印象深いロフトでのライブはThe Birthdayとの2マン
──今の体制で13年間やってきて、始めた頃と今で何か変わってきていますか。
TAISEI:変わってるよね。まず、こんなに続くとは思ってなかった。
NAOKI:だからね、もう詳しくは周りに判断してほしい。
──結果どうだったって?
NAOKI:うん。13年前に見たSAと今見たSA、どうや? と。
──今のほうが断然凄みがありますよね。
NAOKI:あるよね。活き活きしてるしさ。これは何なんだろう? と俺も思うんやけど、結局、自分がステージにいることが好きなんだろうね。それを栄養源にしてどんどん大きくなってるようにも思えるし。そういう歩みを止めたら俺らは老けてくと思うし。ステージから得ることが、なんかホンマ栄養源なんだと思う。評価に関しては、見てくれてる人のジャッジでええなと思って。
TAISEI:最初にこのメンバーで始めた時に、これで行きたいなと思って。それまでのSAは俺のソロ・プロジェクト的な発想でやってたけど、バンドにした時にもうこれで行くぞ! って思った。それが32くらいの時か。で、バンドを続けていくと、悩んだり足掻いたり、地団太踏んだりもするわけ。だからここまでバンドを続けてこれたのは、もっと! もっと! っていう気持ちがあったからこそだよね。だから足掻いたほうがいいんだよ。足掻いてることから抜け出したいから頑張れるし、前へ進んでいける。
NAOKI:延命するような感じじゃバンドは転がせないからね。次になんか山が欲しいって頂に向かって走る、そういうマインドを常に持ってる気がする。今度の“LOFT FES.”には名の知れたバンドがいっぱい出てるけど、全部負けるつもりないからね。ステージの上においては絶対負けないぞ! っていう。こういう大きなイベントは、俺らのモチベーションを上げさしてくれるから。
TAISEI:若い頃は敵意むき出しで、「なんだコノヤロー! 俺はやってやるんだぜ!」みたいな感じだったど、今はそういうのを越えていい意味で余裕ができたし、いい意味で肩の力が抜けて普通に笑えるようになったね。それが音楽を続けてきて良かったと思えることだね。やっと表現者になれたって言うかさ。パンクという自分たちのとても大切なものに対して、いい形で俺らなりの解釈ができるようになった気はする。
──歌舞伎町のロフトで今までやってきたライブで特に印象に残っているのは?
TAISEI:個人的には、The Birthdayかな。大塚の意向で、俺らが後ろにさせられてさ(笑)。
NAOKI:イジメだ! ロフトではよくイジメに遭うんだよ(笑)。
TAISEI:マジかよ? みたいなさ。あいつら武道館とかでやるバンドだぞ!? って。でも、The Birthdayの後もオーディエンスは全然帰らなかったし、あの時のSAを見てから客になったヤツがいっぱいいるんだよね。なんか突破口みたいなライブだったな。そういう機会を大塚が作ってくれて、それからだんだんいろんなバンドとやってみたいと思った。
──シェルターでa flood of circleともやりましたね。
TAISEI:うん。13年前からずっと言ってきたことなんだけど、井の中の蛙じゃなく、俺たちがあまり対バンしないようなバンドともどんどんやっていきたかったんだよ。それもずっと続けてこれたひとつの要因かもしれないね。俺らとはルックスもファッション性も音楽性も違うけど、凄く格好いいなって思えるバンドがまだたくさんいるだろうし、それはロフトやシェルターに出ていっぱい見させてもらった。
NAOKI:その真逆で言ったらさ、たとえば『urasuji.』に呼ばれてグループ魂の後に出たら、客おらんがな! みたいなイジメもあった(笑)。
TAISEI:そりゃ客席降りるしかねぇだろ、みたいな。でも、ああいう時に客席降りてライブをやるのはSAの底力だと思うんだよね。
──俺は『SET YOU FREE』で見たSAが印象深くて。凄いアウェイな状況のなかで客席に降りていったんですけど、会場をひとつにするような説得力のあるライブだなと思って。
TAISEI:何でもかんでも賑やかしに客席に降りたりするヤツがいるけど、あれは逆効果だよね。降りたからには何か持って帰ってこないと。散らかすだけじゃダメだよ。
──今回の“LOFT FES.”で共演するなかで、ライブが印象に残っているバンドはいますか。
TAISEI:THE BACK HORNとは初めてで、後は対バンしたことがあるかな。やっぱり同世代、怒髪天とはホントに切磋琢磨してきたって言うか、お互いにエールを送りながら一緒にやってきた気がする。今や怒髪天も武道館でライブをやったけど、ロフトでやってた頃は全然ウケてなくて、客席の後ろまで増子ちゃんが泳いでいったのを覚えてるよ(笑)。
──怒髪天の武道館で、増子さんがMCで「みんな武道館でやればいいんだよ」って言ってたじゃないですか。フラカンもコレクターズも…って。最後に「SAも」って言ってたのが凄い印象的だったんです。
TAISEI:そうだね。
NAOKI:しかも、溜めて最後にな。
──そう、一番最後に。それを言いたかったんだろうなと思って。
TAISEI:うん、あれは嬉しかったね。
NAOKI:俺の後ろで、ニューロティカのあっちゃんが「俺らの名前は?」ってキョトンとしてたけどな(笑)。でもなんか、この“LOFT FES.”は凄く筋が通ってるキャスティングだよね。
TAISEI:俺もそう思う。
NAOKI:ね。俺らが勝負したいと言うか、そこにいたい場所と言うか。
──これぞライブ・バンド! っていう面子、自分が感動したバンドを集めていったら自然とこうなったんですよ(笑)。
TAISEI:それはいいや。
──で、SAの出順なんですけど、トリをお願いしたいんですよ。
TAISEI:トリ!? ちょっと待てって! それはアカンって!
NAOKI:ケツから3番目がいいよー!
──でも俺、「SAの出演にあたって条件があります。トリで出てほしいんです」ってマネージャーの根本さんに言いましたよ。
TAISEI:だって、武道館でやってるヤツが他にいっぱいいるんだよ?
──今のところ2つだけ出順を決めてて、一発目はThe Birthdayで、トリはSAでお願いしたいんです。
NAOKI:そんなアホな話あるかーい!
TAISEI:お前、それはホントのイジメって言うんだぞ!(笑)
NAOKI:自分らのライブが終わった時に、その余韻を楽しませてよ。ちょっとクールダウンして、ビールを呑みながらトリのバンドを見るとかね。俺は今日このライブに参加してたんだなっていう1日のねぎらいが欲しいよ。
TAISEI:SAならきっとトリをやってくれるだろうっていう幻想を持つなよ!
──いやいや、幻想じゃないです。
NAOKI:お願いします。トリ以外でいいとこ出して下さい!
TAISEI:もう一度そこ揉んでみて! それ、今度会う時までの宿題な(笑)。