本当に気楽に楽しんでいただければ
――最初にさんざん騙して混乱させてこんなに気持ちよく終わるのかと改めて思いますね。
紗羅:(笑)。
――今はコロナ過でうまく気持ちを解き放てない状況ですが、この作品がそういった部分を解き放ってくれました。こういう映画に出会えるのは嬉しいです。
紗羅:そうですね。
――前作『スター』を紗羅さんは「愛の物語」とおっしゃられていましたが、今作はいかがでしょうか。
紗羅:同じ「愛の物語」ですが、今回は私たちから観てくれるみなさんへの愛だと思います。私たちそれぞれが抱えるものというより、狼組が集まってできた作品を、観てくれる人に “ありがとう”を伝えたという気持ちの愛が詰まっている作品だと思います。
――観ていた私も“ありがとう”という気持ちになりました。映画を観て面白かった・楽しかったはありますけど、“ありがとう”と思えることはなかなかない経験なのでそういう意味では新鮮な感覚でした。
紗羅:ありがとうございます。本当に気楽に楽しんでいただければと思います。「こんな人たちもいるから大丈夫、観てみな、進めば進むほど変な人が出てきて、それでも笑ってやっているよ、大丈夫だよ」ってなりますから。
――その見方があったか(笑)。エンディングが綺麗すぎて、途中の不可思議な部分が飛ぶんですよ。
紗羅:それは監督の技ですから(笑)。観終わってスグはエンディングに引っ張られてしまうかもしれないですが、結構しょうもないことやっていますよ。
――確かに。
紗羅:本当に心底意味が分からない、笑えるって、楽しんでください。
――そうですね。同窓会的な空気感もあって楽しかったです。
紗羅:そうですね。
――両作品とも月海の演技が素晴らしいです。紗羅さんはモデルをやられていてミュージシャンを、そして『スター』からは女優にも挑戦されていますが、女優業の面白さとはなんですか。
紗羅:私はそれほど数出ていませんし、監督からこの世界に引っ張り込んでいただいたのでそれほど女優について語れるわけではないですが、今作に限って言うと自然と涙があふれ出てくるというのはこういうものなんだということを初めて感じさせていただきました。それは狼組だからこその体験だと思います。無駄なことを考えずにその場の感情を出せたという本当に素敵な経験をさせていただいたと思います。
――映像作品はよりチームで作り上げるという要素が大きいですから、自分だけでは出せない力をみんなと一緒だからこそ出せたということなんでしょうね。
紗羅:そうですね。固いことを言っているかもしれませんが、心して観なくてもいいと思います(笑)。本当に何も考えずに座っていただければ、物語は進んでいきます。その物語にそって泣いたり笑ったりと感情が運ばれていくので、ぜひ裏切られてください。『スター』を観ていなくても楽しめる作品になっています。『スター』から追いかけてくださるみなさんはもちろん『フェニックス』で初めての方にもぜひ観ていただきたいです。
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