Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー幸也(Kαin)×seek(Mix Speaker's,Inc.)【前半】(web Rooftop2017年3月号)

新宿LOFTが歌舞伎町に移転して今年の4月24日で早18周年を迎える。
18周年公演として開催するmaster+mind公演で、4月8日に2マンを行なう、Kαinの幸也とMix Speaker’s,Inc.のseekによるスペシャル対談!!

2017.03.28

表現のベクトルの違い

seek:よく幸也さんのTwitterとかSNSを拝見しているんですけど、幸也さんの中での作品っていうものの大きさをよく話されてるじゃないですか。バンドはいつかなくなるし、人間もいつかは死ぬけど、作品は残るからっていうのをよく話されていて、それはすごく素敵な考え方だなって思ってて。僕とかは出来るだけ長くステージに立ちたいなって感覚を今はすごく持っていて。ミックスを始めたくらいからAYAくんとよく話すんですけど、「10年後にこういう風になっているために、今はこうしよう」っていうような、いつも10年後を意識して。その10年っていうのは自分たちがバンドっていうカテゴライズされるものなのかもしれないんですけど、現役のバンドマンとして、自分たちのバンドでちゃんとビジネスとしても成立するような在り方で10年後なっておきたいなっていう話をよくするんですけど、幸也さんから見てて、特にこのシーンの中で、自分はこの先こうやっていこうみたいなのって見えていたりするものですか?

幸也:ないない。正直に言うと、現役でステージに立つっていうことに関してで言うと、今年いっぱいで終わりかなって思ってるくらい、割と切羽詰まってる。去年、一昨年とか体を壊してしまったのとかもあるし、喉も2回手術したし、いろんな事情もあるんだけど。例えば、氷室京介さんほどの方と俺を比べるのもおこがましいんだけども、「氷室京介がライブ活動から引退しました」って、でも彼を見てても衰えた感はないじゃん。でもおそらく本人の中で何かが気に入らなくて辞めるってことを口にしてるんだと思うんだけど。特に歌っていうのは、自分の肉体から出るものだから、楽器とはまた違っていてさ。例えば、飲み物が入ったカップがあって、これを飲む時に人間って何も考えないで、スッと持って、スッと飲むじゃん。でもそれをいつからかなぁ…。ここ2〜3年、もう少し前くらいからかな、大げさに言うと、このカップを掴むぞって思って、掴んで飲んでるねん、今の俺は。それは、人から見たら一緒かもしれないけど、すごい違うねん。説明が難しいんだけど、脳から何の命令もないくらいにスッと無意識に飲んだりすることに、「よし、これを飲むぞ」って思って飲んでる感じで、自分が歌ってんの、ここ何年かは。「わっ!」って思った時があって、ライブ中に明確に。これは終わりが近いなみたいな(笑)。経験や技術でごまかせるんだけど、さっきの話で言うと、俺はシャウトとかはしないけど、何も考えないでシャウトした言葉のように、俺は歌を歌っていたいわけよ。でも多分、そうじゃなくなるんだろうなって。それもまた自分だよっていう折り合いがつけば、例えばバンドはやらないけど、アコースティックはやるのかっていうのもあるのかもしれないけど。今の時点では分からないよね、自分がそういう気持ちになるのかどうか。だからやっぱりドラムとかボーカルは、そこはちょっと不利かな。でもギタリストもきっとあるのかもね。何にも考えずに弾いてたものが、50、60になったらあんのかもしんないし。

seek:また違うベクトルでの何かがあるのかもしれないですね。

幸也:それをまた味という風にして表現の幅を広げていける人もいるのかもしれないし。ただ意識をしてるっていう時点で、やっぱり若い頃とは違うんだよね。あと2回喉を切ってるっていうのもあるんだけど、「これ以上いったら壊れるな」みたいなのが見えてくるじゃん。それも嫌なんだよ、自分で。壊れる寸前に察知して、その一歩手前で踏み止まれるようになってる自分も嫌なんだよ。

seek:置きにいってる感ですね。それは僕も分かります。歌もそうやと思いますし、やってる時に真っ白になる感覚じゃないですけど、そういうのがないとあかんのやろなって。

