表層的な部分が変わってもベーシックは不変
──同じバンドマンとして、ストーンズに共感できる部分とはどんなところですか。
花田:自分でギターを弾いてバンドをやりながら生きていく上で、ストーンズの存在や活動の在りかたはすごく参考になるっていうか、自分のなかのひとつの基準になったりするね。
佐々木:ギターウルフのドラムのトオルさんが「ミック・ジャガーもエルヴィス・プレスリーもバディ・ホリーもジョー・ストラマーも、カッコいい人は顔がチ◯コっぽい」って言ってたんですけど、まさにその通りだなと思ったんですよ(笑)。だから俺もそうありたいっていうか(笑)。
──ブライアン、キース、ミック・テイラー、ロン・ウッドと、歴代のギタリストから奏法面で影響を受けたりは?
花田:俺は全員好きだよ。初期のブライアンとキースのギターのアンサンブルとか、ブルース・フィーリングみたいな部分はだいぶ影響を受けた。ジミー・リードとかスリム・ハーポみたいな音楽をよく聴いてたんだろうなっていうのが窺えるプレイでね。ルースターズも最初はそういう部分を吸収しようとしてた。
佐々木:俺は『ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト』がすごく好きで、ツイン・ギターが絡み合うバンドってあそこから始まってるんじゃないかって思うくらい形が確立されてますよね。それまでのストーンズはチャック・ベリーがやってるギター一本のシンプルなロックンロールを5人で一生懸命やってるイメージなんだけど、ミック・テイラーが入った『レット・イット・ブリード / Let It Bleed』(1969年12月発表)以降はギターの絡みが細かい部分まで計算しつくされた感じがある。
──デビュー・シングルの「カム・オン」から『レット・イット・ブリード』までわずか6年半っていうのも駆け足のような進化ですよね。
佐々木:「カム・オン」から「サティスファクション / (I Can't Get No) Satisfaction」(1965年6月発表)まで2年しか間が空いてないですからね。
花田:でも、ストーンズは表層的なところが変わっても、ベーシックな部分はずっと変わらないよね。
佐々木:変化って、させようと思ってないのにしちゃうことのほうが多い気がしますね。変化したならしたで、まぁそれでもいいかって感じで。それはそれで楽しみかたがあるっていうか。ストーンズはそんな感じじゃないかな。
──ルースターズは目まぐるしく変化し続けたバンドでしたけど、近年の花田さんは変化よりも自分の身の丈に合った音楽をより深化させているように思えますが。
花田:そうだね。いまはそういうのが楽しい。むかしみたいに流行り廃りには影響されないし、無理なく自然体でやれてるね。
佐々木:俺は年齢的なことなのか性格的なものなのかわからないけど、まだ新しい表現を追い続けたいし、変化し続けたいとトライをしていくタイプなんです。そういう意味ではまだいろんなものに影響を受けてるし、なかなか花田さんみたいにはなれませんね(笑)。
花田:いまいくつ?
佐々木:今年、31になりました。
花田:若いね(笑)。
──花田さんが『Riff Rough』(1990年5月発表)でソロ・デビューしたくらいの年齢ですもんね。
花田:バンドは何年?
佐々木:11年やってます。その間にメンバーがいっぱい変わってるんですけど。
花田:それはルースターズも同じやね(笑)。
──お二人ともストーンズのライブを観たことは?
佐々木:俺はないんですよ。チケットを2回取ったんですけど、2回とも自分のライブと被っちゃって。泣く泣くレコーディングのエンジニアにチケットを譲って、慰めでタオルとかをいっぱい買ってきてもらって。
花田:俺は武道館で観た(2003年3月10日)。その前の来日で東京ドームでも観たね。武道館のライブは純粋にすごいなと思ったよ。完全なリズム&ブルース・ショーやな、みたいな。音がすごくタイトだし、オーティス・レディングのショーをいまに蘇らせたらあんな感じかなと思った。