今年10周年を迎えるAA=が、4月4日(水)にキャリア初のベストアルバム『(re:Rec)』を発売する。全19曲収録されるという本作は、タイトル通り、全曲を"re:Rec"=再録した内容になっている。さらに、2018年5月2日(水)に新宿LOFTで「AA= TOUR OIO 2018」と題されたワンマンも決定。今回の再録の制作と、新宿LOFTでのワンマン公演について上田剛士に直接、話を聞いた。
そこには今年10周年を迎えるAA=上田剛士の音楽人として真っ直ぐに音楽に向き合う姿勢を感じ、新宿LOFTでのワンマンがより楽しみになった。[interview:柳沢英則(新宿LOFT)]
ライブ感の溢れるベストアルバム
——AA=始動10周年ということで初のベストアルバム『(re:Rec)』の発売おめでとうございます。
上田:ありがとうございます。
——今回の『(re:Rec)』は、全ての楽曲をバンド編成で再録という形を選んだ意図はなんでしょうか?
上田:単純に録りたかったから、それだけなんだけど(笑)、最初のアルバムから10年くらい経って、ライブでのアレンジもいろいろ変わってきているので、今の形をレコーディングしたいなとずっと思っていて。ちょうどいいタイミングでできるネタがあったので、これをもとにやりたいなと。
——3日間で19曲という速いスピードでほとんどのレコーディングが完了したそうなのですが、再録してみてスタジオでの手応えや空気感はどうでしたか?
上田:本当にライブをやるように、「せーの」で一発で録って、歌もその場で一緒に録ったものがオケになってるのもあるし。ライブ感の溢れるものになりましたね。そういうものが録りたかったですし、3日間でそれだけの曲を録ろうってなるとスケジュール的にこういう方法でないと録りきれないですし、最初からそのつもりで臨みました。
——今回の再録で苦戦した曲などありましたか?
上田:そういう意味では全然ないです。一発ですむような曲が何曲かありましたし、苦戦したと言っても3テイクぐらいですね。
——ボーカルも全て?
上田:自分のボーカルは後で録りました。リズム録りの時はベースも弾いてたので。でもシンセ関係は一緒にやってしまいましたね。ベース弾いてシンセ弾いてベース弾いて、というような。本当にライブと同じような形で。
——今回のベストアルバムにも収録されるいくつかの曲かは白川貴善さん (Vo. :BACK DROP BOMB/Noshow)と歌詞が共作ですが、それぞれのボーカルのパートごとに歌詞を書いているんですか?
上田:そうですね。もともとオリジナルの時からそうですけど、テーマを自分で決めて…それこそ歌詞ではなく詩のようなテーマで書いてタカに渡して、それをもとに彼が作ってきたりとか。
——ロフトのイベントにもBACK DROP BOMBは出演してもらっているんですが、以前から白川さんとは繋がりがあったんですか?
上田:皆そうですね。自分が前のバンドをやってる時から知っている…それぞれのライブとかいろんな場所で会うことはあったんで。
アルバム制作のメンバーについて
——今回のアルバム制作に関わったメンバーそれぞれの関係性や、プレイヤーとしての特徴を教えてください。まずは草間さん(Mani.)はどういう方ですか?
上田:彼はコンピューター関連というか、マニピュレートする作業を教えてもらった師匠ですね。もともとそういう分野のプロフェッショナルで。Pro Toolsっていう今じゃみんなメインで使ってるものが出始めたときから彼はそれを使ったりしていて、先駆者ですね。
——昔は大きいDATとかでしたもんね。
上田:そうでしたね。自分たちがPro Toolsを使い始めたのは相当早いほうなんだけど、それも草間さんが使ってたからですね。自分もサンプラーを使ったりとか、まだオーディオコンピュータが使えない時代からシーケンサーとしてそういうコンピュータを使ってたりしてたんですけど、それは草間さんの影響ですね。
——ドラムのZAXさん(Dr. :The BONEZ/Pay money To my Pain)はどういう方ですか?
上田:PTPの時から知っていて、今The BONESもやっていて。聴いてすぐわかると思うけど、彼の特徴として一番はっきりしてるのはパワーじゃないですかね。パワフルでラウドで非常に荒々しいというか、エネルギーが爆発するようなドラムを叩きますね。そういう意味では自分が今まで会ってきたドラマーの中で一番かもしれないですね。パワフルで…。
——一緒にやって高揚するというか。
上田:高揚して興奮して…。エネルギーの爆発度は半端じゃないですね。ただそれと両極端なんですけど、すごく繊細な部分も持っているドラマーですね。パワーだけじゃない。だから非常にスキルが高いですね。いいドラマーです。
——ギターの児島実さん(Gt. :ex.THE MAD CAPSULE MARKETS)はMADのメンバーで。
上田:オリジナルメンバーですね。彼は高校の時から知っていて。
——同級生ですか?
上田:学校が一緒だったことはないんだけど、当時のバンド仲間で、集まる所が一緒だったんで。
——地元はどこなんですか?
上田:横浜です。その頃からずっと知ってます。
——横浜だとFADとかにも出演したり?
上田:FADよりも前ですね。CLUB24とかあったじゃないですか。あれができる前の時代だったんで。7th AVENUEとかがもともとの出身ですね。そこのスタッフが24を始めたり。
ポストパンクが自分の青春時代
——ニューウェーブが好きだそうですね。
上田:そこらへんの時代感、好きですね。
——Joy DivisionやNew Orderは自分も好きなんですが、上田さんはどんなバンドが好きですか?
上田:そのあたりのバンドは今も聞くんですが、懐かしい感じで聞いてますね。自分の音の組み合わせとか興味があるもの、シンセであったりエフェクト、テクノロジーみたいなものに興味がいくのがその時代感ですね。もともとパンクロックが好きなんだけど、そこからのポストパンクが自分の青春時代なので。
——今はどんな音楽を聞いてますか?
上田:なんでも聞きますよ。でも、打ち込みを多用してるようなものが多いかもしれないですね。テクノ系だとか。
——Aphex Twinとかですか?
上田:もちろん好きですけど、もっと細かい打ち込みをしてるものが好きですね。Venetian Snaresとかも好きですし。EDMはあまり聞かないですけどダブステップみたいなものはかけてたりもしますし。
——日本の音楽、バンドとかはどうですか?
上田:知り合いになった若い今どきのバンドの子からもらったCDは聞きます。自らいろいろ探っていくようなことはもうあんまりないですね。
——パンクだとスターリンとかアナーキーとか好きでした?
上田:好きでしたね、青春です。アナーキーよりスターリンですね。茂さんに怒られるけど(笑)。
——茂さんは今でもLOFTに出てますけど元気ですよね。
上田:元気ですね。年末ぐらいに久しぶりに会いましたけど、変わってないですね。