幸也:そんなに激しいサウンドじゃないから信じてもらえないかもしれないけど、JILSの時はライブ中に俺は何回か「今日で死ぬかも」って思ったことがあるもん。脳の血管がイってもうて、ブラックアウトみたいになんのよ。今はなかなか、そこまでいけないもんね。

seek:僕もいろんなバンドマンのステージを観ていて、イっちゃってる人ってちょこちょこ見るんですけど、「その感覚になってたら怪我するで」って思って観てるんですよ。その時がそうだったのかは分からないけど、以前にKαinさんのPLEASURE PLEASUREでのライブを観させてもらった時に、幸也さんがつまづいたのか、後ろのセットみたいなところにガーンって当たって転んだ時に、ケアをする転げ方じゃなくて。案の定、手から血が出てる状態で。こういう表現で合ってるか分からないですけど、歌詞だったり歌ってることに対してガッて入り込んでる人って、観てる側には、すごく伝わるもんだなって思ったんですよね。

幸也:俺はまだ結婚してないんだけど、もし家族とかがいたらまた違ってきちゃうじゃん。例えば自分に子供がいて、そういうベクトルでの表現みたいなものを自分の子供が求め始めたら止めるしさ(笑)。そういう意味で言うと、長く現役を続けようっていうのではないかな。自分のベクトルとしては、作品をどう残せるかっていうのがあるかな。D≒SIREの頃の一部の曲は、10代の頃に書いた曲とかがあるわけよ。そうすると30年くらい経っていて、今でも歌ってる曲とかもあるわけね。自分が17、18の時に書いた曲を30年後に自分が歌えると思ってなかったし。ついこの前もD≒SIREの『DREAMS BURN DOWN』を樹威(GOTCHAROCKA)とセッションしたんだけど、あの曲は俺が高校生の時にやってたバンドで、D≒SIREの前からやってる曲だから、まさにリアル30年以上前の曲でまだ盛り上がってるわけだよね。この前のMCでも言ったんだけど、そういう意味で言うと、人間はずっと何かをやっていくこととか、永遠というものにはなかなかなれないけど、しがない東大阪から出てきた1人のおっさんが(笑)、こつこつやってきたこととしては、1つの曲を30年好きでいてくれる人がいるってことは、大げさに言うと永遠に近付いてるって言うか。もしかしたらもう少し頑張れば、50年好きって言ってくれる人がいるかもしれないっていうのがちょっと見えてきたって言うか。30年がいけたんなら、40年は目指せそうじゃん。「この曲を初めて聴いてから40年経ったけど、好きやな」っていう人がいてくれそうな雰囲気はあるやろ。50年までいったら「俺すごいな」って思って死ねるなっていう感覚かな。

seek:メイクをして、ステージに立ってっていうヴィジュアル系のシーンは特に、自分らが30を越えてどうなるんやろっていうのは、バンドを始めた時は全く想像が出来なかったから。僕はフォークとかが好きなんですけど、ジャンルの違いもあるかもしれないですけど、高田渡さんとかが、歳を取ってよりその曲に深みが出てくるみたいな格好よさになれるジャンルなのかなっていうことすら、ヴィジュアル系っていうジャンルは当時、分からなくて。ちょっとパンクに近いのかもしれないですけど、「若さだから出来る」ってことが、どっちかって言ったら強いジャンルだと思うし、お客さんも「若い子は好きだ」っていう人が多いジャンルだと思ってたんで。

幸也:今の人は知らないけど、バンドを始めた時点で30過ぎてバンドをやるなんて想像もしてないもんな。何だったら20代のうちに成功して死ぬんだくらいの感覚じゃん、みんな。

seek:そうですね、気持ち的には。僕は20代前半の時に、ほぼ裸で体を青色に塗ってステージを走り回ってた時に、「こんなもん、今しか出来んで」って思ってたけど、今でもやってますからね。

