緊迫感と緊張感を漂わす硬質でマシナリーな音楽性ながら、ことライブにおいては非常にダイナミズム溢れる有機的な音楽性も魅力の上田剛士のソロ・プロジェクト、AA=。今年2月発売の新作において、よりメロディアスさが強調された感もある、バイタリティ溢れるミクスチャー・ロックが信条のSMORGAS。タイプの違う"躍動感"を擁しながらも近いアイデンティティを感じる両者。古くより互いの活動に多大なシンパシーを抱いていたこの2組が、8月26日(日)に下北沢SHELTERでのSMORGAS主催の対バン・イベント『SMOKE FOOT STAMP VOL.3』にて2マン・ライブを実施。互いのオリジナリティをガチでぶつけ合う。それを前に、AA=上田、SMORGAS来門の対談を敢行。競演に至る経緯やお互いについて、ライブにおける持論やイベントへの意気込みをロングで語ってもらった。生半可な対峙では吹き飛ばされてしまう、この猛者たちの宴。さぁ、彼らの音楽性を全身で受け止める準備は万全か!?(interview & text:池田スカオ和宏/interview photo:大参久人)
煙みたいに消えそうだけど、しっかりと足跡を残す
──この8月26日に、AA=も出演する、SMORGAS主催の対バン・イベント『SMOKE FOOT STAMP』が4年ぶりに行なわれます。まずはなぜこのタイミングで復活させたのか? から教えてください。
来門:前回の『SMOKE FOOT STAMP』は、それこそ4年前で。わりと立て続けにVOL.1、2を行なったんです。当時の主旨としては、その年にSMORGASがアルバムを出したんで、リリースを盛り上げることも含めて行なったんですけど、以後はメンバーそれぞれの活動が忙しくてなかなか実現することができなくて、イベントも停まっちゃってたんです。で、気づけば4年も経っていて。今回、またSMORGASでアルバムを作ったんですけど、じっくりと一対一で魅せられるイベントもやりたくて。で、「久しぶりに『SMOKE FOOT STAMP』やるか!」と。
──この『SMOKE FOOT STAMP』には、何かコンセプトみたいなものはあるんですか?
来門:あります。その名の通り、「煙みたいに消えそうなんだけど、しっかりと足跡を残す」。そんなイベントになったらいいなって。で、実はsmorgas(旧時代の表記)の一番最初のツアー・タイトルが『SMOKE FOOT STAMP』だったんです。原点に戻るという意味でも、これがいいなと当時つけました。
──これまでの対バンも、UZMK、wrong city、ストレイテナーと多彩でしたが、対バンの趣旨があったら教えてください。
来門:このイベント自体が、単に「盛り上がって楽しもうよ」とは多少違っていて。「足跡を残す」って名の通り、しっかり足跡を残せるバンド。あとはうちらが強者に挑んでいく覚悟で毎度お声がけしてきました。もちろん、その挑むは「一緒に楽しむ」って意味合いも含まれてますが、あえて自分たちにとって先輩や神様みたいな人たちと同じステージに立ち、自分たちの力を存分に発揮したいなって。これまで誘ってきたバンドさんたちも、中には世代的には一緒ぐらいの人たちもいるけど、キャリアや格は自分たちより上の方たちばかりで。そんなこともあり、今回は自分としては神と崇めている剛士さんにお声がけしたんです。
──胸を借りるつもりで?
来門:それもありますが、胸を借りつつ、ガチでぶつかり合う、みたいな。昔は対バンって"対決"の意味もあったじゃないですか。特に俺らが駆け出しの頃は4、5バンドぐらいが一つのイベントに出て、「この中で誰が一番盛り上げるか?」「俺がこの中で一番だ!!」なんて自負を持ってやってましたからね。今回の2マンも一対一で、お互いどちらが魅了させられるかを競えたらいいなって。
──このイベントは、これまでずっと下北沢SHELTER(以下:シェルター)で行なってきていますよね?
