「今も昔も藤井さんが作るメロディをどう引きたてる演奏やアレンジをしていくか。それだけ」(大久保)
━ちなみに菅原さんが傍からみていたこの13年間の音速ラインはいかがでした?
菅原:変わらずずっと音速ラインだなって。それこそ辞めた翌日から、「やっぱりこのバンドで叩きたい」と後悔してました (笑)。歴代色々なサポートドラマーの方が叩いてましたけど、それを見て凄く羨ましくて。
━でも、よくよく考えると音速ラインのこれまでの正式ドラマーって菅原さんだけですよね。これは何か?
藤井:入れる気は無かったし。これからも無いと思う。
大久保:菅原さんが辞めた時点で、逆に、「だったら色々なドラマーとやってみよう」「色々な音楽をやってみよう」って開き直ったからね。
藤井:「菅原じゃなきゃダメだ」ってわけでもなかったんだけど。菅原以外に音速ラインの正式なドラマーとしては思い浮かばなく、サポートドラムの方も一緒にはやるけどメンバーとまではいかなかったのが正直なところで。だけど逆に、2人(藤井と大久保)でやっている強みは、やはり色々なドラマーと一緒に出来るってことだったから。いわゆるそれをしてきたから動脈硬化にならなかった面もあるだろうし...。折角、菅原と一緒にやって流れ出した血液をキチンと常に回しておきたい気持ちも含めて。
菅原:自分でも作品やライヴ毎に、"今回もいいドラマーにお願いしたな...""楽曲とぴったりのドラマーだな..."なんて聴いたり、観たりしてきたのでその辺りは大丈夫です。今や単なるいちファンですから、僕。
大久保:基本、今も昔も変わってないんですよ。藤井さんが作るメロディや曲をどう活かし、引きたてる演奏やアレンジをしていくか。それだけ。だって、やっぱり藤井さんのメロディ、好きだし。最強だもん。でも自分的には今と昔とで変わったのは、音楽やライヴを楽しめるようになったことかなって。
━それは?
大久保:昔はそれこそ「良い演奏をするぞ!!」「間違えないぞ!!」「しっかり合わせるぞ!!」ってカッチカチでライヴに挑んでいたけど。今は空気感や雰囲気、藤井さんの気まぐれに対して(笑)、自分も臨機応変に合わせるか、そこも楽しめる余裕が出てきましたからね。それが快感だし楽しい。あとは、お客さんの顔を見てライヴが出来るようになった。お客さんが欲しているもの。お客さんからエネルギーをもらうし、それが凄く自分との相乗効果を生んでいくんですよね。その辺りを楽しむ余裕なんて13年前の俺には無くて。
菅原:うわーっ、剛くん変わったわ。昔はあんなにも演奏に余裕が無かったのに(笑)。
━8/18に向けての予告を聞かせて下さい。
大久保:言わないです(笑)。
藤井:正直、あまり特別なことをやろうとは考えてないです。
大久保:折角のこの3人なんで、そこを活かしたものをやりたいとは思ってますけど。
藤井:「菅原とだったらこの曲を演るだろう」という曲を押さえつつ。と言いながら、(菅原から)さっきやりたい曲を聞いたら、自分が叩いていない頃の曲ばかりあげてきて(笑)。
菅原:でも、それも面白いじゃん。「この3人だと、あの曲がこうなりました」的なものも魅せられて。一発目、俺が叩いていない曲から始まったらみんな絶対に驚くだろうし。でも、選曲は全面的に2人に任せますよ。絶対に何やっても楽しいから。
藤井:裏切るのか? セオリーで行くのか? それも楽しみにしていて欲しいです。
「オリジナルメンバーでの音速との再会もあるけど、そのお客さん同士の再会の場にもして欲しい」(大久保)
━個人的には、普段のライヴに於いてギター2本で演るところを、あえてギター1本で挑む姿も楽しみです。
藤井:音速ラインは基本、ギターの重ね録りの鬼だから(笑)。最高10何本ギター重ねた曲もあるよ(笑)。だけど最近はグンと減りましたよ。重ねても3本~4本ぐらい。主メロ、メインギター、プラス1~2本ぐらい。
大久保:おかげさまで今ではベースも入れやすくなりました。以前はベースを入れる隙間がなかったですから、ギターが全部埋めちゃって(笑)。
藤井:どうやってライヴでシンプルなギターにするか?それもこれから思案のしどころで。
大久保:でも、去年末のEP(「明日君がいなくなったら」)、あれは3ピースでできるぐらいの音のシンプルさだからね。
藤井:確かにあの盤は全曲3ピースで出来る。ただし、たけちゃんは全くあの盤には参加してないけど(笑)。
━最後に当日の意気込みを聞かせて下さい。
大久保:これ毎回言ってるんですけど、「いつも通り、自分らしくやるだけ」です。そこはブレないように。それが自分たちにとって一番良いライヴなので。2005年12月10日の渋谷クアトロ以来13年ぶりのこの3人なので、再現とか、そんな言葉を取っ払って現在のこの3人を観て欲しいなって。
菅原:ホント当日どうなるか? 今から楽しみですね。自分でもどれだけのことが出来るかも定かじゃないし。集まってくれるお客さんも含め、みなさんに「ありがとう」の気持ちを込めて叩くだけです。そのありがとうは、当日集まってくれた方も、この13年間ずっと音速を応援し続けてくれた方々も含めて。続けてないと、こんな機会も無かったですから。二人にはとても感謝してます。「ここまで続けてくれてありがとう!!」って。
藤井:当時、一緒にやっていて残っているバンドの方が断然少ないからね。
菅原:正直、心の片隅には、「迷惑をかけたな。申し訳ない」って気持ちはずっとあったんです。それなのに、記念イヤーにこんな機会を与えてくれて、もう感謝でしかないです。それを噛みしめて当日は叩きます!!
藤井:今回のライヴはさ、もう一つ望みが叶ったことがあって。俺、ずっと「昼にライヴをやりたい!!」って言ってきたのね。ファンも大人の方も多いんで、平日や夜はキツい人もいるだろうし。地方の人は電車もあるから、夜遅くだとなかなか遠征や遠いところから駆けつけられない。だから、いつかは土日のお昼頃からライヴをやってあげたかった。夕方前に終わって、観た者同士お酒も呑んでキチンと電車にも間に合って帰れる。これってベストじゃない。なんでみんなこれをやらなかったんだろう? って。
大久保:お客さん同士も久しぶりに会って、一緒に呑みにも行ける。もちろんオリジナルメンバーの音速との再会もあるけど、そのお客さん同士の再会もいいよね。是非色々な意味で再会の場にして下さい。
藤井:大人に優しいライヴ。最強!!
大久保:これに味をしめて、「これから全部それで行こう!!」ってなったら怖いし、藤井さんだったら言いかねない(笑)。こういったメモリアル的なライヴは、たまにやるのがいいんですから(笑)。