ツアー1本1本をしっかりと噛み締めながらやる
──ワルツ調のリズムの「シロップ」は今までにないアプローチですよね。
洋志:最初は全然ワルツっぽい感じじゃなかったんですけどね。
健人:改めて収録曲を振り返ってみると、今回の12曲で手こずった曲はひとつもないですね。どの曲も割と早い段階でアレンジが固まったので。
──じゃあ、「kiss me」の英詞ウィスパーもすんなりと?
健人:あれはちょっとだけ揉めました(笑)。洋志が唄うべきか、俺が唄うべきかで。でも、それくらいですよ。今まで作ってきた作品のなかで一番スッキリ作れたアルバムですからね。
洋志:さっきも話した通り、自分の持ち寄った曲に対して周りにいるスタッフが純粋にいいと言ってくれたことが凄く嬉しかったんですよ。メジャーというフィールドで音楽を作っていくなかで、周りに受け入れられるものを作っていかなくちゃいけないプレッシャーがどうしてもあって、それが原因でチーム内のわだかまりも正直あったんです。自分が自信を持って作った曲が純粋にいいとは評価されずに、「そのアプローチはどうなの?」みたいな言われ方が多くて。要するに創作する側と売っていく側の道筋が違っていたわけですけど、今回はそれが上手くフィットしたんですよね。
──売る側の立場からすると、「水槽」も「君は君のままでいい そのままでいいから」と安直な応援ソングのままでいてくれたほうが売りやすいでしょうね。ところがどっこい、「そのままでいいわけねぇだろ」と一転して牙を剥くのが「水槽」の歌詞の面白いところで。
健人:「そのままでいいわけ…」の後に「ねぇだろ!」「ほざくな!」ですからね(笑)。
──「水槽」には「軽く撫でる程度のBGMはいらねぇ/心を抉るようなOGMをくれよ」という歌詞がありますが、この“OGM”というのは?
洋志:僕が勝手に作った言葉なんです。“background music”のBGMに対して、“overground music”で“OGM”っていう。
健人:洋志は新しい言葉を作る特技もあるんですよ(笑)。
──通り一遍のことを伺いますが、アルバム・タイトルの『〆』にはどんな意味が込められているんですか。
健人:各々が好きなように想像してもらえばいいです。意図するところは言いたくないんですよ。
──僕は、このアルバムで“〆”になってもいいくらいのバンド史上最高傑作という捉え方をしているんですが。
健人:いいですね、その捉え方。まぁ、何かを“〆”ているのは確かですね。
──辛酸を舐め続けた昨日までの失意の日々を“〆”て今を生きる、みたいなニュアンスですか。
健人:ええように言うたらそうですけど、人生、生きてるといろいろありますからね。先のことは誰にも分からないですよ。分からないですけど、9月から始まる30本を超えるツアーは1本1本しっかりと噛み締めながらやろうと思ってます。
──ライブの後のチェキ会もしっかりやろうと?(笑)
健人:そう、今度のツアーはなぜか俺のチェキ会があるんですよ。スタッフと呑んでた時に「お前とチェキ撮りたいヤツなんかいないだろ?」みたいなことを言われて、そこまで言うならやってやろうじゃないかと思って(笑)。ライブが終わって、正装して物販のところへ行きますので。
──わざわざ正装するんですか!?(笑)
健人:もちろんですよ。チェキなんですから。
──ちなみに値段は?
健人:俺と撮るのは無料です。洋志と有君と撮るのは有料ですよ。スマホで撮っても有料です(笑)。
──ところで、このままだと有さんの発言が一切ないままインタビューが終わってしまうんですが、どうしましょうか?(笑)
洋志:有君、いる?
──最後に一言、お願いします。
福島有(ds):(なぜか客席から発言)あのー、こんなグダグダなトークライブをやるためにバンドをやってるわけじゃないんですよ(笑)。まぁとにかく、今回のアルバムはバンドがやりたいことをやりきったし、洋志の唄いたいことを詰め込んだいい作品になったので、ライブに来て本気のHalf-Lifeを見て欲しいですね。以上です!