俺がロックンロールをサボったら日本はダメになる
──“LOFT FES.”に出演するバンドのなかでは亮介さんと渡邊さんが最年少ということになりますね。
佐々木:全員先輩だし、噛みつく人しかいませんね(笑)。このラインナップのなかでは、ニューロティカとOLEDICKFOGGYだけ対バンしたことがないのかな。怒髪天にしろSAにしろ、今の40代はホントに元気ですよね。しかも、今まさに勢いに乗ってるところもあるし。だから噛みつき甲斐が充分あるんだけど、皆さんそれを笑って受け流すくらい懐が深いんですよね。そういう先輩バンドを好きなお客さんというのは本物を知っている人たちだから、その人たちに向けて俺たちがどれだけ強い説得力でアピールできるかが課題ですね。そういうお客さんたちを絶対に振り向かせてやるぞっていう気持ちもあるし。
──“LOFT FES.”でも同じ舞台に立つ諸先輩方から学べたことは?
佐々木:MCひとつを取ってもそれぞれ強烈な個性があるし、「俺たちは俺たちだから」みたいなスタイルで生き抜いている人たちばかりだから、「誰の真似もしていないことを真似する」っていうのが大事なんだなと思いましたね。
──この7年、相次ぐメンバーの変遷を経て砂利道の上をひた走ってきたAFOCなら、先輩バンドに比肩するパフォーマンスを見せられるのでは?
佐々木:砂利の粒がでかめの道を裸足のまま踏み締めてきた自負はありますね(笑)。でも、まだまだですよ。諸先輩方は俺たち以上の険しい砂利道を長年歩いてきたわけですから。そういう経験を笑いに変えて楽しませようとする度量の深さにも感服しますね。
──AFOCも最近は若手に噛みつかれる機会が増えてきたんじゃないですか。
佐々木:全然そんなことないですよ。MY FIRST STORYのメンバーから「高校の時に聴いてました」と言われたことがあって、遂にこういうのが来たかと思いましたけど(笑)。俺たちみたいなロックンロール・バンドの系譜を継ぐ人たちが少ないのか、まだまだこちらから上の世代へ噛みつく一方なんです。まぁ、俺たちも好んで自分たちから割り込んでいくところがあるんですけどね(笑)。
──ガツガツ割り込んでいけば、それを可愛がってくれる先輩も多いでしょう?
佐々木:面白がってくれる人もいますね。今やレーベルメイトになった怒髪天の増子(直純)さんは、テイチクに移籍した時に「もし困ったことがあったらレーベルの人間よりも先に俺に言え。俺が社長に言ってやるから」と言ってくれて有り難かったですよ。
──ロフトとシェルターを出発点としたバンドだからこそ、AFOCにはこの先もずっと着実なステップアップを期待したいですね。
佐々木:当時のシェルターの店長とは「日本武道館でライブをやった翌日にシェルターのステージに立つ」という約束をしていたんです。その気持ちは今もずっとありますね。今年の4月にやった野音で初めて椅子席のワンマンを経験して、まだまだ頑張らなくちゃいけないと思ったし、どれだけ泥くさいやり方でも大きな会場でライブがやれるようにステップアップしていかなきゃいけないと思ったんですよ。Zepp DiverCityでやれたら次はZepp Tokyoを満杯にするぞとか、一歩一歩着実にキャパを広げていきたいんです。
──“レトロスペクティヴ”を見て、AFOCにはまだまだ伸びしろがあると実感した人は多いでしょうしね。
佐々木:今は自分の人生を懸けてバンドをやっているし、命懸けでステージに立っているつもりですから。当面の目標として考えているのは、ロックンロール・バンドとしてスタンディングのライブを極めたいってことですね。いつか武道館みたいに椅子席の大きなステージに立つには不可欠な課題だと思うし。「俺たちはロックンロール・バンドだから」と小さなライブハウスに出続ける選択肢もあるんだろうけど、それは俺がやりたいことじゃないので。ロックンロール・バンドは転がり続けるのが流儀だし、いつ何時でも挑戦し続けていきたいんですよ。“レトロスペクティヴ”のMCでも話したんですけど、「俺がロックンロールをサボったら日本はダメになる」と本気で思ってますからね。