HEREの1stアルバム『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』が3月6日にリリースされる。
HEREとは、以前活動していたインビシブルマンズデスベッドが2006年に解散した後結成し、ライブ活動はもちろん、オリジナルの脚本を制作してメンバーそれぞれが演技に挑戦したり、精力的に活動している4人組の超個性派ロックバンド。昨年は9mm Parabellum Bulletをはじめ、アルカラやmudy on the 昨晩など数々のバンドと対バンし、ライブハウス界隈を賑わせている。そうしてたくさんの刺激を受けながら作り上げた作品が『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』となる。タイトルからしてインパクトのあるこちらの作品は、壮絶な愛をテーマに繰り広げられる楽曲が収録され、この1枚を聴き終わると同時にひとつのお芝居を見終わったような充実感と達成感に満たされる。また、強すぎるほどの個性を放つ全12曲には今のHEREが充分に詰め込まれていた。不器用ながらも着実に確実に(たまに驚くほど大胆に)一歩一歩と進み続ける彼らから目が離せない!(interview:やまだともこ)
みっともないぐらい、愛がこぼれてます
── 昨年2月号でインタビューした際に、「バンドとしてようやくスタートラインに立った」と言ってましたけど、昨年1年を振り返るとどうですか?
尾形回帰(Vo.):怒濤の1年でしたね。春に3ヶ月連続で“GLAMOROUS STUDY”(HEREの自主企画)をやって、7月にはロックオペラ“PHOENIX〜彼方・惑星パリレルの憂鬱〜”の公演が3日間あり、9月に“GLAMOROUS STUDY”があって11月にワンマン。その間に曲作りをやって。
── 昨年は9mm Parabellum Bulletやアルカラ、mudy on the 昨晩など、勢いのあるバンドと対バンすることで自信も付くし刺激にもなったのではないですか?
尾形:特にアルカラは昨年1年最も対バンしたバンドで売れていく様を間近で見ていたんですけど、活動ペースには刺激を受けましたね。会うたびに「新曲出すよ」という話を聞いて焦ったりして。
── HEREは昨年はシングル1枚と…?
尾形:それだけです。あとDVDを出しました。ロックオペラ“PHOENIX”と、アルカラと2マンでやった草月ホールのライブ映像を。
── 意外というか、今作『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』はHEREとしては初のフルアルバムになるんですよね。
尾形:ライブ会場で4曲入りのデモCDは出してましたけど、それを続けて来たからこそアルバムを作る意味がなければいけないと思ったんです。今回のアルバムははっきりは言ってないんですけど、コンセプトアルバムになっているんですよ。
── はっきり言わなくても、愛がテーマになったコンセプトアルバムだということはだいたい気付いてましたけど(笑)。
尾形:今って曲単位で売っていく時代だと思っているんですが、敢えて、HEREならではの特異な世界観をアルバム1枚で作り上げるというところで、壮絶なラブソングを詰め込んでやろうと思ったんです。
── 昨年の夏にシングルでリリースした『みっともないぜ 愛がこぼれてる/絡みつくような愛をくれてやる』も愛にまみれた作品でしたけど、今のHEREはそういうモードなんですか?
尾形:そうですね。前にやっていたインビシブルマンズデスベッドの最後のアルバムが『寄生虫』というタイトルで、人に寄生して栄養分をとって生きていくという、そうしなければ生命を全うすることが出来ないというものに強く惹かれていたんです。それで、インビシブルから時間をおいたんですけど、前に作った『さらば、カマキリ夫人』とか今回収録している『私に溶けてしまえばいい』(M-5)という壮絶な愛を歌った曲が出来るにしたがって、同じ所に戻ってきたなと。『私に溶けてしまえばいい』は『さらば、カマキリ夫人』の続編になるんです。
── …なんでそんなにカマキリにこだわるんですか?
武田将幸(Gt.):地元の北海道では見たことがなかったんです。(※調べたところによると北海道にもカマキリは生息しているそうです)
尾形:緑色の大きい生物を見たのは20歳過ぎてからだったので、衝撃は大きかったですよね。あと、カマキリのメスは交尾した後にオスを食べてしまうという話があるじゃないですか。『戯曲・カマキリの生態系から考察する愛の起源 〜居酒屋編〜』(M-9)の中ではプラトンの『愛の起源』について触れているんですけど、「人間はもともと男と女でひとつの生き物で、万能だったがために神様が2つにしてしまい、人間はその片割れをずっと探している」という話があって、「カマキリのメスがオスを食べてひとつになる」という部分と、自分の中で繋がるところがあったんです。その辺がカマキリに対するこだわりでもありますね。
── な…なるほど。
尾形:やっぱり、魅力を感じている部分は変えられないんです(苦笑)。もちろん『みっともないぜ 愛がこぼれてる/絡みつくような愛をくれてやる』が出来た時のインパクトが自分の中でも強かったというのもあって、曲をいくつか作っていくうちに様々な恋模様を歌っている曲が多いことに気付き、そこにこだわっていこうと思い始めたというのもあります。『メカニックマミ』(M-11)は、自分が生み出したロボットの女の子を愛してしまう博士の歌だったりとか、シチュエーションはバラバラですけど、研ぎ澄まされた愛の感情を歌ってます。
── 『メカニックマミ』は最初タイトルを見た時は驚愕しましたよ(笑)。歌詞とタイトルはどっちが先に出来るんですか?
尾形:バラバラで『メカニックマミ』に関してはメンバーで話し合って、仮で決まっていたのが武田くんが考えてくれた…。
武田:『ロボットマミ』。
── 『ロボットマミ』(笑)!
武田:でも、直前に尾形から、「やっぱりタイトルを変えたい」っていうことで『メカニックマミ』に変わりました。
尾形:どっちもどっちだけどね(苦笑)。
── タイトルは全体的にインパクトがありすぎますよね。『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』もそうですし。
尾形:『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』はタイトルから思いつきました。曲はずっと出来ていたんですけど、歌詞が全然書けなくて、なんか良いのないかなって思いながら布団に入ったら、「死ぬくらい大好き愛してるバカみたい」って言葉が降ってきたんです。震撼しましたよ。メンバーに言ったらビビッちゃうんじゃないかなって。持っていったら案の定みんなビビッてましたね。
── 余談ですが、「死ぬくらい大好き愛してるバカみたい」という経験はあるんですか?
武田:宮野さんはありますね。恋多き男ですから。
三橋隼人(Gt.):2013年も滑り出し快調ですよね。
宮野大介(Dr.):僕、みっともないぐらい愛がこぼれてるんですよ。
── 宮野さんはHEREのアルバムを地で行く男、と。
尾形:体を張ってプロモーションしてます。