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INTERVIEW

トップインタビュー頭脳警察「無冠の帝王が踏破した万物流転の半世紀」

無冠の帝王が踏破した万物流転の半世紀

2019.10.11

まさかの尺八をフィーチャーした“忍びの歌”

──澤さんは、PANTAさんとTOSHIさんを前に物怖じするようなことはありませんでしたか。

澤:スタジオに入る前は物怖じもしましたけど、頭脳警察でギターを弾ける喜びもあって、浮き足立ったところも若干あったんです。いざスタジオに入ると、お二人が僕ら若手メンバーに対して「まずは自由に、好きなようにやってほしい」と言ってくださって。「君たち3人なりの解釈でやってくれていいから」と。その言葉のおかげで自分たちらしさを出していきやすい空気にはなりましたけど、あまり浮き足立たないように、地に足をつけるように意識しましたね。

──往年の名曲を演奏するプレッシャーもあったのでは?

澤:自分の弾き方でオリジナルとどう変えるかとか、逆に変えないかとか、いろいろと考えましたね。弾きすぎた部分、要らない部分はみんなとの音合わせの中で判断していった感じです。

PANTA:後から加入すると難しいよね。曲のフレーズはすでに決まっているし、そのフレーズのイメージがどうしても強いから。

澤:今回、「コミック雑誌なんか要らない」のイントロを変えることになって、PANTAさんに新しいフレーズを考えてくれと言われたんです。テイチクのスタッフに「竜次の好きなリッチー・ブラックモアが弾きそうな感じでどう?」とか言われて(笑)。あんな日本のロックの代表曲を自分が塗り替えるなんておこがましいと思いましたけど、頭脳警察の懐の深さを感じましたね。代表曲のフレーズは決まったものをやりがちだと思うんですけど、若手の発想に委ねてくれるなんて度量が広いですよね。

PANTA:「ダダリオを探せ」も竜次にアレンジを全部任せたんだよ。アレンジは若手に振り分けてお願いした。

──ああ、だから「ダダリオを探せ」はあんなに性急でパンキッシュなアレンジになったんですね。

PANTA:いいアレンジだよね。ちょっと歌が固い気もするけど。真面目に唄いすぎたと言うか、もっと崩して唄っても良かったかな。

──“ダダリオ”というのは、PANTAさんが映画で共演した女優の名前だそうですね。

PANTA:『I Am Not A Bird』という映画(日本未公開)で共演したアレクサンドラ・ダダリオと、ギターの弦やチューナーで有名なD'Addarioを引っかけてみた。いつもチューナーをなくしちゃうからさ(笑)。『I Am Not A Bird』で主演のダダリオは、昼は英会話の講師、夜は酒とセックスとドラッグに溺れる女性を演じていて、俺は最初、みんながたむろするゴールデン街のマスターを演じる予定だったんだけど、5日間の拘束時間が取れなくてね。1日だけならスケジュールが合ったので役を変えてもらって、ダダリオが車に飛び込むところを助ける役になった。東京のラブホテル街を徘徊する女性の物語だから「ダダリオを探せ」というタイトルにしたわけ。

IMG_0118_web.jpg──なるほど。それにしても、1曲目の「乱破者」は凄まじいインパクトですね。いきなり唸りまくる尺八の音が聴こえてきて、何事かと思いましたけど(笑)。

PANTA:違うCDを聴いてるんじゃないかと思ったでしょ? 不買運動が起きないことを祈るばかりだよ(笑)。

──ロックと純邦楽を融合させたような異色作で、文句なしに格好いいのですが、“乱破”とは“乱暴者”、“無頼漢”の他に“間者”(スパイ)、“忍びの者”という意味もありますね。通りで忍者を彷彿とさせる曲調や歌詞だなと思って。PANTAさんも尺八にのせて“臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前”と呪文のようにつぶやいていますし。

PANTA:あれは九字護身法だね。九字の呪文と九種類の印によって除災戦勝を祈る作法。小学生の頃、親父が「これだけは覚えておけよ」と教えてくれてさ。家紋も甲賀望月の九曜星だったし、もしかしたら俺の祖先は忍びの者だったのかもしれない。いつかそういうテーマの曲を書こうと以前から考えていて、狭山湖の底に沈む勝楽寺村が忍者の隠れ里だったら…と想像を膨らませて書いてみた。“乱破”や“素破”というのは忍びの別名なんだよ。最初は“乱破”を“乱波”にしていたんだけど、“破”にしたほうが頭脳警察らしいんじゃないかとスタッフに言われてね。

──山口義高監督の映画『下忍 赤い影』で忍者の長老を演じたことも関係があるのでしょうか。

PANTA:あの映画は全くの偶然なんだよ。「乱破者」を書き進めていた一方、映画で伊賀忍者の頭をやらないかとオファーが来てね。ここまでリンクしてくるのなら、「乱破者」を映画の主題歌にしてほしかったけど(笑)。ちょっと種明かしをすると、あの尺八のイントロは実は「屋根の上の猫」なんだよ。最初、“乱破”をテーマにした曲を書こうとして、どんな曲調にしても忍びと合わないことに気がついた。たとえばディープ・パープルみたいなハード・ロックでもダメ。忍者が動き回る場面を想像して、一番合うと思ったのが「屋根の上の猫」だった。だから隠しテーマとして「屋根の上の忍者」というのがあってさ。市川雷蔵が主演の『忍びの者』という素晴らしい映画があって、そのヒットを受けて『梟の城』がこれまで何度か映像化されているけど、『梟の城』でも忍者の居場所は城の屋根の上が似合うじゃない? それで「屋根の上の忍者」、「屋根の上の猫」となるわけ。そんな経緯をメンバーに話したら、竜次とおおくぼ君に「イントロの尺八は『屋根の上の猫』のフレーズで行っちゃいましょう!」と言われて、それも面白いかなと思ってね。

 

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頭脳警察 結成50周年記念作品『乱破』

2019年9月18日(水)発売
TEICHIKU ENTERTAINMENT TECH-30537
定価:¥2,778+税

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【収録曲】
01. 乱破者(新曲)
02. ダダリオを探せ(新曲)
03. 戦士のバラード(新曲)
04. 搖れる大地 Ⅰ(新曲)
05. 搖れる大地 II(新曲)
06. 紫のプリズムにのって(新曲)
07. だからオレは笑ってる
08. アウトロ〜OUTRO(新曲)
09. R★E★D
10. 麗しのジェット・ダンサー〜メカニカル・ドールの悲劇〜プリマドンナ〜やけっぱちのルンバ
11. 夜明まで離さない
12. コミック雑誌なんか要らない
13. さようなら世界夫人よ

LIVE INFOライブ情報

夕刊フジロック PLUS2
頭脳警察『Right Left the Light~ど真ん中から叫んでやる~』結成50周年3rd

共演:戸川純 avec おおくぼけい / 岳竜(澤竜次・宮田岳)/ 玲里
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前売¥6,500 / 当日¥7,000(共にドリンク代別)
問い合わせ:duo MUSIC EXCHANGE 03-5459-8716

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OPEN 16:30 / START 17:00
前売¥5,000 / 当日¥5,500(共にドリンク代別)
問い合わせ:La.mama 03-3464-0801(15:00〜22:00)

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