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INTERVIEW

トップインタビューイシグロキョウヘイ(監督)×佐藤大(脚本)- 「サイダーのように言葉が湧き上がる」音楽も記憶とリンクしている

「サイダーのように言葉が湧き上がる」音楽も記憶とリンクしている

2021.07.19

理想のキャスティングを貫けた

──キャストについてもお伺いしたいのですが、主演のお二人はどうやって決められたのですか。

イシグロチェリーは最初、全然イメージが浮かばなかったんです。男の子キャラの声優は女性の方が務めることが多いじゃないですか。例えば、エヴァンゲリオンの碇シンジは緒方恵美さん、ドラゴンボールの孫悟空は野沢雅子さんが演じている。お二人ともキャラとピッタリであの声しか思い浮かばないじゃないですか。

──そうですね。

イシグロお二人とも女性で、さらに言うとキャラとは年齢も全然離れているんです。つまり、声とアニメのキャラクターというのは分離できるんだから、キャラクターに合った声は性別・年齢に関係なく選べる、どこかに合う人が必ず居るという考えが僕の中にあったんです。そういう事を基準にしてキャスティングを進めたんですけど、チェリーに関しては全然浮かんでこなかったんです。その時、逆にその考えにとらわれすぎているのかもと気付いたんです。なので、シンプルに実年齢に近い子に演じてもらえればしっくりくるんじゃないかという事に気付いて、調べていったなかで(八代目市川)染五郎くんに辿りついたんです。

──確かに、染五郎さんはチェリーと同世代ですね。

イシグロ染五郎くんは、声がいいんです。聞けば聞くほど、チェリーにしか聞こえなくなっていったんですけど、直接聞かないと判断できないなと思ったので歌舞伎座に観に行きました。そこで直接、聞いた瞬間チェリーだと思いました。それで松竹の方に頑張っていただいて、僕も手紙を書いて思いを伝えたところ、「声のお仕事は初めてだけど、チャレンジしてみたい。」ということでやってもらえることになりました。

──杉咲(花)さんはどのように決められたのですか。

イシグロ逆にスマイルは最初の方からイメージがあったんです。スマイルが出っ歯だからというのも少しあるんですけど、女優さんの中でも歯がチャームポイントの方にお願いしたと考えていたんです。杉咲さんも歯がチャームポイントの1つだと思っていて、声も本当にいいので是非お願いしたいということでオファーさせていただきました。杉咲さんにも熱意を伝えたいと手紙を書いて「いかにあなたの声を必要としているか」を伝えたところ、彼女から快諾のお返事がいただけました。理想のキャスティングを貫けたと思います。主演の二人を含めて全員、僕が望むキャスティングになりました。

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──お二人は特に年齢が近いからこそ出せる初々しさが出ていて良かったです。

イシグロその辺は、自分で強みとして持っていると思っています。僕は絵が描けませんが、耳は良いと思っています。音楽面もそうですし、キャストの声のマッチ具合とか芝居感を聞き分ける力は、この映画を作り終えてさらに自信になりました。オリジナル作品だからこそ、確信に変わったところがあります。

──声・音楽を聴いているだけでも気持ちよくなる作品でした。

イシグロ嬉しいです。

──やっと1年の延期を経て公開になるわけですね。待ち望んだ作品が劇場で見られるということにワクワクしています。

イシグロいつ公開できるだろうというモヤモヤ感はずっと続いていたので、それが晴れてよかったです。公開延期を今はケガの功名と考えるようにしています。作品舞台が夏なので、もともと公開を予定していた昨年5月だと少し早かったんです。公開の7/22は夏休みスタートの時期で、完全に夏休み映画となったのでポジティブに捉えています。

大:この作品に参加できたことは僕にとって誇りです。こういう青春物語を狙ってやるのことは自分のキャリアでは難しいと思っていましたが、結果としてイシグロさんとやる意味を持った作品になったと感じています。作品を作る上で不必要なことはなかった、そういう意味で僕も延期をプラスに考えています。僕らが企画をやっていたころよりもシティポップのリバイバルが一般にも浸透していっているのも、プラスになるのかなと感じています。

イシグロ時代をとらえてくれるといいなと思いますね。この映画を観てスカッと爽やかな感じで映画館を出てくれると本当に嬉しいので、それを望んでます。
 

© 2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

「サイダーのように言葉が湧き上がる」
著者:おおのいも  
原作:フライングドッグ  

協力:スタジオ心
発行:KADOKAWA
第1巻 価格:600円+税
第2巻・第3巻 価格:610円+税

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THEME SONG主題歌
「サイダーのように言葉が湧き上がる」
never young beach

ビクターエンタテインメント

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【収録内容】
1. サイダーのように言葉が湧き上がる
2. シティサイド・ラプソディ
3. サイダーのように言葉が湧き上がる (Instrumental)
4. シティサイド・ラプソディ (Instrumental)

LIVE INFOライブ情報

フライングドッグ10周年記念作品「サイダーのように言葉が湧き上がる」
 
7月22日(木・祝)より全国劇場にて公開!
 
-Cast-
チェリー:市川染五郎
スマイル:杉咲 花
 
ビーバー:潘めぐみ
ジャパン:花江夏樹
タフボーイ:梅原裕一
ジュリ:中島 愛
マリ:諸星すみれ
紘一:神谷浩史
まりあ:坂本真綾
フジヤマ:山寺宏一
つばき:井上喜久子 ほか
 
-staff-
原作:フライングドッグ
監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ
脚本:佐藤大
キャラクターデザイン・総作画監督:愛敬由紀子
音楽:牛尾憲輔
主題歌:never young beach『サイダーのように言葉が湧き上がる』
劇中歌:大貫妙子『YAMAZAKURA』
演出:山城智恵
作画監督:金田尚美、エロール・セドリック、西村郁、渡部由紀子、辻智子、洪熙昌、小磯由佳、吉田南
原画:森川聡子
プロップデザイン:小磯由佳、愛敬由紀子
色彩設計:大塚眞純
美術設定・レイアウト監修:木村雅広
美術監督:中村千恵子
3DCG監督:塚本倫基
撮影監督:棚田耕平、関谷能弘
音響監督:明田川仁
アニメーションプロデューサー:小川拓也
配給:松竹
アニメーション制作:シグナル・エムディ、サブリメイション
製作:『サイダーのように言葉が湧き上がる』製作委員会
 
“言の葉が 弾け飛ぶ夏 強炭酸”『サイダーめく団地団 夜』
 
脚本を担当された佐藤大さん登壇のイベント開催
7/22公開『サイダーのように言葉が湧き上がる』についてもトーク予定!!
 
7/27 START 19:00
視聴チケット 2,000円
 
【今回の登壇予定メンバー】
団地団 are
佐藤大(脚本家)/大山顕(写真家)/速水健朗(ライター)
山内マリコ(作家)/稲田豊史(編集・ライター)/うめ・妹尾朝子(漫画家) ほか
※出演者の諸事情により、やむをえずリモート参加、遅刻、欠席になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
 
 
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