昨年10月に結成35周年を迎えたG.D.FLICKERS、1年振りのニューシングル「Carmine」を配信リリースしたばかりのNAkidZによる2マンライブ『KEEP the LOFT』が4月18日(日)に新宿LOFTで開催される。昨年8月に新宿LOFTで開催された無観客配信イベントでG.D.FLICKERSのJOEとNAkidZが共演し、NAkidZのライブを初めて観たJOEが一発でバンドを気に入ったことから新宿LOFTが2マンを提案したという。流行り廃りに左右されることなく普遍性の高いロックンロールを頑なに鳴らし続ける両バンドの顔役、G.D.FLICKERSのJOEとNAkidZのウエサカシュンスケに今回のイベント開催を記念して対談してもらったが、何かと共通項の多い両者は30歳以上の年齢差などものともせず、まるで以前からよく知る間柄のようだった。純度の高いロックンロールは時代も世代も国境も超えてぼくらの心を撃ち抜くことを証明するような対話であり、代々受け継がれてきたロックンロールを若い世代へ伝承していく気概、それでもなおバンドを続けていく意義など、ロックンロールに魅せられた者同士の言葉のキャッチボールはどこまでもピュアで真っ直ぐでブレがない。その普遍かつ不変のスタンスがバンドアンサンブルに直結した両者の饗宴をどうかお見逃しなく。(interview:椎名宗之)
売れるためにやりたくないことをやるのは嘘だと思う
──まず、今回の対バンの企画意図を店長から聞かせてください。
柳沢英則(新宿ロフト店長):新宿ロフトにずっと出てもらっているG.D.FLICKERSのJOEさんと、ライブハウスでずっと頑張っているNAkidZが去年の8月に『KEEP the LOFT vol.2』で共演して、そのときにNAkidZのライブを見たJOEさんがすごく褒めてくれて、それ一度きりで終わらせるのはもったいないと思ったんです。今度はG.D.にバンドとして出てもらって、世代に関係なくいいものはいいんだという趣旨のもとでG.D.とNAkidZの2マンを企画しました。
ウエサカ:俺はまだ生のG.D.を見たことがないんですけど、去年の10月に高円寺LOFTXでやった配信ライブを見させてもらって、すごく格好良かったです。これぞロックンロール! って感じで。だから今回の2マンを柳沢さんから提案されて断る選択肢がなかったというか。もともとG.D.やルースターズ、ミッシェル(・ガン・エレファント)といった世代のバンドに憧れて、そういうバンドが受け継いできたロックに魅了されて俺たちもバンドを続けてきましたから。G.D.のやってる音楽はまさしくど真ん中って感じなんです。
──考えてみれば、G.D.みたいなダブルギターのロックンロールバンドってだいぶ減ってきた気がしますね。
JOE:あと、スタンドボーカルがあまりいないんだよ。
ウエサカ:ああ、確かに。
JOE:テレビとかに出てる最近のバンドはギターを弾くボーカルがほとんどでしょ? 昔は俺たちみたいな編成のバンドが外タレも含めていっぱいいたんだけどね。今もずっと好きなストーンズもそうだし、バンドを始める頃に影響を受けたハノイ・ロックスもそうだったし。
──JOEさんは去年初めてNAkidZを見たときから太鼓判を押していましたよね。純粋に格好いいと。
JOE:長いことバンドをやってると、対バンの面子もジャンルや世代が偏ってくるんだよね。だいたい同じ年代で固まるので、若いバンドと知り合う機会がすごく少ない。あと、俺らに関してはヘンな噂が飛び交っているので敬遠されやすい(笑)。そんなところへ『KEEP the LOFT』でピーシーズの柳沼(宏孝)社長と一緒に司会をやって、まあおじさんたちも出てたけどさ、NAkidZを見て久々にグッときたんだよ。正直、見に来てくださいと言われて若いバンドを見に行ってもグッとくることは稀なんだけど、NAkidZはすごく格好良かった。柳沢が推してるバンドと聞いて、ああなるほどなと思ったね。ルーツ的なものもちゃんと出てて、やりたいこともはっきりしてて、無観客なのにあれだけ熱量のあるパフォーマンスをやれるんだから素晴らしいよ。柳沼社長の4-STiCKSはああいうロックなことができなかったね(笑)。
ウエサカ:ありがとうございます(笑)。俺らは同世代でバンドをやってる友達が少ないし、無理に仲良くする必要もないと思ってるんですよ。同世代よりも先輩のほうにロックをやる魂を感じるし、そういうアティテュード的な部分を一番貫いているのがG.D.の世代だと思うんです。
JOE:こういうことを言う奴が俺はやっぱりかわいくなっちゃうわけ。たとえば××××××××は複雑なコードを使って難しいことをやってるから全然かわいくない(笑)。まあそれはそれでいいし、すごい技術だとは思うけど、俺はもっとストレートなロックが好きだし、俺たちがやってきたルーツに根差したロックを継承してくれるNAkidZみたいなバンドは素直にいいなと思えるんだよ。俺たちもいつくたばるかわからないし、自分たちが頑なにやってきた音楽が残っていくのは嬉しいことだよね。
ウエサカ:俺は売れることも大事なことだと思っているのでチャートに載る音楽を最近よく聴くんですけど、売れるためにやりたくないことをやるのは嘘だし、唄いたくないことを唄うのも嘘だと思うんです。G.D.もそうだと思うんですけど、紛れもなくロックンロールに影響を受けたことを曲げる必要はないし、それを俺たちの時代でどこまで貫けるかをいつもすごく考えてます。その信念が売れてる音楽と交わらないわけがないという実感はあるんですけど。