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INTERVIEW

トップインタビュー板場広志(漫画家)- 「社畜と少女の1800日」はキャラクターが動いたという事なんだと思います

「社畜と少女の1800日」はキャラクターが動いたという事なんだと思います

2021.10.29

 魅力的な物語、丁寧に描かれた登場人物たちの心情から多くの読者の心をつかんだ『社畜と少女の1800日』。ファンの熱い支持を受け、完結した物語『社畜と少女のエトセトラ 社畜と少女の1800日スピンオフ』の、さらにその先『社畜と少女のその後 20歳の誕生日』が描かれる。最新作『その後』配信開始を前に作者である板場広志氏に本作に込めた思いを伺いました。
[interview:柏木 聡(LOFT/PLUS ONE)]

こうだったら良かったなという理想をキャラクターにしよう

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――タイトル『社畜と少女の1800日(以下、社畜と少女)』という官能小説のような響きや掲載誌『週刊漫画TIMES』の年齢層もあって、もっと濃いドロドロの話になるのかなと思っていました。
 
板場(広志):担当さんからのアイデアでこのタイトルになりました。自分はタイトル考えるの苦手なんですよね。
 
――『社畜と少女』の連載はどういった経緯で開始されたのでしょうか。
 
担当:この作品は私が板場さんの担当になって3作目なんです。開始前に次の作品はどうしましょうかと話をしたときに、板場さんから頂いたアイデアが「健気で良い子が描きたい」だったんです。
 
板場:1作目・2作目では「こんな嫌な奴・変な奴っているよね」という所からキャラクターを作って描いていったんですが、そうすると余り好かれるキャラが出てこなかったんです。それなら自分がこうだったら良かったなという理想をキャラクターにしようと思って描いたのが(君島)優里になります。あと、担当さんからの言葉でいまも覚えているんですけど、「板場さんって社畜じゃないですか。」と言われて(笑)。
 
担当:原稿を取りに行った際に板場さんが部屋の奥で脱稿のあとにダウンしている場面に出会ったこともあって、その社畜ぶりを目の当たりにしたんです。実際は会社に所属しているわけではないので社畜と言うと語弊があるのですが…。
 
板場:自分でもワーカホリックな感じはしているので、そういう今の自分を元にしたキャラクターが東根(将彦)です。
 
――ご自身を投影されたキャラで描かれたわけですが、本編連載を終えられて如何ですか。
 
板場:みんなに読んでもらえて好意的に評価されて良かったなと、シンプルにそれだけですね。
 
――13巻の本編を描かれてすぐに『社畜と少女のエトセトラ 社畜と少女の1800日スピンオフ(以下、エトセトラ)』、今回の『社畜と少女のその後 20歳の誕生日(以下、その後)』も間を空けずに執筆ですが、次作へのインプットとかもかねて休もうとは思わなかったのですか。
 
板場:少し休もうかなと思ったんですけど、やることが無いので。
 
担当:やっぱり社畜ですね(笑)。
 
――そうですね(笑)。本編の物語はどのように構成されていったのでしょうか。
 
板場:キャラクターが勝手に動いていったのを、観察してるだけです。そこに担当さんから「猫拾いましょう」などアイデアをもらって、そのアイテムを置いて勝手に動くキャラクターの反応を観察する感じです。まれに自分の思い込みが入ってしまった時は、担当さんから「優里ちゃんはこんなこと言わない」と訂正が入ります(笑)。
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――タイトルに“1800日”と入っているので、ある程度の流れを決められての連載だと思っていました。
 
板場:もちろん、綺麗に本編を1800日で終わりたいという思いはありました。そう思っていても実際に連載がどれだけ続けられるかは分からないですから。
 
担当:そこは読者のみなさんに支えていただいたお陰です。本当にありがたいです。
 
――スレもいくつも立っていて、WEBでの盛り上がりも凄い作品ですよね。
 
担当:物語の進行とキャラクターたちの年齢や作中の時期を検証した年表を作られている方もお見かけして、すごく読み込んでくださっているなと。
 
板場:みんな凄いな、良く見ている。
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担当:それもあって、13巻終盤の桜のシーンは作中で仮定した年月日の開花状況に合わせて描いていただきました。読者の方が本気だったからこそ、こちらの本気度が増した部分はありましたね。
 
板場:11巻の頃から「ちゃんと終わらせたい。」と話しをしていて、最後まで手を抜かずに駆け抜けました。
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