どんな人種でも居て良い場所がクラブ
―今後は改正風営法の見直しはもちろん、クラブの在り方についても発信していきたいということですね。
ダースレイダー:日本の社会って、色んな人が同時に居られる場所がないんですよ。昼間の街って窮屈で、みんな他人と関わりたくない、もめたくないという事なかれ主義のようなところがある。そういったところから飛び出てみんなと一緒になれる場所が、クラブの本来あるべき姿だと思っているんです。
Q'HEY:仕事も、性別も、人種も、すべて取っ払って「音楽」というキーワードで繋がっていけるのがクラブ。
ダースレイダー:たまたま隣にいる人と話しても大丈夫な場所で、それがビジネスにつながったり、食事に行くような仲になったり、流れている音楽がヒントになって何かに繋がる人がいる。そういう居場所であり続けるのはクラブの使命だと思うんです。
Q'HEY:ライブハウスにしても、皆同じ方向を向いてライブを見ているだけで、お客さん同士の交流はあまりないじゃないですか。同じ音楽を大音量で体験する場所でもライブコンサートとクラブは全く異質なもの。勿論、そういった楽しみ方を否定している訳ではないですが、知らない曲を、知らない人と聞いて、気が付くと一緒に踊って仲良くなっているという経験を提供できるのはクラブだと思う。究極的に言えば、気持ちのいい空間で皆自由に楽しむ場所を提供できればそれで良いんですよね。
ダースレイダー:例えば、3/6(水)のLOFT9でのイベントに出演してくれる茂木健一郎さんや、せやろがいおじさんも普段、接点のない人達だけど、クラブという括りになると居てもいいんですよ。誰でも居ていい場所ってクラブ以外でないと思う。
―多様性受け入れる居場所としてクラブは機能しているんですね。
ダースレイダー:日本って設定された場所でしか出会いが起きない。閉じられた空間に少ない人数でいるっていうのが日本の文化だから。みんなが交ざれる場所はクラブしかない。
Q'HEY:そういった意味でもクラブが担える役割はかなり大きいと思います。
―では現状、日本のクラブシーンは盛り上がっていると思いますか? 特に若い人たちはクラブに行っているのでしょうか?
Q'HEY:昔と比べて、若いお客さんは減っていると思います。クラブじゃなくて、フェスに行く人は沢山いるんですよ、「ULTRA JAPAN」や「EDC」のようなEDM系のフェスですね。それ以前にもストイックな野外フェスはあったんですけど、「ULTRA JAPAN」を契機にパブリック向けのものが増えた。平たい言葉で言えば、“チャラめ”のフェスが増えた。ただ、EDMのシーン自体は否定するつもりはないし、よりディープな音楽を見つけるための入り口にもなっていると思うので。でも、若い子たちの中で、そういったフェスに遊びに行っている人、いわゆる「パリピ」と呼ばれる人達をダサいと思っている人達が相当数いる。フェスとクラブは違うものだけど、外から見れば一緒ですよね。どちらもクラブミュージックで踊っているわけだし。
ダースレイダー:90年代の渋谷っていうのが、クラブカルチャーが一気に盛り上がった時代で、みんなクラブに行ってたし、当時はクラブのイメージがカッコイイものだった。誰でも受け入れてくれる雰囲気があって、目的はなくても行けば楽しい夜を過ごせる場所だった。そういう文化って今はない。あの当時の雰囲気をまた体験したいし、若い人にも体験してもらいたいですね。その為に僕達が知識と経験を引き継いでいくことは大事だと思います。