来門:そうなんです。自分的にはシェルターでしかやれないイベントだと思っていて。柳沢さん(今回の『SMOKE FOOT STAMP』のシェルター担当、柳沢英則)が今回、「またやろうよ!」と声をかけてきてくれて。それで実現したところもあります。ホント、柳沢さんも含めシェルターにはいろいろと良くしてもらってます。
柳沢:来門さんがソロで演っていた時に知り合ったんですが、その頃からカッコ良くて。自分が企画した新宿LOFT(以下:ロフト)でのライブにソロで出てもらったんです。それが最初のつながりでした。そこから徐々に一緒にイベント等を組んでいくようになって今に至ってます。
来門:僕が今SMORGASとは別にやっているROS(Dragon Ashのギタリスト、HIROKIを中心としたミクスチャー・バンド)も凄く応援してくれていて。SMORGAS、ROSともどもシェルター、ロフトをホームグラウンドとさせていただいてます。
剛士さんは俺にとって神みたいな存在
──そんな『SMOKE FOOT STAMP』ですが、3回目となる今回の対バンはAA=です。
来門:そりゃもうカッコいいですからね。「剛士さん、やっていただけるのであればぜひやってください!!」と、お願いしました。
──お2人のもともとの交流は?
上田:ROSとAA=で、つい先日、対バンしたよね。SMORGASとでは今回初めてで。来門君と喋るようになったのもつい最近のことで。もちろん存在はずっと知ってましたよ。SMORGASはsmorgasとして活動していた初期の頃から好きで。MTVでMVを見たのが最初だったかな。「こいつらカッコいいな!!」って。他にないモノを当時から放ってましたからね。あの当時のあの時代の空気感や雰囲気、音も反映していたし。でも、海外のバンドのそれのマネじゃないという。きちんとオリジナリティもあるし。で、なんか、わちゃわちゃしてるじゃん?(笑) あの感じがたまらなくて。「個性を持ってるな」と思えるバンドって、今の時代あまりいない中、smorgasは当時、かなりパンチがありましたからね。
来門:あざーす。もう嬉しすぎてニヤけた顔が締まらないです(笑)。
上田:そうそう。MV(「惑星探索団」)あったじゃん? あれが好きで。ああいったセンスのハマるバンドってなかなかないよ。もう、自分にはああいった発想は全くないから。楽しそうだな、面白そうだな、俺もやりたいな...とか思って見てたよ(笑)。ああいったことがやれるのが羨ましい。まっ、俺は実際やらないけど(笑)。
来門:剛士さんと言えば、もう神っすよ、神。もちろんマッド(THE MAD CAPSULE MARKETS)の頃はゴリッゴリで。俺、確かサマソニで最初に観たんですよ。そん時、「スゲエ怖ぇ〜!」って。スゲエかっこいいけど、怖そぉ〜! って(笑)。
上田:まぁ、だいたいそう言われてるんで(笑)。
来門:もう、コワモテな音楽性で。でも実際、AA=にROSのレコ発でDROP(大阪・心斎橋 club DROP)に出ていただいた時は、もちろん怖さは変わってないんですが、その怖さの中にも爽やかさと、優しさと、凄くメロディアスさがあることに改めて気づいたんです。それを観た時、さらにうわーっ、カッケー! って。もうヤラれちゃいましたね。で、今度はぜひSMORGASと一緒にやってもらおうと。
上田:ROSの際に誘われたのも嬉しかったけど、SMORGASとして誘ってくれたのも嬉しかったよね。ホント自分がマッド時代も含め、SMORGASはぜひ一緒にやってみたいバンドだったから。「スケジュールの合う限りは絶対に出るゾ!!」って、もう二つ返事でした。
来門:実は俺たちのニュー・アルバム(今年2月発売の『NEUBLU』)のエンジニアが小西康司さんという方なんですが、マッド時代からずっとAA=の作品の音も手掛けてきた方で。その小西さんから、マッドのいろいろな裏話を聞いていたんで(笑)。
上田:裏話?(笑)
来門:いやいや、もちろん剛士さんの音の作り方とかの話ですよ(笑)。
上田:ドキッとしたよ(笑)。とにかくよく喋る人だからね、小西さんは(笑)。特に来門君と小西さんとじゃ両方とも超喋り好きなんで、喋っていて止まらなくて作業が滞っているのが目に浮かぶ(笑)。
来門:まぁ、俺と小西さんが喋り出したら止まらないですね(笑)。でも、剛士さんと初めて喋ったのは、それこそ1年半ぐらい前ですかね。Dragon Ashのライブの際の楽屋で共通の友人に紹介されて。
上田:もう、その時から「SMORGAS、好き!」って伝えてたから。
来門:確かその時も小西さんの話で盛り上がりましたよね(笑)。何度も言いますけど、俺にとって神みたいな存在なんですよ、剛士さんは。今こうして話していてもドキドキしてます。ホント嬉しいです。