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INTERVIEW

トップインタビュークラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)/PLAYCOOL - これからの日本のクラブカルチャーの在り方を考える。クラブとクラブカルチャーを守る会の戦い

これからの日本のクラブカルチャーの在り方を考える。クラブとクラブカルチャーを守る会の戦い

2019.03.02

 昨年末、新体制を発表した「クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC)/PLAYCOOL 」が、新体制後初となるトークイベントを3/6(水)にLOFT9 Shibuyaにて開催する。そこで、新会長のQ'HEYさんと、新副会長のDJ EMMAさん、ダースレイダーさん、広報のNaz Chrisさんの4人に 、CCCCのこれまでを振り返ってもらい、新しくなったCCCCの今後についてインタビュー。さらに現代の日本のクラブ事情についてお話を伺った。[interview:本田智也(LOFT9 Shibuya)]

異様な風体の集団が、議員会館に現れた

──まず、設立に至った経緯をお話しいただけますか。

Q'HEY:CCCCは2013年の4月に設立されました。設立の目的は風営法の改正。当時、風営法を見直そうという状況の中で、既に当問題に取り組んでいた弁護士の方々が、クラブDJにもこの状況を説明したいと言ってこられたんです。なぜ、DJ達なのかというと、クラブ事業者たちはこの問題に対して自ら矢面に立って活動することができなかったんです。なぜなら、どのクラブもグレーな状態で営業をしていたので。

ダースレイダー:グレーっていうと都合が良いですけど、ようは違法だったんです。

Q'HEY:違法営業を行っているので、風営法改正のために声を上げることで警察に目を付けられる可能性がある。その為、クラブ側の人達に声を掛けても集まってもらえないという状況がありました。だけど、これはあなた達の問題なんだということを教えたいということで、DJやアーティスト達に声を掛けて、クラブ側も一体になれるシチュエーションを作るための勉強会を行なったんです。そこに集まったメンバーで結成したのが「クラブとクラブカルチャーを守る会」です。

ダースレイダー:弁護士の齋藤貴弘さんから「ダンス文化推進議員連盟(略称:ダンス議連)」という議員連盟を作るという話を聞かされ、そこには社交ダンス、サルサ、ブラジリアンダンス、摘発にあった大阪のNOON(ヌーン)の金光正年さんなどが参加していたんだけど、クラブ業界の人達がそこに入っていなかった。これだと、クラブ業界を対象にした法改正にならないから現状、問題意識を持っていて、クラブ業界の声を代弁できるのは、勉強会に参加していた僕達しかいない。議員連盟に参加するためには団体を設立してまとまらなければいけないので、「クラブとクラブカルチャーを守る会」を急いで作る必要がありました。そういった経緯で会が設立され、議員会館でのヒアリングにも参加して、クラブ業界が抱える問題点を伝えました。そのことが当時ニュースになって、見出しが「異様な風体の集団が、議員会館に現れた」

──(笑)

ダースレイダー:その後、この法律を我々にも有効な内容に変えられるかは、クラブ業界全体で取り組んでいくことが大事なので、なるべく多くのクラブオーナーたちに声を掛け、約50店舗の経営者を一ヵ所に集めて説明会を行いました。

Q'HEY:風営法というのは対象となるのが事業者なので。僕達は出演者であり、事業者のための法律改正なので本来、事業者が参加しなければいけないんですよ。

ダースレイダー:僕達アーティストがいくらクラブの良いところを伝えても、事業者本人の声でなければ信用性がないし、特定のクラブの声だけを代弁していて、本当にクラブ業界全体を代弁しているのかと疑われてしまう。代弁しているのであればリストを出せと言われて、しかし摘発を恐れて名前を出してほしくないクラブが多いんですよ。

Q'HEY:そこで、事業者団体を作れということが命題になったわけですが、事業者はクセのある方も多い。音箱、チャラ箱、様々なスタイルのクラブがあって、それぞれがこだわりを持っているから、なかなかひとつにまとまることができない。

