楽史の決定版。詳細はこちら。
【※2】チーターズマニア:YUKARIの息子、中学3年の共鳴を中心に、共鳴が8歳の頃に結成したパンクバンド。共鳴以外のメンバーは大人。現在充電中。YUKARI、谷ぐち順、共鳴の家族を撮ったドキュメンタリー映画、大石規湖監督『MOTHER FUCKER』を見よ!(チーターズマニアのオフィシャルTwitterアカウントはこちら)