私と仲の良い999999999(キュウ)のベースRyochi君が新しいバンドを始めると随分前に聞いていた。まだそのバンドが音源を配信をする前の2021年3月4日に無観客配信ライブで新宿LOFTに出演し、999999999との2マンを行なったのがGANZ HASEだった。Ryochi君はとても素晴らしいミュージシャンなので楽しみにしていたが予想を遥かに凌駕する良いバンドだった。それから2021年7月と10月に開催した自分の主催イベントにも出演してもらったが、回数を重ねるたびにどんどん進化していて本当に楽しみなバンドだ。
そんなGANZ HASEが4曲入りの1st EP『BLOOD IN BLOOD OUT』を11月5日にリリースした。それを記念してGANZ HASEに初インタビューをさせていただいた。今後、海外の音楽シーンとリンクしていきそうなバンドなので、配信された『BLOOD IN BLOOD OUT』を聴いてぜひ早めにチェックして欲しい。そんなGANZ HASEがいつか新宿LOFTでワンマンライブなどをしたら凄いロマンチックだな〜と個人的に思っている。[interview:柳沢英則(新宿LOFT店長)]
いつかベルリンでライブするのが一つの目標
──まず、“GANZ HASE”というバンド名はどういう意味なんですか。
UCARY:私の口癖が“めっちゃ”なんです。ベルリンにいたとき、“めっちゃ”はドイツ語で何て言うの? って若い子に聞いたら“GANZ”だよって。ベルリンにいるあいだ、「私は日本から来た“めっちゃうさぎ”です」ってずっと言ってたらめっちゃ知り合いができたから、これ面白いんじゃないかと思って付けました。
──それはもうバンドができてるとき?
UCARY:いや、最初は自分が打ち込みでハードコアテクノみたいなことをしてて、それが4年前ぐらいかな。それから2年前ぐらいですかね、ギターのKikuchiさんに「もうそろそろバンドにしてライブしたいな」って相談して、メンバー探して今の4人になった感じです。
──もともとKikuchiとは面識があったの?
UCARY:“UCARY & THE VALENTINE”というソロのプロジェクトでサポートのメンバーとして入ってもらってました。
──Ryochiとは?
UCARY:999999999のライブに呼んでもらってですね。Too-shit君は「ヤバいドラマーがいるよ」って教えてもらってライブを観に行きました。パフォーマンスを観た瞬間、この人が一番かっこよく見える曲を作りたいと思いました。もっとバンドサウンドにしたいなって。ラブコールにも応えてくれたので、曲のアレンジも少しずつ変えていき、今のスタイルになりました。
──ベルリンでハードコアテクノみたいなことをやってたっていうのは、それをやりたいっていう意識があったの?
UCARY:ベルリンは街として好きなんです。パンクもハードコアも邪険にされてないというか、みんな普段着みたいに個性を受け入れているんですよね。そういう人がいっぱいいる、こういう街でライブをしたら自分は過ごしやすいんじゃないかと思って。ベルリンでライブするのが一つの目標です。
──と仰ってますけど、皆さんはどうですか?
Too-shit:めちゃくちゃ行きたいですね。音楽的にもテクノとかがアツいっていうのもそうなんですけど、変な人が過ごしやすい空気っていうのをベルリンには感じていて。生きやすいとこに行きたいですね、過ごしやすいところ。
──KikuchiとRyochiは知り合いだったの?
Ryochi:999999999でもギター弾いてもらったり、999999999のイベントでMOP of HEADに出てもらったこともあるし、もともとVOLT(vocal / 999999999)と旧知なので。
Too-shit:それで僕は普段やってるQUESTRAKTっていうハードコアバンドで999999999と仲良くなってて。Ryochiさんとは何かありそうだなと思ったので連絡先を交換していて。
Ryochi:二人でスタジオ入ったりしてたよね。
Too-shit:そう。で、メンバーを探してるってときに声かけてもらって、UCARYちゃんをライブに連れてきてもらって。それでお誘いを受けましたね。
──最初はトラックを中心に作ってたということなんですが、バンドとしてスタジオで合わせたときの感触はどうでしたか。
UCARY:全然違いますね。最近の傾向として、曲の核みたいなものを作ってみんなに投げて、それぞれその曲に合う音を持ってきてもらう感じで進めます。メインのアレンジはKikuchiさんにやってもらって、そこからさらにそれぞれが音を入れていく感じです。
──ある程度自由に曲を作ることができてると。
Too-shit:そうですね、バンド感が出てきてますよね。
UCARY:我々は基本的にオンラインバンドなんです。
Ryochi:俺が誘われたのは本当にコロナ禍で。Too-shit君が入るまでは本当にデータだけのやり取りで活動していて、Web上に存在しているみたいな。スタジオとか入らずに。
Too-shit:僕以外はみんな宅録できるんですよね。なのでそれが強みではあったと思います。
──ライブもすでに4回ほどやってるけど、スタジオで音を合わせているとライブの完成度みたいなものもどんどん変わってくるもの?
Ryochi:それぞれがバンド経験、音楽経験があるのでやっぱり変化が早いですね。みんなそれぞれにスタイルを持っているのでバンドが変化していく、仕上がっていくのがとても早いなと思います。曲ができるスピードもそうですし、バンドとして、お互いの役割を把握して「自分はこれをやるんだ」っていうのが分かっている。無意識なのか意識的なのか分からないけども。
──ライブをやって達成感みたいなものはだいぶ増えてきた?
Ryochi:やるたびに増えてますね。
Too-shit:まだ分母が少ないんで分からないですけどね。ただ、前回の二万電圧でのライブはめちゃくちゃ良かった。すごくやった感がありました。
Ryochi:スタジオでも最近爆発してますもんね。
UCARY:私は“やってしまった感”が増えてきたかもしれない。やりすぎちゃったなというか。ソロは歌がメインなので、心を込めて歌に集中します。GANZ HASEは暴れるっていうことを練習中です。今の段階はそこ。今はライブに慣れることを個人的に重要視してます。ずっとやりたかったハードなバンドなんで、そこのボーカルとして見ていられる動きを研究しています。そういうのを経て歌も上手くなったらベルリン行きですね。今はまだ慣れていないです。めちゃくちゃ楽しいけど、もっとかっこよくなる自信があります。