3月26日、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて映画『ドロメ』のワールドプレミア上映が行なわれました。
上映前に主演の森川葵さん、小関裕太さん、内藤瑛亮監督に集まっていただき、お話を伺いました。本音が飛び出す会話から、合宿状態の撮影時の様子が浮かぶ楽しいインタビューとなりました。
《注目ポイント1》あるあるが楽しい【女子篇】【男子篇】の会話
──【女子篇】と【男子篇】、それぞれを観ての感想は?
森川:【男子篇】を観て、現場で自分が見てないものだったので、(見ちゃっていいのかなっていう気もして)すごい楽しそうにしてるなぁって感じでした。
小関:僕はさっき葵ちゃんと話してたんですけど、女子の中にいつの間にか居たってことが多くて。話しやすいんですよ。だから女子同士の会話がすごいリアルだなぁって思いました。
──内藤監督は2人で脚本を仕上げられてますけど、特に気を配ったところはありますか?
内藤:書いてて楽しかったですね。ホラー場面よりどうでもいい会話の場面が。今まで、いかにして流産させるか、いかにして殺し合うかって話ばかりだったので、平和に会話をしている人を書くことがなかったんで。共同脚本家とキャッチボールするようにホン作りを進めていったんですけど、お互いバカバカしい会話場面ばかり書いて、ホラー場面は先送りって感じでした。共同脚本家の松久さんは映画美学校の同期なんですけど、今でも同期とは年に1回旅行へ行ったり忘年会をしたりしていて、そのノリが反映されていますね。
──【女子篇】【男子篇】に分かれているので、普段は見れない男子の会話が観れた感じで面白かったですね。
内藤:現場で森川さんが「【男子篇】のほうが楽しそうだからあっちに出たい」って。
森川:だってわちゃわちゃしてるんですもん(笑)。私はメンヘラの役が多いから。
──役としては孤立してる感じですもんね。
森川:いや、実際も輪に入れないんで、演技でするとなっても厳しいかもしれないですね(笑)。
──男の子の輪に入るのは抵抗がありますか?
森川:いや、男の子の輪というより人間の輪に入るのが(笑)。大人数とか苦手ですね。基本、一対一じゃないとうまく話せないです。
──撮影に入るとたくさんの皆さんと長く一緒に過ごすことになると思うんですけど、そうなると慣れてくる感じですか?
森川:慣れてきますけど、やっぱり人との距離はどうしても感じちゃうんで、どうしても。
内藤:現場で準備してる時に、みんなが集まっているところから森川さんはふらーっと離れて、一人の時間を作ってましたね。休憩! みたいな(笑)。で、しばらくするとまた戻って来たりしてて。
森川:心の休憩が必要で(笑)。やっぱりワーってする時間があれば、普段からそういう感じじゃないんで。力を使うんです。
内藤:岡山天音さんが窪塚洋介さんとか俳優のモノマネをしていると、みんなが集まってきてワイワイしてて。森川さんが一人でいると、誰も近づかないんだけど、小関さんだと意外とすうっと近くに行って喋ってる感じはありました。
小関:よく見てらっしゃいますね。
森川:多分、前の作品で一緒にやってたから、すうっと入ってこれるんじゃかな。
内藤:大和田健介が話しかけたら、なんかすごい苦笑いされたんです、って(笑)。
森川:そんな顔したかなー(笑)。
内藤:とぼとぼ戻ってきて(笑)。連絡先聞いたら、「ヤですー、うふふふ」って返されて。軽く落ち込んでたよ(笑)。
森川:心の闇が爆発してた時期で(笑)。ちょうど役に被ってて良かったかもしれないですけど。
──森川さんとお話ししてたら、全然そんな感じしないですけどね。
森川:仕事なんで大丈夫です(笑)。
──ありがとうございます!(笑)
小関:わはは! 怖ーい!(笑) でも普段こんな感じですよ。
内藤:定期的に吐かないと。
──ドロメのようにドロッと(笑)。
森川:デトックスしてかないと(笑)。
──『ドロメ』ならではの演出はありましたか?
内藤:演技のほころび的なものはできるだけ入れていこうって方針でした。テイクを重ねてOKテイクがあっても、別のテイクで面白い間違いがあったら音だけ入れたりとか、そこだけ挟んで入れたりしてますかね。正確さを求めるより、本人たちからポッと出てきたものの良さを大切にしました。失敗してるんだけども可愛らしく感じるような。映画全体としてチャーミングな印象にしたかったので。現場ではリラックスして自由にやってもらって、偶発的に出たアイディアをできるだけ取り込んでいきました。
──現場で演出を受けられていかがでしたか?
森川:自由でしたね。ほんとに感じたことを、たとえばしゃびしゃびのスープカレー、こんにゃくとか入ってたんですよ。それって誰かが「カレーってこんにゃくを入れるっけ?」って言ったのを、本番で言ってみたり。その場その場で感じたことをそのままやってみようみたいな自由な感じでしたね。
──現場で印象に残ってることはありますか?
森川:すっごい寒かったのに外でアイスを食べされられた。誰の趣味? って思ってました(笑)。
内藤:俺の趣味。俺の考える女子のイメージ(笑)。
森川:確かに寒い時に「寒い寒い」言いながら食べる!(笑)
内藤:だべってる時に手持ち無沙汰にならないように、芝居で活かせそうなワンアイテムを取り入れました。寒いけどアイスを食べてるとか、ほうきを手の上に乗せて落とさないように喋っているとか。遊びを入れて本人たちもそれで楽しめるようにやってもらう。自由だけど一個縛りを設けるみたいな。
森川:そうですね。活きてる感じがしました。