曲を聴いて自分なりの物語を重ねてほしい
──5曲目の「world wide waddle」は、toddleの自主レーベル名でもありますよね。
安岡:もともとは自主企画のイベント名ですね。
──ワールドワイドなのによちよち歩きっていう…いかにもtoddleらしいタイトルですが(笑)。
田渕:私、歌詞は作るんですけど曲名ってあまり決められなくて。これも小林さんに命名してもらったんです。
──この「world wide waddle」、ギターの出だしがロス・ロボスの「La Bamba」、もしくはZIGGYの「GLORIA」を彷彿とさせるというか…(笑)。
田渕:ははは。江崎君は「グラム・ロックっぽい」って言ってましたけど。
江崎:うん。グラム魂が出てるでしょう?
安岡:ああ、頭の歌詞にある「踵鳴らし〜」って、ロンドン・ブーツ履くような長い踵なんやね(笑)。
小林:凄いイメージ変わるねぇ(笑)。
安岡:そりゃあ、よちよちしか歩けんわなぁ。ブーツじゃ走れんもんなぁ(笑)。
──ひさ子さんのグラム・ロック好きは有名ですよね。
田渕:有名ですか?(笑) 大好きですよ。ただ、この曲にグラム・ロックのDNAを宿したつもりはなかったですけど(笑)。
──バンドを始める絶対条件が“同い年であること”ってことであれば、自ずと聴いてきた音楽もみなさん似通っているんじゃないですか?
田渕:時代的には同じところを通ってはきてますよね。音楽の趣味はみんな全然違うと思いますけど(笑)。
──8曲目の「mur mur」はR.E.M.と関係ありますか?
田渕:その曲名は秀樹君が付けてくれました。“ぶつぶつ言う”っていう。
安岡:なんか歌詞が独り言っぽいじゃないですか? “なに言うてんねん、おまえ”っていうか(笑)。
──江崎さんが作った曲は?
江崎:7曲目の「scene of a girl」ですね。この曲に限らず、全曲を俺が引っ張ってると思ってますよ(笑)。いや、きっとそれぞれがそう思ってやってるはずです。じゃないと面白くないですから。頻繁に練習ができるわけでもないですし。
安岡:練習はライブ前に2回くらいやる程度ですね。
田渕:新曲がライブの前の日に出来上がったり。もとから少ない練習なんですけど、なかなか4人が揃わなかったり。
──各人、別個にバンドがありますもんね。
田渕:いや、「忘れてた」とか「寝てた」とか、そういう理由で(笑)。
安岡:……起きれんもん……(笑)。
──9曲目は唯一小林さんによるメイン・ボーカル曲ですが、この「oyster」っていうのは?
小林:“カキ”っていう意味もあるんですけど、ここでは“無口な人”のことを指しているんです。“貝みたいに静かな人”っていうニュアンスですね。
田渕:この曲はレコーディングの直前にできた曲で、ライブでもやったことがないんです。歌を録る時にやっと全部の歌詞ができたような感じで、できてすぐに唄うのはちょっと恥ずかしいし、それにこの歌詞だけ自分の中ではあまりに直接的というか、トイレのドアを開けられた、みたいなところがあって(笑)。それで小林さんに唄ってもらうことになったんです。私も何度か挑戦したんですけど、他の曲に比べてちょっと半端な感じになってしまって。小林さんが唄ったら凄く良かったんですよ。
──アルバムのジャケットは、toddleのイメージによく合った鳥の刺繍をあしらったもので。
小林:レイアウトはちゃこちゃんと2人で考えながら鳥のイラストを起こして、その下絵をもとにちゃこちゃんが刺繍したものなんですよ。
──アルバムを1枚こしらえると、その後のライブの向き合い方も自ずと変わってくるんじゃないですか?
安岡:まだ1回もやってないからねぇ…(笑)。
田渕:9月4日のイベントがレコーディング後初ですね。その後にレコ発があって、全国ツアーという名のグルメ・ツアーがあって(笑)。
江崎:とにかく楽しんでやりたいよね。お客さんにも楽しんでほしいです。
小林:ライブが終わって美味しいビールが呑めるように、本番で失敗しないようにしないと。
──こうしてお話を伺っていると、これだけガツガツしていないバンドには久々に出会った気がしますよ(笑)。
安岡:いやぁ、これも作戦のうちですからね。裏ではガツガツしてますから(笑)。
小林:そう言って私のほうを見ないでよ(笑)。
──最後に読者へのメッセージをリーダーからお願いします。
田渕:このアルバムに収めた曲はそれぞれに物語があって、どれも未完成なんです。受け取ったその人の物語が重ねられて、そこで初めて作品は完成されると思ってるんです。だから曲を聴いて自分なりの物語を重ねてほしいですね。ライブも是非来て下さい。