一同:(笑)

seek:もう結構いい歳になってますけど、まだやってんねやって思うんですよね(笑)。

幸也:ミックスの10周年っていうのは、結構すごいよね。

seek:でかかったですね、自分の中では。

幸也:すごいと思うよ。いろいろ変わるじゃない。俺もJILSがD≒SIREよりも年数を越えた時とか、KαinがJILSよりも自分にとって長いバンドになった時に、大げさに言ったらどんどん人間が優しくなれた気はするもんな。seekが読んでくれたっていう俺のwebのインタビューは、俺の昔のメンバーとのインタビューだと思うんだけど、さっき話した俺の考え方で、「幸也さんは何であんなことを怒ってるんだろう」って思いながら辞めていったメンバーが、10何年経って、同じようなことで今、自分の後輩のメンバーに怒ってるっていうね。やっと「あの時に幸也さんが言ってたことが分かりましたよ」みたいに笑い話で話せるみたいなのが、もしかしたらseekもPsycho le CémuとかDAISHIに対してあるのかもしれないし、そういう意味で言うと長く続けることも悪くはないのかなって思うけどね。前に一緒に飲んだ時に話したことがあるんだけど、seekが目指しているものとはちょっと違うのかもしれないけど、俺的な考え方で言うと、Mix Speaker’s,Inc.を劇団四季のようにして、ずっと20年、30年、50年って残るようにして、2代目seekとか、3代目seekとか出来るくらいのものをもし作れたとしたら、それはそれで1人の人間が生み出すものとしてすごいんじゃないのかって話をしたことがあるんだけど。多分俺が思っているよりもseekっていうのは、メンバーのことが好きなのか何なのか分からないけど、今は1人の人間として、今のメンバーと自分たちがどうやって現存しているバンドをどれだけ存続させるかみたいなところに、力点が行ってるんだろうなみたいな感じはするけどね。発想としては面白いと思うんだけど。

seek:その話をしたのをすごい覚えてます。劇団四季とかももちろんそうですし、ブルーマンの話とか。

幸也:ブルーマンね。

seek:俺らは勝手にアイコンで3人の青い人がっていうのをテレビとか、1回生でも観たことがあって、「すごい面白いな」って思ってたんですけど、実は中身が全然違う人が結構いっぱいいて、世界各地でやってるっていうのを聞いて、「それ、俺らも出来るんちゃう?」って。特に俺とかだと、「実際に体現してる面白さだぜ」って思ってやってるけど、アー写撮影とかをやってて、結果的に合成になって最終的に見たら、「これ、物撮りで良かったんちゃう?」みたいなことが、よくあるから。

一同:(笑)

seek:seekっていう存在が1人歩きしていく面白さみたいなのはあるのかなって思うし、ちょうどミックスが10周年迎えましたって時にTwitterで自分がやってきたアー写を並べてUPしてみたんですけど、「面白いな」とは思いますね。バンドのキャラクター的に古さがないと言うか、1個ずつのキャラクターが独立してるから。「こんなバンドで、こんな夢があることをやるんやで」って誘われて、「それ、面白いですね」でやり始めてることやから。俺が元々好きな世界でやり始めたわけではないんで、客観的に10年間経った自分を見た時に、面白い濃密なキャラクターを作ってきたんだなっていうのをすごく感じました。

 

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LIVE INFOライブ情報

SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 18TH ANNIVERSARY

master+mind 〜Sense of Pulse #13〜

2017年04月08日(土)新宿LOFT

OPEN 18:15 / START 19:00

前売り 4000円 / 当日 4500円(共にドリンク代500円別)

※未就学児童入場不可

【出演】

Kαin / Mix Speaker’s,Inc.(50音順表記)

【一般チケット発売中!!】

・ e+一般(Bチケット)

・ LOFT店頭(Bチケット)

・ ローソン(Cチケット/L:70363)

【入場順】

1. Aチケット(e+プレオーダー/受付終了)

2. Bチケット(e+一般・LOFT店頭)の並列

3. Cチケット(ローソン)

【主催・企画・制作】

新宿LOFT / master+mind

【お問い合わせ】

新宿LOFT 03-5272-0382

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