ライブハウスは社会問題に対してなにをしていけるか
──2020年はどのような展開を考えていますか。
平野:俺は、今年、小説を出版するからそれがどうなっていくのか楽しみなんだよ。いったいなにが俺の前に出てくるんだ、そこにどう自分が立ち向かっていくのか。アウトならアウトでいいんだよ。でもさ、頑張ったらなにが起こるんだろうって。俺は利益を独り占めする気はまったくないから、もし成功したらロフトがどう広がっていくのかが楽しみだな。なにも広がらないかもしれないけど、やることが大事なんだよ。『ライブハウス「ロフト」青春記』だって新装版を出すし、ロフトブックスがどう再生していくか楽しみだよな。
加藤:今は文化が大きな岐路に立っていると思うんです。社会への問題提起はもうたくさんだ、じゃあいったいなにをしていくんだ?っていうのが我々大人に対する10代からのエクスキューズなんですよ。そこで、音楽もそうだし、サブカルチャーはなにをしていけるか。あと、2019年の大きなニュースは香港の民主化デモですが、これはジョージ・オーウェルの『1984』からずっと続くテーマですよね。たとえば中国の若い人の中には自由が制限されても、社会が安定して裕福なほうがいいって言う人も多いようですが、香港の若者はそれに対してNOを突きつけている。「俺らは管理されない。民主主義だ」って。民主主義か管理社会か、その戦いなわけですよ。気がつけば今の日本もそうなっていて、『表現の不自由展』についても、お国に逆らっちゃいけない雰囲気、お国の言うことを聞いていたらお前らの安全は保証してやる、っていう中国的な社会になりそうな予感があるじゃないですか。それに対してロックは、それでいいのか?って言わないとだめですよ。
平野:俺の希望は絶望に変わっていくんだよ。だってさ、安倍政権はあれだけめちゃくちゃな政治をしているのに、国民の支持率が50パーセント以上あるなんてさ。もうお手上げだよ。公文書まで書き換えるなんてアメリカだったら終身刑なわけですよ。それでも支持率が下がらない、どうなってるの?だから、俺たち世代はもうやることはやったよって諦めてしまいがちなんだよな。
加藤:そこに対して、ライブハウスはなにをするんだ、ミュージシャンや表現者はなにをするんだっていうところが2020年のテーマだと思いますよ。
平野:そう、俺はあとテニスができればそれでいいの。
加藤::まあ、健康な体に健全な精神が宿りますからね(笑)。