ダースレイダー:あの店が旗振り役になるのなら俺はやりたくないとか。

Q'HEY:それぞれがライバルでもあるからね。だけど、僕達アーティストが橋渡しとなることはできる。いちDJが法律を変えるなんてことは、とても手に負える話じゃないし、どこまでコミットして良いのか分からない部分もありましたが、みんなをまとめるための役割は担えるんじゃないかと。

ダースレイダー:そこで、知名度や発言力もあるZEEBRAが会長になることで、付いてきてくれるクラブも出てきた。そうして、ZEEBRAを前において、クラブ業界を代弁する役割を僕達が引き受けていくようになりました。そんな中、渋谷のクラブ「Vision」や「Contact」を経営するグローバル・ハーツの村田さんが、ラジオでZEEBRAと共に風営法改正のために発言してくれたり、徐々に事業者も協力してくれるようになりました。ここまで2年ぐらい掛かりましたけど。

DJ EMMA:僕達の活動は理解を得るまでに凄く時間がかかったし、今も理解されていない部分もある。だけど、なるべく黒子に徹していたというのが良かったと思っていて、もっと目立つように活動をアピールしていたら更に風当たりも強かっただろうなと思います。こういうのは反体制になりがちなんですよ。そうじゃない方向に導きたいという思いがあって、ヒステリックになるんじゃなくて、冷静にこれからのことを考えてほしかったんです。

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風営法が改正され、新体制となった「CCCC」

DJ EMMA:新体制になってからのことですが、クラブのイメージを正していく活動も積極的にやっていきたいです。僕らが清掃活動などを行っているのもその為です。何かあるとクラブのせいにされたりということが多かったので。

ダースレイダー:今までは風営法改正という目的があったが、問題はまだ残っているにしろ実現できた。事業者も自分たちの問題として向き合ってくれるようになったので、僕達アーティストが公式な場で発言する機会も減ってきています。今後、CCCCでは日本のクラブやクラブカルチャーについて、何が面白かったのか、今何がつまらないのかということを考えて、どうすればクラブを良い場所にできるかを提案できるような会になっていけば良いなと思っています。例えば、クラブが近くにあると嫌だという人は、何を嫌がっているんだろう、ということをちゃんと知らないといけない。

DJ EMMA:ほとんどのクラブに関する問題は騒音なんですけど。問題定義しないと、今まで事業者自体があまり考えずに営業していたことも事実なので。彼等とも戦って初めて対話できるんです。これからはもっとオープンに事業者とも話せるような関係になっていくと思っています。

ダースレイダー:今までは好き勝手やって、アンダーグラウンドだから誰にもバレないし、迷惑もかけてないだろと思っていたかもしれないけど、実はそうじゃなかった。中で好きなことやるには、外でちゃんとしないとダメということですね。ちゃんと信用されていれば、中でハードコアなイベントやっても良いんだし。

DJ EMMA:今後は更にCCCCの活動を知ってもらって、どんどん新しい人が入ってきて意見を言い合える関係になりたいです。

ダースレイダー:オープンな会になるためには、まず僕達が何者なのかを知ってもらわなきゃいけない。そのためには、イベントをやったほうが良いとも思っていて今回、LOFT9でイベントを開催することにもなりました。クラブ業界だけじゃなくて、色んな人達の意見を聞けたら良いなと思っています。

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LIVE INFOライブ情報

『平成最後の緊急クラブ・サミット』 クラブカルチャーは守れるのか!? -by PLAYCOOL-

開催日:3月6日(水) OPEN 19:00 / START 19:30

場所:LOFT9 Shibuya

前売 1,800円 / 当日 2,500円 (税込・飲食代別、要1オーダー500円以上)

前売券はPeatixにて発売中→https://peatix.com/event/605324/view

【出演】

クラブとクラブカルチャーを守る会メンバー

Q'HEY (会長) @djqhey
DJ EMMA (副会長) @NITELIST_MUSIC
ダースレイダー (副会長) @DARTHREIDER
Naz Chris (広報部長) @NazChris_dj
and more...!

【ゲスト】
磯部涼 (音楽ライター) @isoberyo
神庭亮介 (BuzzFeed Japan) @kamba_ryosuke
せやろがいおじさん (正論系Youtuber) @emorikousuke
茂木健一郎 (脳科学者) @kenichiromogi

 

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