「チャラい」「怖い」根強いクラブへのイメージ
―EDMブームもあって、ダンスミュージック自体は広まっているとは思うんですが、いざクラブに行くとなると「チャラい」「怖い」の、どちらかのイメージが出てきますよね。
DJ EMMA:そうなんですよね。実際、そういうとろもあるから否定はできないんだけど、勇気を出して行ってみると、そこまでチャラくないし、怖くないということも分かるんですよ。例えば、初めてコムデギャルソンのお店に入るときって緊張しますよね、でもそこを超えれば何てことないし、自分に合うクラブも見つけられるようになる。
ダースレイダー:通過儀礼というか、この門をくぐったら違う自分になっちゃう感覚。今はその冒険をしなくなったというのは感じますね。みんな保守的で、ちょっとでも怖いとかチャラいとか、不安要素があると行かなくなっちゃう。
―インターネットとかで知った気になってしまうんですかね。
ダースレイダー:インターネットで動画を観たり、SNSを見てクラブに行った気になって終わるっていうね。インターネットとは違うレベルの体験がクラブにはあるってことを伝えて、そこまで連れて行ってあげられるかというのが、今のクラブのハードルでもある。
DJ EMMA:極端な話ですが、良いDJが一人いればそれで良いと思っていて、DJはパーティーのボスとして居て、そこにみんなが集まる。でも、今はボスになれていないDJが大量にいて、本当に良いパーティーを見つけられなくなっている。海外から来るDJも、名前は売れているけどDJとしてはイマイチっていうことも多くて、もっとふるいに掛けて良いと思うし、僕も掛けられたい。みんなが初めて行ったパーティーが良いものであってほしいと思うんです。敷居は低くても良いんだけど、特に東京のシーンはそれがあまりにも多くて本当に良いものが分からなくなっていると思います。
―そこを突破して“本物”に触れてもらうにはどうすれば良いでしょう?
DJ EMMA:どうやってやっていけば良いんでしょうね・・・。難しいけど考え抜きたいです。
ダースレイダー:例えば会場の設備で、音楽の感じ方も全然違ったするので、良いスピーカーで聴いてもらうっていうのはあるかもしれないですね。
DJ EMMA:例えば照明だったら「AIBA」とか、本当に素晴らしい演出を体感するだけで感動しますよ。
Q'HEY:家でDVDを観るのと映画館で観るのは全然違うじゃないですか。そして、どこの映画館がIMAXが導入されていて良いか、というのも分かってくるのと同じで。
―クラブカルチャーへ触れてもらうキッカケとして、昨年12月に開催されたPLAYCOOLの忘年会イベントや、3月6日にLOFT9で行うトークイベントなども今後、積極的にやっていこうと考えていますか?
Naz Cris:会としては、新体制の試みとして、定期的にイベントをやっていくつもりで、クラブイベントだけではなく、DAYイベントやトーク・イベントもやっていくつもりです。会が行うイベントで若い世代や一般の方々と繋がるようなキッカケも作っていきたいと考えています。新体制になってから今年、クラブ以外でやるイベントは、今回のLOFT9でのトークLIVEが初になるんですが、どんどん積極的に今まではやらなかったようなようなこともやっていきたいという気持ちがあるので、会としてもとても光栄です。これまでDJは、あまり人前に出て喋ることをしてこなかったので。もっと発言する場があってもいいのではないかとも思ったり。
―素性が分からないところがありますよね。どういう人なんだろう? って。
DJ EMMA:だいたいポーズでやってるんですけどね。だけど、僕は3.11以降は自分をプロデュースすることはやめて、表に出て何でもやっていこうと思うようになりました。
Naz Chris:EMMAさんなんて、今までは絶対表に出て喋るなんてことなかったですよ!特に私たち若い世代は見たことがないです(笑)。今まで素のEMMAさんを見たことない人は、この人は、寡黙でクールで...もしかしたら怖い人なんじゃないかと思われていたかもしれませんが、普段はとても熱くて、後輩想いで優しい。いい先輩です。
Q'HEY:彼はDJをやっている時は真剣で、黙々とやるタイプだから。知り合いに、楽屋で楽しそうに笑っているEMMAさんを紹介したら「EMMAさんに似てますよね」って言われたくらい、世間に持たれているイメージとのギャップがある(笑)
Naz Chris:皆さんはもちろん、普段はDJをしている姿しか知らないと思いますので、 DJたちの人となりや裏側の地道な努力、世界観なども知ってもらえたらいいなと思っています。
―DJやトラックメイカーなど、クラブ業界の方達も、もっとトークイベントに出てほしいです。その人のひととなりを知り、愛着を持ってもらうことで、またこういったことも、クラブカルチャーやDJに興味を持ってもらうキッカケになると思うんですよね。いい意味で。
Q'HEY:会で活動を始めるまで、僕達は人前で喋るってことをしてこなかったですからね。
DJ EMMA:会の活動に関しても、話すと嫌がられることも多かったんですよ。でもこれからはどんどん言っていこうと思っています。なぜなら、Q'HEYやダースレイダー達がいなくなったらどうするの?次も何か問題が出てきたとき、誰が立ち上がるの?、また逃げるの?って。彼等のように逃げなかった人達って信用できるし、絆と言えば大げさだけど、彼等と一緒に居たいと思うんですよ。僕も人前で喋るのは苦手だけど、逃げたくないんです。
ダースレイダー:特に僕とZEEBRAはラッパーなので、表に出て話すことが多かったけど、自分の主張だけじゃなくて、ハウスやテクノなど、色んな人達の意見も聞いて喋るってことは、この活動がなければなかった。だけど本来、ラッパーっていうのはみんなの代弁者でないといけないと思うんです。「ラッパーなのに、なに綺麗事言ってるの」とか言ってる場合じゃない。皆もクラブで遊んでるんだから。
DJ EMMA:もっと自分達の大事な居場所を気にしようよって思うんです。
ダースレイダー:もっと横の繋がりを作って、仲間意識を持たないと。普段、威勢の良いとこ言ってるラッパーが、あえてやらなきゃいけないという状況を理解してほしい。ラッパーやDJ、クラブ関係者も、みんながどんどん発信していくようになっていけばと良いなと思いますね。
―応援していますので是非、こちらもご協力できることがあれば、よろしくお願いいたします。
Naz Chris:ロフトさんと言えば、東京のライブハウス、トークライブ文化の中心だと思っているので、そう言っていただけると嬉しいです。是非、今後とも「クラブとクラブカルチャーを守る会/PLAYCOOL」をよろしくお願い致します。