2014年5月21日に四星球、22日にWiennersを対バンに迎えツーデイズでツーマン企画「LOVER MATCH」を行なうThe SALOVERS。これまでもくるりとのツーマン・ライブなどSHELTERにインパクトを残してきた彼ら。企画に込めた想い、対バンに対する考え、とにかく本人たちが楽しみにしていることが伝わってきた。対決感を大切にしながらも「愛のあるイベントにしたい」という話を直接伺い、それならばこちらも楽しませてもらおうと、ますますライブが待ち遠しくなってきた。(interview:上里環/下北沢SHELTER)
The SALOVERSのルーツ、そして現在
──森鴎外など、The SALOVERSは曲の題材が面白いと思ったのですが、曲作りに関して大切にしていることはありますか?
古舘:曲作りだとその時のテンションだとか、大事なものが違うので一概には言えませんが、大きいこと言っちゃうとその時思っていることをそのまま書くことが一番いいんだろうなって思ってます。
──ちなみに今作っている曲のテーマってあったりしますか?
古舘:難しいですね。メロディとか、バンド・サウンドのイメージとしてはソニックユースなどUSインディーっぽい感じは出したいです。低い弦のチューニングを下げたりだとか。歌詞のテーマは難しくて簡単には言えないですね。
──ファンの方々は、みなさんがどんな音楽を聴いているか知りたいと思うのですが。
古舘:昨日から急にThe verbsを聴いてます。3曲くらいを集中的に。あとは吉田拓郎のLP、Peter, Paul and Maryとかのフォークソングを。
藤川:The 1975のLPを買って、部屋ではずっとそれを聴いています。その他はメンバー全員共通でくるりは好きですね。The SALOVERSの根本はくるりにあると思います。
藤井:HIP HOPを最近聴いてます。KANYE WESTの新譜とか。
小林:『The Good,the Bad,and the Ugly』という、メタリカのライブのときSEで流れる映画のサントラをよく聴いています。20曲以上入っているんですが、曲のメロディがすべて一緒なんです。ただ編曲だけが違うっていう。
──コンセプトが強くて面白そうですね。改めてお伺いするとそれぞれ聴いてる音楽はバラバラなんですね。やっぱりそれをまとめているのがくるりということでしょうか。
古舘:そうですね。くるりはやっぱり青春のバンドなんで。初恋の相手みたいな、一生変わらない存在です。
単なる「仲良しツーマン」ではない
──それでは5月のツーデイズについて聞かせていただければと思います。まず「LOVER MATCH」というイベント名を含めてコンセプトがあれば教えてください。
古舘:3年くらい前に立ち上げた自主ツーマン企画です。他のいろんなアーティスト見ても、自主企画を持っていることが多いので自分たちもやりたいと思って。同世代のバンドで言うと、ねごとが「お口ポカーン!!」というタイトルでやっていて。イベント名を付けて、シリーズにしてやってみたくて。そこで、縛りをツーマンにして、1対1の「タイマン」みたいな雰囲気のイベントにしたい思っています。タイマンって言ってもぶっちゃけ本当に「殴り合い」をするわけじゃないんで、ちゃんと愛のあるイベントにしたいなと思って名前を考えていたところ、好きなアメリカのプロレスで「Ladder match」っていうのがあるんですよ。リングの中央にラダー(梯子)を置いて、天上から吊るされているチャンピオンベルトを争って奪い合うというルールの。自分たちのバンド名にも入っている「LOVER」という言葉が入っているので、名前はそれを文字って付けました。
──なるほど。これまではどのようなバンドと開催してきたのでしょうか?
古舘:第1回目は新宿MARZのおとぎ話で始まり、その後大阪で日本マドンナ、新代田でcinema staff、名古屋でWHITE ASH、仙台でKEYTALK、最近ではSAKANAMONと新代田でやりました。その途中、番外編で横浜(KUDANZ)・千葉(KUDANZ)・京都(蜜)・神戸(LOSTAGE)をLOVER MATCHツアーで回りました。
──場所も相手も様々ですね。これらのバンドを選んだ理由を教えてください。
古舘:「一緒にやりたいバンド」ということが一番の理由ですが、相手がかぶらないように、毎回違うバンドを選んでいます。
──ツーマンだとだいたいそのバンドのファンだったり、元々仲が良かったりしますが、その点はいかがでしょうか。
古舘:こう改めて見てみると、ほとんどが初対面のバンドばかりですね。LOVER MATCHをきっかけに仲良くなったことの方が多いです。仲がいいから誘った、ということではないですね。他のツーマンの時は割と面識のあるところとやったりしているんですけど。東西コンペティションでツーマンをやったtricotと米騒動は元々面識あったんで。
──そういう意味ではMATCH(戦い)という言葉が効いてきますね。単なる「仲良しツーマン」じゃないと言うか。
古舘:そうですね。今まで意識はしてませんでしたけど、元から仲いいバンドは誘ってないですね。
──ツアーのお話もあったように、これまでいろんな場所で開催されていて、今回下北沢SHELTERを選んだ理由はなんでしょう?
古舘:僕ら結構SHELTERでは節目節目にライブをやっていて。高校生のときからよく来ているんですが、下北沢と言えばSHELTERっていう風になってますね。3年前にくるりとツーマンやらせてもらったのもそうでしたしね。東京で対バン形式のライブとなるとSHELTERというイメージがあります。
2日間とも全力でお客さんと一体になって楽しみたい
──vol.9、10となるSHELTERの2日間に絞って話すと、四星球・Wiennersとのライブはどんな風にしていきたいとかありますか?
古舘:さっき話した通り、仲良いバンドを誘っているわけではなくて、この2バンドとは喋ったこともないです。なので当日どんな感じになるか全然想像もつかないですけど、今までもそうだったようにお互いのライブを見ることで共通言語が1つ2つ、と生まれていけばいいなって思っています。
──それぞれのバンドの求めているものとかありますか?
古舘:やっぱり、楽しいイベントにしたいですね。僕らもアッパーに盛り上げたいと思っているんで、とにかく来た人に楽しんでもらえるようなイベントにしたいです。四星球もWiennersも僕らの先輩で世代も上なんで当日僕らのお客さんたちにどういうスタンスで向き合ってくれるのか楽しみにしています。
──確かに、2バンドとも初見のお客さんもリラックスさせて引き込む力がありますからね。
藤川:ライブすごいって聞いているんで当日楽しみです。どちらもほぼ初めてライブを見るので。
──それでは最後にライブに向けた意気込みをお願いします。
古舘:僕個人としては、前回横浜と千葉でやった時以来の自主企画ツーデイズ1日目、2日目ともに全力出し切ってやりたいです。どっちに来たお客さんも楽しめるようなライブを魅せたいです。
──お客さんに求めることってありますか?
古舘:とにかく盛り上がって欲しいですね。人見知りとかを気にして、腕組んで後ろの方で見るような大人観禁止って言うか。
藤川:SHELTERに関しては過去振り返っても貧血になるくらいのライブばかりだったんで、今回も熱々なライブになるだろうと、すごい楽しみにしています。特にお客さんと一体感を持って盛り上がれるようなライブにしたいです。
藤井:とにかく体をいっぱい動かしたいですね。最近の運動不足をステージ上ですべて発散したいと思います。しっかり睡眠をとって臨みます(笑)。
一同:(笑)
小林:今年の1月辺りからライブの本数を減らしてきているんで、その分貯まったエネルギーを2日連続でぶつけられれば。それを今回の自分たちの課題として気合いを入れ、次のステップに繋げていきたいです。