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HEREは普通じゃ通用しません

── また、ファーストということもあるのか、詰め込めるだけ詰め込んだというかやれることは全部やったという感じもしますね。

尾形：やれることはたくさんあるのに、今までずっとやってこなかったので、固定観念みたいなものを全部とっぱらってやってみようかなって。今回は妥協せず、思いついたことを全部入れてみようって言っていて。それで一番最後に録ったのが戯曲なんです。

── 先ほど少し話にあがりました『戯曲・カマキリの生態系から考察する愛の起源 〜居酒屋編〜』ですね。みなさんが演奏ではなく演技に徹しているもので…。

武田：ロックオペラで培ったものを全力で発揮しました。それを隠しトラックじゃなくて、アルバムの途中に入れるのも僕らっぽいというか。

尾形：最高のロックアルバムが出来て、台無しになるかならないかというギリギリのところを行きたくなってしまう。

武田：もちろん戯曲のおかげで受け入れられない人もいるかもしれないですけど、これが今の僕らかなと思うんですよ。

── 全体的に、悪い意味じゃなくて嫌な夢を見そうだなと思いましたが（苦笑）。

尾形：ブラフマンのRONZIさんもおっしゃってました。アルバム用にコメントを頂いたんですけど、「とても気持ち悪いアルバムが出来ましたね。毎晩悪い夢が見れそうです」って。激しいロックを聴いてる人には届いて欲しいですね。そのあと、歌詞を読んでジワジワと洗脳されて欲しいです。

宮野：歌詞は病んでる感じもありますけどね（苦笑）。相手の事が好きすぎて不安定になって、重くのしかかってる人とか、充足感が全く得られなくて、相手を24時間疑ってる人ととか、僕のようにボロぞうきんみたいに捨てられた人とか（笑）。

── でも、お芝居の要素も入り、HEREというバンドをちゃんと体現している感じはします。

尾形：これを作って次またやってみたいことがいろいろ思いつきましたね。早くセカンドを作りたいです。

── 『戯曲〜』も“PHOENIX”もそうですし、演技するのが好きなんですか？

武田：宮野さんはそうです。『戯曲〜』を録ってる時は演技しすぎて気持ち悪いから、普通の宮野さんに戻って欲しいと何度か言いましたね。

── 三橋さんもまさか演技するとは思ってもいなかったですよね。

三橋：演技したいと思ったことがないですけど、やってみると楽しいですよ。

── さっきの話じゃないですけど、普通のギタリストのつもりでいたんですけどね。

武田：HEREは普通じゃ通用しませんから。

── メンバーだけでなく、サポートベースの壱さんまでキャラが濃いですからね（苦笑）。そういえば、今回ミュージックビデオを作ったと聞いてますが。

武田：今回初のミュージックビデオ『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』で作りました。こちらも気持ち悪い感じのものが出来上がりそうですよ。

尾形：僕は大雪の日に六本木にいたら、監督から突然電話がかかってきて「撮ろう」って。化粧道具買って私服のまま撮影しました。吹雪の中（笑）。

── 宮野さんは何をしたんですか？

宮野：地下駐車場とかで、目隠しされて椅子に括りつけられた状態でツインペダルをひたすら踏んでいます。

尾形：僕は1月に大荒れの江ノ島でも撮影してます。最初は足だけを海につけるという予定だったんだけど、波が全然なくて、自分たちで波を起こしながらやる方向だねって話をして、メイクして衣装も着て海に入ったら波がザバンザバンなってて、結果溺れかけました（苦笑）。

── 体張ってますね。

尾形：監督もそうとう気合い入っていて、今のHEREが全部入った情報量が多いMVになってます。

── それで、この作品が3月6日にリリースされて、3月3日に新代田FEVERでプレイベントがあって。その後ツアーにまわり、5月9日がO-WESTでツアーファイナル。

宮野：ファイナルは、アルカラと9mm Parabellum BulletとHEREという最強の3マン。最後の蓋を開けちゃったかって。

── 昨年の3月8日のロフトの時も最後の蓋を開けたなと思っていたんですけど（笑）。

宮野：また蓋開けちゃった（笑）。

── でもHEREを含め、バンド活動の歴史がなければ横の繋がりも出来ないですから。

尾形：バンドが勢いに乗ってくると新たな繋がりがどんどん生まれるんです。3月3日は、バックドロップシンデレラ、BYEE the ROUND、Jeeptaを迎えて。

── HEREは今年はどんな活動を考えてます？

尾形：今年もいろいろ考えてます。ワンマンライブも計画をしています。初夏あたりはイベントに出て、その後もリリースのことは考えていますので、楽しみにしていて下さい。

 

 

PHOTO BY：高畠正人